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あたらしい時代、 あたらしい政治について

小松 樹英(こまつ みきひで)
96年東京生まれ(育ちは茨城県)。首都大学東京在学中から議員インターンシップに参加。2018年に同大学卒業後は、外資系コンサルティング会社で働きながら、地域政党「あたらしい党」のスタッフとして党を育てるために奔走中。とにかく優秀すぎる後輩さま。


不条理との出会い

加藤(以下、か): こまっちゃん、すごく忙しいのに今日は時間をつくってくれてありがとう!

こまっちゃん(以下、こ): いやいや、とんでもないですよ~~~!

か:こまっちゃんとは色んな話をするのに、政治に興味をもった原体験について聞いたことないなと思って。まずはそこから聞いてもいいですか。

こ:もちろん! えーと。僕は小学生のとき、茨城県・石岡市にというところで育ったんですね。市内には「鹿島鉄道」っていうローカル線が通っていて、地域の大切なインフラだったんです。ただ、僕が小学5~6年生のときに廃線になってしまったんです。

か:うん、うん。

こ:で、小学生ながら新聞を読んで廃線までの経緯を調べていたんです。そしたら、石岡市を含む複数の自治体が年間2200万円の補助金を出して鹿島鉄道が運営されていたものの、市側が補助金を出せなくなったために、鉄道会社が廃線を決断したことが書かれていたんです。

か:補助金の打ち切りが原因だったのね。

こ:そう。鹿島鉄道がなくなったあと、住民の交通手段はバスになったんですけど、いつも道路が渋滞してしまって、バスが定刻に来ないことが常態化しました。今まで電車で5分で行けたところを、バスで20分かかけて移動するようになってしまって…。

か:困ったね。

こ:そうこうしている間に、廃線が決まった次の年には茨城空港ができるという話になり、さらに茨城空港までのアクセス手段がないという話になったんです。羽田だったらモノレールがあって、成田にはスカイライナーやJRがありますよね。でも茨城空港はない。そこで市や県は鹿島鉄道の線路を引っ剥がして、埋め立てて、そこに空港へのアクセスを兼ねたバス専用道路をつくったんです。

か:ん~~~?!

こ:ですよね(笑)普通その反応だと思うんですけど、当時の行政はもう「そうだ」「その通りだ」「やろう!」となってしまった。

か:おお。

こ:当時、空港までのバス専用道路をつくるための予算が7億円くらいついて、僕は「7億円出るってどういうこと?!2200万出せないから鉄道廃線にしたんだよね?!」と思って……。うーん。不満というか率直な疑問をもちましたね。
今となっては、7億円という予算がついたのは「鉄道を守るため」ではなく、「空港への円滑なアクセス手段をつくるため」というわかりやすい目的があるからこそだと理解できるんですけど、当時はわからなかった。そのわからなさが、行政やまちづくりに興味をもった原点なんです。

か:なるほどね。

こ:高校の卒業研究でも公共交通について調べていて、茨城県内の他地域にあるローカル線の運営状況を調べていました。なかには廃線になりそうになりながらも、鉄道会社や住民の協力により廃線を回避したところもあって、そういう鉄道会社の社長さんに話を聞いたりしていましたね。なんで自分のまちの鉄道はなくなってしまって、他の地域はちゃんと残せたんだろうって……。

か:そっか。こまっちゃんには、そんな原体験があったんだね。

政治家は「翻訳家」

か:すごく核心に近づく質問になるんだけど、こまっちゃんは政治家になるんだよね……?

こ:ん~〜〜。……政治家はなりたくてなれるものではないので。そのタイミングの見極めはやらないければならないですけど、ゆくゆくは、とは思っていますね。

か:政治家になったときに、何を一番を大切にしたいと思う?

こ:僕、政治家の仕事は翻訳家の仕事だと思っていて。

か:おお。

こ:政治という場には市民、行政、政治家という3人のプレイヤーがいますよね。行政は政策のプロフェッショナルで、彼らは各政策の現状や他国・他地域の政策比較をしています。プロフェッショナルだからこそ専門的な言葉や形式を使いますが、なかなか政策に精通していないとその独特の言葉がよくわからない。

か:うん、うん。

こ:政治家はそうした行政の発した言葉を、忙しい市民にわかりやすく伝える。もしくは有権者の想いや声を行政に届くように伝えるのが仕事かなと。市民が「なんだその法案は~!」「反対!」とだけ言っていても行政は聞いてくれないので、行政の言葉に翻訳して伝えることが必要になると思うんです。だから、政治家の仕事は翻訳家なんです。

か:その例え、すごくいいね。

こ:あ、ほんとうですか!

か:うん。よく政治学の教科書だと政治家は「代表」って言われるじゃない。でも、どれだけ代表性があるかって難しいところだと思うんだよね。今の世襲議員とサラリーマンやってる私では、年齢も所得も教育環境も違うし。そうした点で自分のことを「国民の代表だ!」と思っている議員より「翻訳家です!」と言っている議員のほうが信頼できるな。

こ:僕の「政治家=翻訳家」という発想は時代によるものだと思うんです。これまでの時代は、経営界や教員組合、労働組合などの組織があって、そこに人が属していたからこそ、各組織の代表者が議会に参加すれば政治システムが回っていたんです。
でも、現代はそうじゃない。今の有権者はそもそも属する組織への帰属意識もあまりないし、複数のコミュニティに属することができるようになった。だからこそ、違和感があるんじゃないかと。代表制というシステム自体はあるべきだと思うものの、誰が選挙に出るかというところはもっとアップデートするべきだと思うんです。

か:そうだね。

こ:僕が言っている翻訳家というのは、なかばフリーランスのようなもので、色んな人から悩みが来ます。政治家自身も組織に縛られないからこそ、有権者の悩みをそのまま行政に伝えられるんじゃないかと思っているんです。ただ、組織をバックにおかない政治家は圧倒的に選挙に弱く安定しないので……。

か:組織票が使えないからね。

こ:言うは易し、行うは難しですね……。(2019年北区長選では「みんなの党」代表・音喜多 駿氏は現職と11,735票差で敗北しました……泣)

か:おおおおお。傷に触れてごめんね。……で、すこし答えにくい質問かもしれないけど、とくに翻訳の必要性がある有権者層やテーマってあるかな?

こ:現役世代の困りごとですかね。周りの人の話を聞くと、みんな子供をもったときに行政との接点が増えたと言います。妊娠したときから保活始まるなんておかしいし、保育園落ちたから引っ越さないといけないなんて不便すぎる。既存政党では現役世代の悩みを伝えるところが少ないので、その層の翻訳は積極的にやりたいなと思っています。

あたらしい時代の、あたらしい政治

か:話が前後してしまって申し訳ないのだけれど。小・中学生のころに公共交通をめぐる不合理に直面したこまっちゃんは大学に入って、大学3年のときから東京都議会議員の音喜多議員のところでインターンをしたんだよね。音喜多議員のところでインターンをしたきっかけは何だったの?

こ:大学時代は社会人になったらできないことをしようと思って、議員インターンのことを調べていたんです。ネットで検索すると、どうやら議員インターンってポスティングが多いらしい。労働要員のようなものなんです。でも、せっかくやるならおもしろいことをしたいなーと思っていたら、音喜多議員のブログに「インターン募集!議会質問書かせます!」とあって、めっちゃおもしろそうだなと思って入ったんですよね。

か:念のための確認だけど、議会質問てなに?

こ:国会中継を見るとよく「それじゃあ答えになってないじゃないですか!」とか「ちゃんと説明責任を果たしてくださいよ~!」とかプロレスやってるイメージありますよね。でも、議会っていきなりプロレスをはじめるのではなくて、議会の1週間前に質問事項を伝えて答弁を考えるという調整があるんです。議員インターンでは、その事前質問の一部を書かせてもらえたんです。

か:ほんとに議会質問書いたの?

こ:書きましたよ(笑)首都大学東京の中期計画の学部再編について議会質問を音喜多さんといっしょに書いて、議場で読んでもらいました。

か:すごいな(笑)

こ:こういう身近な話題について、深く掘り下げて議論できるって、すごくたのしいですよ。政治が生活に関らないことなんて一つとしてないですからね。政治家の仕事の魅力的なところです。

か:政治家のやっていることを、もう少し詳しく教えてくれないかな。

こ:そうですね。政治家は翻訳家になる前に、そもそも存在を認知されることがまず重要なんですね。認知される方法の一つがチラシをポストに入れることだったり、駅前に立って演説をしたり、地域の行事に参加することだったりするわけです。

か:こまっちゃん、最近はよく駅頭してるよね。

こ:駅頭はおもしろいですよ。チラシを受け取ってもらえるだけで御の字なんですけど、立ち止まって話してくださる市民の方もいて、その人からまちの困りごとを聞くこともできます。この前、高輪台駅にいたときは握手をした市民の方が、一度お別れしたのに戻ってきてくれて「あなたたち手が冷たかったから」と言って缶コーヒーをくれたんです(泣)


か:
それはうれしいね。

こ:まあでも、よく罵声を浴びせられたり、女性の党員へのセクハラまがいのことがあったりと本当に割りに合わないところもありますね。それでいて任期はあるし、落選すれば即刻無職ですからね。

か:うん、うん。

こ:でも、政治家は任期が決まっているからこそ、成果に貪欲になれるはずだと思うんです。一任期で政策という名のプロジェクトを達成するみたいな。

か:たしかにそうかもね。現実にはやらない・決めない政治家の方が多いけど。

こ:決めない政治家には絶対になりたくないですし、なるべきではないと思いますね。市民や行政の課題をキャッチして、責任をもって決断し、合理的なソリューションを提案する(キリッ)。組織に頼らないという点はあたらしいかもしれませんが、僕は政治家としての「原型」を見たいし、全うしたいんだと思います。

か:北区長選は悔しい結果になったかもしれないけど、また次の波が来たら逃せないね。

こ:そうですよ!次こそは、コンサルとしての職能を発揮して、候補者サポートに尽力します!

か:ビジョンを掲げながら、真摯に行動するこまっちゃんがまぶしすぎました!今日はありがとうございます。選挙おつかれさま会をやりましょう。

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