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オムツや尿取りパットを重ねるという、無意味で非合理な非合理な使い方

介護の関連ワードとして ”オムツ” が挙げられる。
(ここでいうオムツとは、大人用オムツとお考えいただきたい)

オムツと言えば、両サイドの腰元をテープで止めるものを想像するだろう。しかし、補助的な役割も含めれば色々なタイプがある。

例えば、テープ式ではなく下着のように身につける ”パンツタイプ(リハビリパンツ)” がある。身体動作に問題はないが、失禁を想定した排泄サポート商品である。

また、オムツやリハビリパンツと一緒に身につける”尿取りパッド”もある。オムツやリハビリパンツと用途は同じであり、圧迫感は増すが、失禁したときにパッドだけ交換すれば済むメリットがある。また、オムツやリハビリパンツごと交換するより安価である。

可能な限りトイレで排泄をし、肌に直接触れるのは下着でありたいが、肉体は衰えていくことを受け止めて、必要に応じてこのような商品を活用することは恥ではない。
実際、これは何も介護に限った話ではないし、いまやスーパーでもドラッグストアでも普通に販売されている。

――— 大切なことは、自分の肉体に合わせて活用することである。
また、各メーカーが推奨している使用方法に即して活用することも重要だ。

なぜこのような話をするのかと言えば、オムツやリハビリパンツ、尿取りパッドをメーカーが推奨しない使い方をしているケースがあるからだ。

例えば・・・

・オムツの上に、さらにオムツを重ねる。
・リハビリパンツの上に、さらにオムツを重ねる。
・大きめの尿取りパッドの上に、小さめの尿取りパッドを重ねる。

・・・といったものだ。

これらはオムツメーカーによってはQ&Aにも掲載されていることから、おそらく商品として意図しない使い方をする人たちが多いと推察される。

また、私もたまに目の当たりにする。これは運営している介護施設における身近な話であるが、ときにベテランの介護従事者であっても誤解しているから驚きである。

しかし、ここでメーカーが推奨する使い方を伝えるわけだが、介護職員から難色を示されることが多い。

というのも、オムツや尿取りパッドを重ねて使用する理由として・・・

「利用者の〇〇さんは他の人より尿量が多いから、オムツと尿取りだけだとシーツが汚れてしまう」
「尿取りパッドを重ねておけば、失禁していても1つだけ交換すれば済む」

・・・と言った主張をするのだ。

――― おそらく、オムツやリハビリパンツ、尿取りパッドの基本的な性能を理解されている方であれば首を傾げるだろう。「尿量が多いなら、吸収回数の多いものを使えばいいのでは?」といったように・・・。

オムツ交換時に寝具を汚したくないとか、なるべく効率的に済ませたいと言う気持ちは分かるが、オムツメーカーだってその課題を解消するために商品開発をしており、それを踏まえて世の中に提供している。

しかし、推奨していないオムツの使用法をしている介護者は、単純にオムツの基本的な構造や性能を「知らない」のだ。

また、なるべくオムツ交換時の負担や周辺の被害が少ないようにしたい。

その結果であり予防策として、オムツやリハビリパンツ、尿取りパッドを重ねるという手段をする。

――― が、残念ながらオムツを重ねても意味は全くない。それどころか、オムツやリハビリパンツを重ねている分、それを身につけている対象者(高齢者など)の肉体にダメージや圧迫感を与える。

褥瘡や炎症などの皮膚トラブルを引き起こすし、身につけている当人に不快感を与える。

また、重ねて使用すると排泄物が漏れ出てしまうリスクがある。

なぜかと言うと、オムツやリハビリパンツ、尿取りパッドなどの吸収箇所は防水シートに覆われているため、その吸収限度を超えたところで、すぐ下のオムツや尿取りパットに流れるわけではないからだ。

もしもシーツなどの寝具を汚したくないとか、オムツ交換の効率性を考えるならば、重ねてしようするという意味不明で非合理的な使用方法をやめたほうが良いということはご理解いただけると思う。

まずは、オムツやリハビリパンツ、尿取りパッドを「重ねて使う」という発想をやめよう。また、排尿量が多いためにモレを気にする場合、吸収回数の多い商品に切り替えするという考えをしよう。

もちろん、「オムツ(リハビリパンツ)+尿取りパッド」はOKである。

これだけでオムツやリハビリパンツ、尿取りパッドを着用している対象者の圧迫感や不快感も減るし、皮膚トラブルも予防できる。

何より、介護者のオムツ交換作業の効率も上がる。排尿回数の多いパッドに見直しするなどを適宜行うことで、日中も夜間帯もオムツ交換をする回数を減らすことができる。介護する側もされる側もwin-winだ。

――― 介護では自分たちなりのやり方を編み出すことはあるが、それはあくまで基本に則っていることが前提である。

推奨されない、不適切な手技というのは、介護者自身の自己満足なうえに合理性に欠ける結果になってしまう。

何だか口うるさい記事になってしまったが、私もまだ勉強中の身である。
また、メーカーもどんどん製品開発を進めて便利になっている。

良い意味で「楽」をすることが、これからの介護にとって必要だろう。

もしも、本記事を読んで「ここが違うのでは?」などあればご教授いただければ幸いである。


ここまで読んでいただき、感謝。
途中で読むのをやめた方へも、感謝。

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