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「男性だからというだけで警戒するのは男性差別だ!」という主張は、女性に罪悪感を抱かせようとするモラハラ仕草です

お笑い芸人「かまいたち」の山内健司氏が、先にエレベーターを待っていた女性に警戒されて一緒に乗らなかったことに腹を立てて、驚かすために一度上がってからもう一回戻ったというエピソードをテレビで披露し、インターネット上で批判が巻き起こっているようです。

女性に対する憎悪に起因した加害行為であり、「ヘイトクライム(=特定の属性に対する偏見や憎悪が元で引き起こされる暴力等)」に該当すると言っても過言ではありません。それをお笑いネタとして披露するなんて言語道断です。

その一方で、確かに「男性を一括りにして警戒するな!男性差別だ!」という不満を女性にぶつける言説が昨今インターネット上でしばしば見られるように、女性に警戒されることに対して異常に被害者意識を持つ男性が少なくないようです。

真っ当な感覚があれば、「過去に危ない思いをしていたら警戒して当然でしょう」と思うはずです。たとえ個人として被害を受けておらずとも、女性は有史以来常に男性から被害を受けてきたという先祖代々の教訓から、警戒する姿勢が多くの女性に備わっているのは当然のことと思います。

ですが、彼らはそのような女性側の視点は完全に無視し、ひたすら脆弱な自分の全てを女性に受け入れてもらえることを強要します。

これは非常に狂った態度です。たとえばもし、可愛いと感じる野生動物がいて近づいたけれど、警戒されて逃げられたとき、「人間を一括りにして警戒するな!人間差別だ!」と言ってその動物にあたり散らしている人がいたらどうでしょうか?

きっと狂った人だと思うでしょう。被害者意識を拗らせて、そのような狂った行為を女性に向かってしているのが彼らなわけです。

ところが、女性蔑視が広く浸透するこの社会において、イマイチ彼らの狂った行為が「狂っている」として当たり前に扱われていないと感じます。山内氏のエピソードがカットされないで放送されてしまうのも、マスメディアが「狂った行為」と判断できないからに他なりません。

そして、それが不十分であるために、被害を受ける女性の側が「警戒心を持ってしまっていて申し訳ない…」と自分に矛先を向けて、罪悪感を持ってしまっているのが現状だと思うのです。

というよりもむしろ、彼らの狙いはそれでしょう。「警戒するな!」と言ったところで、女性が「はい、わかりました」と警戒を解く効果が無いことは彼らも重々わかっているはずであり、彼らはあくまで「男性を警戒することは悪いことだ」と女性に思わせたいのだと思います。

まさにこれは「自分が悪いのかもしれない…」と思い込ませて自滅を狙う「ガスライティング」であり、典型的なモラハラ・DV仕草です。つまり、女性に向かって「ノットオールメン!」と叫ぶ彼らの行動は、女性全体に対する「ガスライティング」であり、女性全体に対するモラハラ・DVなのだと思います。

「女性に警戒されて辛い…」という男性の声を親身に聞こうとする人がいますが、そうして彼らの声を「聞く価値があるもの」として扱うことは、彼らによる社会的ガスライティングをほう助することです。

ですので、この手の話は「悪いのは警戒する女性ではなく、警戒されるようなことをしてきた男性たちだ。ガスライティングやめろ」の一言でおしまいにするべきでしょう。




現代の新しい社会問題を「言語化」することを得意とし、ジェンダー、働き方、少子非婚化、教育、ネット心理等の分野を主に扱っています。社会がちょっとでも良くなることを願って、今後も発信に力を注いで行こうと思うので、是非サポート頂けると嬉しいです。