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国の名付けた介護サービスの名称では、世間の認知度が低い。各分野で認知度を上げる取り組みが必要

介護では「地域密着型サービス」という言葉がある。要介護状態になっても、これまで住み慣れた自宅や地域で生活を継続できることを目的とした支援である。

その種類は以下の通り。

  • 定期巡回・随時対応型訪問介護看護

  • 夜間対応型訪問介護

  • 地域密着型通所介護

  • 認知症対応型通所介護

  • 小規模多機能型居宅介護

  • 認知症対応型共同生活介護

  • 地域密着型特定施設入居者生活介護

  • 看護小規模多機能型居宅介護(複合型サービス)


――― さて、これらをご覧になって「きっとこういうサービスが受けられるんだろうな」とピンときたものは、どれくらいあるだろう?

おそらく、多くの方々は「訪問介護」という言葉くらいしかピンとこないのではないだろうか。せいぜい「通所介護」が関の山だと思う。

後半の四種類においては、言葉だけでは判断しきれないだろう。

しかし、安心していただきたい。おそらく、介護業界で働いている方々でもこれらサービス種類と役割を理解している人は少数である。




介護サービス事業の主体は、言ってしまえば国である。

高齢者介護の課題をピックアップして、介護保険制度など様々なサービス形態を創出し、各団体や法人が事業というカタチで提供している。

そのため、国が名付けたサービス名をもって事業展開するしかない。

しかし残念ながら、国が名付け親であるサービスのほとんどは、それを本当に必要とする人たちをはじめ、世間の人たちへの認知度がとても低い。

それを感じるのは、「認知症対応型共同生活介護」を運営しているからだ。

これは冒頭の地域密着型サービスの1つであるが、この名称で何のサービスかを判断できる人はかなり少ない。

そこで「グループホーム」と言うと、ようやく3割くらいが「ああ、ホームと言うからには施設なのですね」とピンとくる。

しかし、それでも「じゃあ、どんな施設なの?」「認知症対応ってあるけれど、他の介護施設と何が違うの?」みたいな反応をされる。

国が名付けた名称のままだと理解されないので、特に施設見学のときにはグループホームという名前だけでなく、介護サービスを知らない人向けに言い換えする必要がある。




介護サービス事業を理解してもらうために言い換えしたり、詳しく説明すること自体は問題ない。それは営業という観点から言えば、どの業種でも同様であろう。

しかし、この超高齢化社会に突入しつつある時世において、国からスタートしているサービスを世間が認識していない状態は問題だと思う。

多くの人たちが「介護で困ったら、あのサービスを利用すればいい」とすぐアクセス先が明瞭になっている仕組みづくりと認知度の向上が必要である。

それなのに、言葉と漢字の羅列だけでサービスを伝えようとしている。そこには何のクリエイティブさも感じられない。

また、社会情勢や社会問題、テクノロジーや人々の考え方がめまぐるしく変化しているのに、時代に合わせた言葉選びをしないのもいかがだと思う。

時代に合わせた言葉選びとは何かと言えば、現代で言えば「スマホで検索しやすいワード」と言える。また、困ったときに「そういえば、あんな言葉あったな」と思い出せるようなキャッチな言葉をPRしておくことも大切だろう。

これは別に斬新な発想ではない。他業種では当たり前にやっている取り組みである。自分たちが発信するモノやサービスを手に取ってもらうべく、その前に認知してもらうことは当然である。




だからと言って、国に「認知症対応型共同生活介護という名称はダサいです。もっと愛らしい名前に変えましょうよ」と言っても解決にならない。
それは介護サービスの認知度を国に依存している現状と変わらない。

介護業界は、国が名付けたサービス名だけで事業展開せず、もっと各分野ごとに世間への認知度を上げる努力が必要である。

そうしないといけないと思うのは、上記でもお伝えしたように「認知症対応型共同生活介護って何?」「グループホームって何の施設か分からない」といった世間の認知不足を身をもって体験しているからだ。

だからと言って「私の施設ではこういう取り組みをしてますよ」という様子をSNSに投稿すればいいという話でもない(これはこれで必要だと思うが)。

「介護とは」「認知症とは」「地域密着とは」といった、福祉としての根本的な取り組みを世間に伝えることである。

そのためには、まず介護を要する高齢者が理解できなくても、ご家族などの介護サービスを必要とする方々が「ああ、これはこういうサービスなのね」と理解いただける伝え方を模索し、未来につなげることが大切だと思う。


――― 偉そうに言っておいて、具体的なアクションにつながる話は書いていないが、ひとまず最近個人的に思ったことを問題提起として記事にしてみた。何かの一助になれば幸いである。


ここまで読んでいただき、感謝。
途中で読むのをやめた方へも、感謝。

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