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夜明けが始まる音がするMy Univerese(Coldplay×BTSドキュメンタリー感想)

"And now here we are(だって今、ここにいるじゃないか)"

My Universe のドキュメンタリーを観た。
約13分という限られた時間ではあるけれど、終始全員の笑顔があふれていて、実際に会うことの大切さを疑似体験させてくれて、本当に幸せだった。

特に、冒頭に書いた最後のクリス・マーティンの言葉があまりに素敵だったので、noteにして残したいなと思う。

歌詞とリンクした言葉回しが粋すぎる

このドキュメンタリーの最後はColdplayのクリスさんの台詞と、BTSメンバーを含めた8人全員の楽しそうな声で終わる。その言葉は原文だとこうだった。

It's like a dream coming true.
Because I saw it in my head for so many months,
And now here we are.
(夢が叶ったかのようだ。想像でしか会ったことがなかったのに
いまここに一緒にいる)
https://youtu.be/viM_c-Fc7sc 12:09~

歌詞みたいに綺麗な言葉だなと思いません?
クリスはJ-HOPEの言っていたように、会わずともできる曲作りを、リスクを冒して渡韓を行ったうえで、直接目と目をあわせて行っている。

出会ったことのない遥かに歳下の、全く種類の異なるアーティストに会うために、1人海外で隔離を受けること。多忙を極めるトップアーティストにとって、簡単ではなかったと思う。
でも、自らまず国境のBorderを越えてくれているのがシンプルにかっこいい。

そしてこの言葉、和訳字幕だけだと気付かなかったけれど、ものすごく歌詞と繋がっているなと思って。
曲の序盤、JUNG KOOKパートの歌詞がこう。

매일 밤 네게 날아가
꿈이란 것도 잊은 채
나 웃으며 너를 만나 
(毎晩君の所へ飛んでいく
夢だと忘れたまま
僕は笑いながら君に会うよ)
My Univerese より

夢でしかみたことがなかったけれど、気づかないまま笑顔で飛んでいったらさ…ほら今、一緒にいるじゃないか。
今、韓国でさ。そんなお茶目なニュアンスもある気がした。彼らが出会うことは、夢が形をもった現実になって、新しい宇宙をつくる瞬間で。そして、気づいたときにはもう、多様なBorderを越えているんだ。
誰かが決めた境界なんて、実は存在なんかしてないかもしれないよ、って誰より教えてくれる。

夢と、Dreamはどちらも「眠っている時にみるもの」「将来実現したい憧れ」の二つの意味がある。言語が違っても同じ意味でよかった。
なんて粋な言葉遊びをするんだろう。
その人の話す言葉に勝る訳は存在しないよなと改めて思った。

憧れとして、大人としてのColdplay

もう一つ印象的なのは、メンバーがいつも以上に"少年"なこと。
メンバーにとってのクリスマーティンは憧れの”芸能人”なのだなと実感する。

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パートを振られてうきうきで出ていくジミン(画像じゃ伝わりきらないね)も

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"練習したでしょう、違う?"
と言われて照れ笑いを浮かべるジンも

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"素晴らしい"と褒められて、Thank you!!!と緊張しながらも声を出しちゃうJUNG KOOKも

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直接褒められてびっくり嬉しそうなJ-HOPEも。

はしゃいじゃうSUGAも、弟が褒められてだれよりにっこり笑顔なVも、わくわくが抑えられないRMもみんな楽しそうでかわいい。

日本語や韓国語は敬語の概念が強く、訳すとどうしても年上からの言葉になってしまうけれど、クリスの言葉はいつだって対等だ。
でも、大人のものだなと思う。
何を隠そう私は、漫画の大人キャラが大好きなので…彼らも好きなワンピースで例えるならば、クリスの存在って、レイリーのようではないか?と思うのだ。彼らには彼らの冒険があるけれど、正しく導いてくれる大人は、いかに成長したって必要で。

Vがコールドプレイを「ロールモデル」と表現したのがまさにそれを表しているなと思った。彼らは国のなかで、そしてアイドルというバンドジャンルにおいての先駆者で、前を歩く人はいない。初めてその道を征く人は、注目も、功績も、苦しみも段違いだと思う。

でも、世界に出たらどうだろう。他にも、世界を股にかけるアーティストがいること。そして、苦悩を分かち合える人がいること。それはどれほど彼らにとって安心できることなんだろうと思った。

別のインタビューでもクリスは、"世界的"な人気が出ることに対する不安をRMから丁寧に聞き出したうえでこう語ってくれていた。

It's a funny thing.
Somehow the bigger than you get,
the more you realize that you're just one little human.and then you realize that you really you're just part of big story.

おかしな話だよ。大物になるほどちっぽけな人間だと気づく。自分は大きな物語やつながりの一部に過ぎないとね。

でもそれがそこに立つ人の特権だとも言っていた。本当にかっこいい…そしてナムの弱さを正直に出す強さ、純粋な言葉が、また素敵な答えを生んだのかなとも思った。

憧れの人が認めてくれる。そのことが不安感や、曇った未来をどれほど晴らしてくれただろう。そしてクリスは、自分の持っていないものを持ち帰る、ギラギラした気持ちも持ってきてくれたはず。お互いの良い影響になっていて、素敵だなあと思う。

私たち自身にとってのMy Univerese

Permission to Dance では祈りにも近かったこの先の見えない未来の終わりが、すぐそこまで来ていることをこの曲は教えてくれている気がした。あの頃はね、と笑って話せる日が来るなって。

Global Citizen Liveにて披露したMy Univereseが残した印象は3つの点で私にとって、ものすごく強かった。1つ目は、人々がマスクなしで語り合う未来が見えたこと。2つ目は、日の動きより早く、ネットワークを介してリアルタイムで繋がれること。そして何より、音楽を通じてBorderを超えた想いを分かち合っていること。

曲と自身の思い出は付随するから、今この世界で出会ったこの曲は、一生記憶に残る曲になるだろうなと思う。


誰もが不安ななかで、この曲をリアルタイムで聴いたこと。
世界中の人が曲に聴き入る間、同時に描いた夢。
同じ夢を分かち合った瞬間に、自分も立ち会えたことだけは。

夢ではない、素敵な"現在"だなと強く思ったのでした。

You are my univerese, and You make my world light up inside.
(君は私の宇宙であり、そして私のなかを照らしてくれる)

この曲を聴いた人にとってのこの曲が、それぞれの心を照らしてくれますように。

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