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業務時間後に介護記録を作成する習慣を減らそう

昨日の記事では、介護施設において、業務時間が過ぎても帰らない職員について考察した。

そこで以下の要因を挙げて、1つめの「まだ担当業務が終わっていない」について詳細をまとめた次第だ。

~ 施設職員が業務時間が過ぎても帰らないと思われる理由 ~
 1.まだ担当業務が終わっていない
 2.業務時間が過ぎてから記録作成をする
 3.そもそも、時間を気にしていない
 4.次々と入居者の介助・対応に出くわす
 5.何となく帰りにくい雰囲気がある

他の要因についても検証するところであるが、3つめの「そもそも、時間を気にしていない」と5つめの「何となく帰りにくい雰囲気がある」は、もはや職員個人や職場にとって当たり前の状態であるため、これらを単発的に指摘しても理解されないことが想定される。

そこで、施設職員が業務時間が過ぎても帰らない状況を改善するためには、常態化した職場の習慣や雰囲気を是正するプロセスが必要である。

そこで本記事では、2つめの「業務時間が過ぎてから記録作成をする」を検証したいと思う。

なお、上記の要因については、私が現在、当の介護施設に対して現場にて状況確認と啓蒙をしているため、説得力に欠けることがあることをご了承願いたい。


■ 業務時間後に介護記録を作成をするのは普通?


介護記録の作成を、自身の業務時間後にまとめて作成する職員がいる。

それは、その日の施設状況が慌ただしかったなどの理由があってもなくても、業務時間が過ぎてから作成し始める。それが当たり前なのだ。

いわゆる夜勤明けの職員の中にもいた。日勤者への申し送り後、パソコンや書類に向かって、休憩を挟みながら1時間以上かけて入力や記入をしている職員もいた。

私は訪問介護サービスが介護の仕事のスタートなので感覚が違うかもしれないし、施設の動き方もあるのだろうが、介護記録は報告業務であると考えると、記録作成は業務時間内で終わらせるのが基本だと思っている。

訪問介護サービスの場合、在宅の利用者に対して作業報告(介護記録)をその場で作成してお客様に配布する。
報告書を紙媒体かデジタル端末で作成するかはさておき、客先に訪問して作業を行う仕事ならば基本的にその場で作業報告を作成し、お客さんへ報告する形態だろう。
もちろん、作業報告を電子媒体で行ったり、毎月まとめて報告する事業所や職種もあるかもしれない。

但し、いずれにしても、基本的にその日の作業報告(介護記録)の作成は、作業後すぐに済ませるべきものである。
これは介護職うんぬんではなく、お金のやり取りをしての仕事として当たり前のことを話しているに過ぎない。


■ 現場業務以外も「仕事」である


職場向けの話をすると、報告書の作成および提出が遅い職員は一定数いる。

介護記録に限らず、労務手続きに関する書類、有給休暇の申請や休み希望の相談など〆切を過ぎるのが当たり前の人もいる。

この手の人はもともとルーズな性格というのもあるが、座って行う作業そのものが苦手ということもある。
苦手なものに対して、人間はついつい先延ばししてしまう。「バタバタしていた」「現場が忙しいから」「●●さんの介助に時間がかかる」と言っては、報告や書類の提出がどんどん遅れる。

もちろん、個々の事情は考慮する。1人しか目の当たりにしていない出来事があったり、移動中に渋滞に巻き込まれたり、書類作成に時間がかかってしまうといったことはあるだろう。

それでも、それをいつまでも言い訳にされても困る。比較することはしたくないが、同じ職場でも他業種でも、現場業務も書類作成も業務時間内に済ませられる人はいる。

では、そのような人とそうでない人の違いは何かと言うと・・・

「報告書や書類作成も仕事のうち」
「現場業務だけが仕事ではない」
・・・ということを知っているか否かである。

失礼ながら、介護現場を大切にしている人のなかには、いわゆる事務仕事は自分の役割ではない、職場から言われてる面倒な作業という言動が伺えることがある。


■ 記録の内容を見直す、簡素化を考える


このような話になると、今度は介護記録のあり方の話に及んでしまうので、この辺りに留めたいと思う。

しかしながら、作業報告書たる介護記録という文章作成というのは、多くに人が苦手意識があるため、取っ付きにくく先延ばしにしたい気持ちも理解できる。

また、いざ報告書を作成し始めると「あれも書いたほうが良いか」「ちゃんと書かなきゃ」といった質にこだわることも時間がかかる要因でもある。
(これは良いことでもあるため、何とも言えない)

それでも、作業報告たる介護記録をその日のうち、可能ならば作業を行った直後に作成して、業務時間が終わるまでには、その日の自身の担当業務を済ませておく取り組みは必要である。

まず、介護職員で「記録の内容」を見直すことを勧める。
と言うのも、介護職員間で「記録は何を書けばいいのか」という指針が曖昧なことから、勤続年数が長い人でも、記録作成を始めると「え~と」と考え始めることがある。

そのため、利用者の状態、ケアの指針やケアプランをもとに、何を職場内で共有すれば、その利用者のためになるのかを見直すことが大切となる。

次に、記録作成の方法を簡素化することも1つだ。
これは何もデジタルの導入だけの話ではなく、紙媒体の記録用紙であったとしても、類似の内容や頻繁に書く状況などはチェック形式にしたり、利用者の状態は人体図を入れておくといったことで簡潔化もできる。

特に肉体の部位は、上肢下肢、右大腿部、前腕といったよりもイラストで「ここ」とバツ印など入れたほうが分かりやすいし、「あの部位の漢字は何だっけ?」と調べる手間も省ける。(実際、事故報告書の書式に人体図を入れたら伝わりやすくなった)


■ 最後に


業務時間が過ぎても職員が帰らないのは、結局のところ職場に課題があるからである。しかも、当人らはそれが当たり前となっているのがネックだ。

現場の意向はなるべく尊重したいが、業務時間が過ぎても帰らない状態を当たり前にしては、それは労働基準としての問題にもなる。

また、現場として知らず知らずのうちに疲労は蓄積することは、職員の健康にとっても長期的な運営にとっても悪影響であるため、どこかで改善しなければいけない。

と言うわけで、今回はその1つとして介護記録の作成を業務時間内で終わらせることを提言した。

すぐに改善できる問題ではないが、「介護記録ってみんな苦手だよね」という共通認識があるため、割と話し合いはしやすいと思う。
しかし、「より良くしよう」とすることで時間がかかる場合は、それこそ職場としての記録のあり方、報連相の体制に指針をもたせることが優先だろう。

施設運営とその改善をしている私もまだまだ道半ばであるが、このような小さなことから職場改善につなげていきたい。


ここまで読んでいただき、感謝。
途中で読むのをやめた方へも、感謝。

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