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お鍋の季節


20時台、仕事からの帰り。
あまりに眠くて、電車に乗っているわずか20分ほどの時間にもうたた寝をしてしまった。
あやうく最寄り駅を寝過ごしそうになり、寝ぼけ眼をこすりながら車両を降りる。


最近、いろんなことが相まって生活が慌ただしく、なんだかすり減っているなあ、と感じている。
一週間もあと一日。疲れたなあ、と思いながら、とぼとぼと帰り道を歩いていたときに、シェアハウスの友人から

「鍋食べない?」

とメッセージが来た。


夕食は納豆ご飯か何かで適当に済ませようと思っていたので、「はて、どうしようか」と思いながら家に帰りつくと、ラウンジからすき焼きのあたたかくて甘辛い香りが漂ってきて、気づいたら吸い寄せられていた。


仕事の話、恋愛の話、その他たわいもない会話を繰り広げながら、ぐつぐつ煮える鍋を囲む。

暗い帰り道を歩いていた15分前には、充電残り3%、という状態だったのに、気づいたら冗談を飛ばせる元気までわいてきていた。

今日は特に心身ともに疲れていたから、そのまま人と喋らずに明日を迎えていたら、きっと朝がつらかっただろう。
断ってひとりで納豆ご飯食べてなくてよかった。


疲れて帰っても「おかえり」と出迎えてくれて、なんでもない話ができる友人がたくさんいるいまの環境に、とても救われている。


(537字)

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