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7年ぶりの訪韓ドタバタ劇【8】水から水へ

 ナカナカ進まない7年ぶりの渡韓記、ようやく8章目で2日目の朝に…
(この前の行程は↓に)

 夜遊びから帰って夜食というか夕食というか…を済ませて寝たのが(渡航前に想定していたのを大幅に過ぎた)夜中2時半過ぎ。さて朝起きられるかな…と思ったけど7年ぶりの韓国ということに浮かれたというか気が張ってというか、なんとか無事に起床。目覚ましのシャワーを浴びて、2日目の朝に出発!

 鍾路5街の飲み屋街的な裏路地も、朝はしっかり通勤路。勤務先へと向かう人たちの流れと逆に、私は大通りへと向かいます。

朝の鍾5、はたらくアジョッシ。
バスが行き交う、韓国の朝。

 地下鉄の駅の真上なのですが、ここはソウル。地下鉄を乗り換え乗り換え…より直通できるバスの方が楽ちん!ということでバスに乗って14kmの小旅行。

このバス停島、ホコ天開催時は撤去できる構造と。
朝ラッシュの応援用か、古いタイプのバスが来ました。

 車窓を見ながらふとステッカーを見たら、あらまこのバス「現金利用不可」車じゃないの!

 2023年春から試験運用が始まり結果は「大きな混乱なし」ということで本運用に移ったと聞いていましたが、なるほど前方を見たら運賃箱もなければ韓国のバス名物の大きな「釣銭払出機」がなく、運転台周りがすっきりしていますね…

 そんなこんなでソウル駅北側から鍾路・千戸大路を経由して江東区(こうとうく、ではなくカンドング)の端、ソウル市と河南市の境目まで走る370番幹線バスでやって来たのは吉洞(キルドン)の、まち。

千戸の街を望む大通りから
まちなかへ入ってゆきます

 目的地は、ここ。

 약수터、ヤッスト。バス停の名にだけ残る、歴史の址。ここは昔、大いに流行った「テーマパーク」だったと思しき場所、なのです。

「クァンナル対岸に湧いた薬水、毎日三千余名が来集!」

 1938年春に、この地を領有する者が「これは只の井戸ではないのでは…」と水質検査を依頼したところ立派な鉱泉と判明、清らかな水に飢える当時の都市住民の評となり普通の丘陵田畑だったココに人が押し寄せ、ピーク時は一日三千人を超える来訪者があり近隣農民が人員整理したり水汲みを手伝ったりし(田畑を踏み荒らされるのがイヤなので動線整理をしたのかも知れませんが)ここへのアクセスとなる京城軌道の営業成績が「開業以来最高」を記録するまでの人出だったそうで、新聞記事の写真を見ればなるほどカナリの賑わいな「湧き水テーマパーク」的なモノだったのかな、と…

湧き水に沸く当時の様子
(新聞記事より)

 そんな湧き水テーマパークもいつしか寂れ、今はソウルの市街地の中のバス停名称に痕跡を残すのみ。その光景を見たくて、ここを訪れたのです。

Mineral spring、鉱泉テーマパークの現在は普通の市街地。

 1930年代末と2024年の、邂逅。色々と脳内で交錯させながら、この場の雰囲気を味わいます…が、暑い!たまらん!とバス停から離れコンビニに逃げ込みます…

 冷たいジュースを補給してエナジー復活、次へと向かいます。

ここからはソウル市を出て近郊へ
ソウル市外へ行くので京畿道のG-BUSで…

 またバスに乗って、つぎの「みず」へ…と向かうのですが、やらかしましたフリーク的訪韓歴12年かつ交通オタクなのに「タウmチョンリュジャン(つぎの停留所)」につられてしまった…

ココはドコ…

 韓国のバスの停留所案内放送は、まず「イボン(이번|今度)」を案内し続いて「タウm(다음|つぎ)」を案内するという流れで、慣れないうちは「タウm」のバス停名を聞いて慌てて降りてしまって実はひとつ前、というのがよくあるのですがまさか今更自分がそれをやらかすとは…(恥ずかしい

降り間違えたから見ることが出来た
河南・望月川の源流域

 恥じてもしょうがないので、リカバリーすべくkakao mapとにらめっこしながら目的地への道を探すも…(私はNAVERよりdaum派とこんなところでもマイナー好きを発揮・いやバスの案内はdaum/kakaoの方が良いのでその意味で贔屓に)

そこらじゅう工事現場だらけ

 そう言えばこのエリア、つい最近グリーンベルトの規制(朴正煕政権時代に首都圏の計画的な整備のために設けた開発規制・緑地保全エリア)から除外され地下鉄も延びてきて開発イケイケドンドンな地区だった…マップサービスの地図と現地が「合わない」…ということで迷子になりかけて、しょうがないので最短ルートを諦め「ここは確実に道がある」というところを通って目的地へ…

ここが最短ルートのはずなのに工事中…
大回りでも幹線道路へ出ないと先へ進めなさそうで…

 ここで「……腹減った」と。この時点で11時前、そういや朝から何も食べてない(鉱泉址でジュース飲んだだけ)…

食事難民の際の救世主!

 こういうときに韓国でとても有り難いのが「コンビニキンパッ(韓国海苔巻)」!
日本の手巻き寿司と違ってきちんと巻いてあって一口サイズに切ってあるものがチューブ形状のパッケージに入っているので、チューブトップを切り取って下からニュっと押し出せば(海苔にごま油が塗ってあるのでチュルっと出てくる)片手で「ひとくち海苔巻」を順繰りに食べていけるという優れモノ。おにぎりは両手を塞がれる場面が多いけどコレはほぼ片手で食べられ、しかもおにぎりより具材も多く大抵は野菜も豊富。歩行者など誰もいないこといいことに、はしたなくも「食べ歩き」で進んでゆきます()

 そして、やっ来たのはココ、ソウル東北部郊外の河南市にあるこの地区。

 온천마을、オンチョンマウル。訳すと「温泉村」となりましょうか、온(温)천(泉)마을(村/集落を意味する朝鮮固有語)の입구(イック/入口)にいま、私は立っています。ここが、次なる「水」の場所…

 日本統治時代の地形図に付帯として記載されている「温井里(オンチョンニー)」が、いまの온천마을(オンチョンマウル)。昔の地図にある温「井」の字はイマイチあてにならず、発音が「チョン」で近似する泉(천)と井(정)を日本人が聞き取れず違う漢字を当てた可能性もあり(他所では結構ある)温泉が湧いていたのか不凍井戸があったのか詳細は分かりませんが、とにかく「湧き水」に縁のある場所と…
(そう言えば先に挙げた望月川の写真の辺りで日本統治時代に温泉のボーリング調査をして僅かながらに湧出があったとかどうとか…)

 そんなこんなで「湧き水の跡」を、炎天下のもと干からびかけながら歩いた7年ぶりの渡韓2日目の朝、でした…

(つづく)

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