見出し画像

僕は大学の掲示板の前にいた。

2009年4月、僕は大学の掲示板の前にいた。
様々な部活動・サークル勧誘の壁紙。

高校ではテニス部に所属していた僕は
何かしらスポーツできるサークルに入ろうと漠然と思っていた。

けど、新歓を受けられるのは4年間に1度しかないし、
いろんな部活動を見に行ってみようと考え、
毎日のようにどこかの新歓にはでかけていた。

そして今日はどこに行こうかなと思ってふと目に入ったのが
合唱団の勧誘のチラシ。

歌うのは得意じゃなかったけれども
ラジオで音楽を聴くのは好きだったので
ものは試しにと遊びに行った。

そこで僕は合唱の素晴らしさに出会った・・・!

ということはなかった。
ただ、先輩らとのご飯会で話したのが
これまでになく楽しかった。

それから何回か合唱団の新歓に通った。
ただ、他にもやりたいことがあったので
仮入部という形で過ごした。

そして、気づけば6月。
新入生にとっては初めての演奏会が近づいていた。
この演奏会まで参加して、合唱団をやめようと思ってた。

ただ、この時はじめて合唱の素晴らしさに・・・

気づいたわけではなかった。

けれども先輩や同期との時間が楽しくて仕方なかった。

もう少しだけ合唱団でやろう。
1年経ったらやめよう。

そんな軽い気持ちを持って入部した。

それから時が経ち
2年後には他大学の演奏会の取り仕切りを行ったり
3年後には合唱団の統括マネージャーをしていたり
そして11年後には合唱団の同期と結婚していたり

卒業してからも毎年、先輩とも後輩とも遊んだり
同期と旅行に行ったりしている。

もしもあの時、掲示板の前で
合唱団への入り口の扉を叩かなかったら
今頃どんな人生を送っていたのだろうか。

もっと面白みのない学生生活になっていたのかもしれない。
はたまた、もっと刺激的な毎日を送れたのかもしれない。

けれども結局は同じような人に巡り会い
同じような生活を送っていたんだろうと思う。

そんなことをふと考えた秋の夜でした。


この記事が参加している募集

読書感想文

サポートいただけた場合は他の方の有料note購入費もしくはサポートにあてようと思います。