見出し画像

個々の事業規模が小さいから、介護業界はAIやデジタル導入が進まない

以下のnote記事をきっかけに『AI思考は武器になる』を読んだ。

この本はAIの基本知識や導入事例などが書かれていて、とても勉強になった。この手の分野の初学者にはピンとこないワードなどあるが「こういう言葉や考え方があるのか」くらいに眺めても十分に楽しめる。Notion AI とか知らなかったので面白かった。

さて、知識や事例なども学びになったのだが、一番考えさせられたことは「AIは事業規模が大きいほど導入が進む傾向にある」ということだ。

事業規模が大きくなるにつれて、業務改善による生産性の向上は重要になるし、社内の情報共有は意図的に密にしていかなければいけない。それによって新しい発想やアイディアを生み出す体制づくりにも寄与できる。

その1つの方策としてAIを活用するわけだ。AIを活用すること自体が目的ではなくて、AIを活用することによってよりよい未来に向かうことが目的である。

このようなAI導入に至るプロセスや考え方を学んだとき思ったことは

「なるほど、だから介護業界はITやデジタルが遅れているのか」

という気づきだ。

介護事業は基本的に中小規模である。地域密着性もコンセプトにあることもあり、事業所のほとんどは言ってしまえば個人商店のようなものだ。
もちろん、多様な介護サービスを展開しているグループ経営や介護施設もあるにはあるが多くはない。

では、中小規模であることがなぜITやデジタル化の遅れになるのか?

それは事業規模が狭いことによって、自分たちが現在やっていることに疑問を抱きにくくなるからだ。業務改善をしたり生産性を向上しようという発想がないため、何かを変えたり新しいツールを導入するまで至らない。

いくら「AIでこういうことができる」「AIは色々な可能性がある」といったところで、現状に何も疑問に抱かない人たちは「ふ~ん、すごいね」「ウチの事業所にはいらないかな」となる。

実際は「この作業が面倒だな」「この業務に時間がかかっている」と思っているのに、「介護はこういうものだよね」「ここの職場のやり方だから」「何とか現場が回っているから」として思考停止してしまう。

これが中小規模のあり方であり、そのほとんどが中小規模の介護業界のあり方だと思われる。

現状で何とかやっているから改善しようとしない。現状のままでもこの先も同じように何とかやっていける・・・そんな風潮が介護業界のあちこちで見受けられる。だから、AIはおろかITやデジタル化が一向に進展しないのではないだろうか。

もちろん、これは介護に限った話ではない。IT化はずいぶん前から言われているのに、現状においてテクノロジーの進歩がこれだけ進んで色々な課題を解決できるようになっているのに、各業界の動きは鈍い。

その一番の要因は、これまでその業界をけん引してきた人たちの現状維持思考ではないかと思っている。その業界の基盤を作り発展してきたことには敬意を抱くが、そこを変えてかなくてはいけない。

誤解しないでほしいのは、何でもAIを使えばいいとか、古い人間を排斥すればいいと言いたいわけではない。これらはあくまで進化のきっかけだ。

まず私たちがやるべきことは、変化の激しい時代においていかに早々に現状を手放す思考ではないだろうか。


ここまで読んでいただき、感謝。
途中で読むのをやめた方へも、感謝。

いいなと思ったら応援しよう!