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旅行と同じくらい、日常が好きなことに気づいた話

気づけばもう10か月近く、東京23区から外に一歩も出ていない。

この週末、大学時代に所属していたサークルの先輩後輩に会う機会があった。
国際交流系の団体だったからか、周りは国内外問わずフットワーク軽く飛び出していく人ばかりだった。
社会人になっても、サークル仲間と会うたびに「この前はどこへ行った」「次の連休はここへ行く」といった最近の旅行先の話が上がる。
しまいには「旅行は日常」なんていうフレーズが飛び出すほどだ。

そんな環境の中で、回数こそ周りと比べて多くないけれど、わたしもそれなりに旅へ出かけた。
子ども時代をずっと同じ場所で過ごし、遠出の機会も少なかったせいか、「知らないどこか」への憧れが強かったこともあり、大学時代に行った場所はどこも刺激的で楽しかった。
だから、わたしは自分を旅行好きだと思っていたし、趣味を聞かれてそう答えることもあった。


けれど、世の中の状況が一変し、「旅行なんてとんでもない」という空気が流れ始めても、わたしは遠出ができないことに特段ストレスを感じなかった。
むしろ、自炊をするようになったり、近所をお散歩してみたり、それまで適当になっていた”生活”をきちんとすることに、楽しみを見出していた。

もちろん、どこかへ出かけることが嫌いになったということはなく、そろそろ新幹線や飛行機に乗りたいなあなんて思っている。
でも、旅行と同じくらい、なんでもない日常も楽しめているのだと考えたら、なんだか得した気分だ。


(612字)

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