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初めての実地指導で得たこと、現在の自分にとって活きていること

本ブログで実地指導への心得的な内容を書いているが、現在でもなお事業所も私自身も法令遵守に対応すべく精進する日々である。

それは当然のことであり、日本国内、世界各国、そして地球も目まぐるしく変化している時代において、それに適応するためには常に変化を察知して、自分たちが何に答えを出すべきかを分析し、その都度の解を出して行動する・・・というサイクルを自らに課さなくてはいけない。

偉そうに書いているが、私も介護事業所の管理者及び経営という立場となって、人知れず発狂しながらも試行錯誤を10年弱続けてきた結果として、上記のような考えができるようになった。むしろ、ここに至るまでに時間がかかり過ぎくらいだと思っている。

さて、ここからは初めて実地指導に臨むことになった私の話である。自分語りが嫌いな方はここで読むのを止めて差し支えない。そうでなく、無知な管理者が何をしたか興味がある方はお目通しいただけたら嬉しい。

管理者になった当時、私は管理者の役割どころか介護事業そのもの、介護現場というものを全く知らない状態だった。「そんな人間がなぜ管理者に?」という背景は割愛するが、ともかく全く何も分からない状態のなか、いきなり介護事業所におけるビッグイベントたる「実地指導」の通知が来た。

当然、何も分からないため実地指導もどういうものか分からなかったが、事業所内や当時中心となっていた経営陣のただならぬ雰囲気から危機的状況であることは理解できた。

一方、実地指導という怖い人たち(と思われている)を相手にする以上に戦慄したことがあった。それは、当時の前任の管理者も、訪問介護サービスの現場統括の立場にあるサービス提供責任者も、国家資格を保有している介護職員も・・・在籍しているほぼ全ての介護職員が、法令遵守というものに対して理解をしていなかったことだ。

このように書くと、私の事業所のあり方に問題があるように思える。いや、問題があったのは確かだが、ここまでひどくはないとしても、法令遵守の理解が浅い状況はどの介護事業所でもあるのではないだろうか?

つまり、現場応対や外部とのやり取りは表面的には褒められるのだが、その実情はズタズタだったという話だ。極端な例を言えば、雑誌にも取り上げられるほどの大人気のレストランが、実はひとたび厨房に入れば目も当てられないほど不衛生で、腐った食材を平気で使い、会計処理もめちゃくちゃだった、といったことが明らかになったようなものだ。

大げさな言い方かもしれないが、介護保険といういわば税金で介護事業を行っている立場にある者が法令遵守に無頓着というのは、どんなに現場スキルが高くて利用者に好評だったとしても、長期的な運営はできないことを意味している。どんなに介護事業や現場について分からない私であっても、運営について管理者クラスが無知という事態に危機感を覚えるくらいはできた。

そのような現状を受けて、まず私が行ったことは・・・

ひたすら自主点検を読み込む


・・・ということだった。
何だか当たり前のことのようだが、法令遵守を意識して運営してこなかった事業所の面々にとって、実地指導という事態になってもこのようなアクションをするという発想に至らないのが現実だ。

しかし、介護業界について知らなくても、現場経験がなくても、その事業所のことを知らなくても、基礎となる法令を理解さえすれば、それを元にPDCAサイクルの流れで「現状把握」⇒「課題分析」⇒「改善の実施」⇒「見直し」という手順で物事を進めることくらいは分かる。

そのため、当時は指定基準も解釈通知なども分からなかったし、時間もわずかだったので、指定基準を各介護サービス用にカスタマイズされた「自主点検」を知ることから始めたのだ。

法令遵守が分からないとはいえ自分の周りにいるのは介護職の先輩たち、介護の「か」の字も知らない当時の私ができたのは「ひたすら自主点検を読み込む」くらいしかなかった。単純に選択の予知がなかっただけだ。

「どのように読んだか?」 と問われるならば、ひたすら読んだとしか言えない。効率的なやり方なんて考えていられなかったので、一文字も逃さないように30cm定規を敷いて各項目を一行ずつ丁寧に読み込んだ。

ハッキリ言って理解なんてできなった。参考書もインターネットの情報も不足していたこともあり、「こういうことかな?」という仮説としての解釈と疑問をひたすらメモしていった。解決しなければ、実地指導の当日に正直に分からないことを伝えて教えてもらうくらいの覚悟もしていた。

「どのくらい読んだか?」と問われるならば、正直言って覚えていない。事業所内に法令に詳しい人がいないと分かってから実地指導まで2週間を切っていたので、この期間は業務終了後に「自主点検項目を最初から最後まで読む」「最後まで読み終えたら、また最初に戻る」を毎日何回も行った。

・・・しかし、この「ひたすら読み込む」という力業は意外に有効だった。
内容は理解できなくても、法令の大雑把な構造や流れを肌感覚で掴めるようになってきたのだ。
例えば、「介護の法令ってこのような順番で書かれているのだな」「似たような単語が出てくるということは、これは大切なことなんだな」「同じ内容は準用とかいうもので略されるのだな」「ということは、元となる法令があるのだな」といった思考ができるようになってきたのだ。

そこからは少しずつ楽になってきた。詳細は長くなるので割愛するが、大まかな自主点検の内容をさらに簡素化して職員へ伝達し、バラバラだった書類や介護記録を書棚や倉庫から引っ張り出しては根拠書類に適応するかチェックする・・・という実際の準備につなげていった。(この書類や記録の整理はもはや大掃除だった・・・)

・・・とまあ、このように分からないなりに「ひたすら法令を読み込む」という力業をしたことによって、何とか実地指導の準備は進めることはできたわけだが、このようにブログに当時を振り返っているということは、ひとまず、私にとっての初回の実地指導は何とか乗り越えることができたという話である。

ここで改めて、本記事は完全に自分語りになってしまい申し訳ない。ブログという媒体を使って世間様に向けての捌け口みたいになってしまった。

それでも、この経験を通じて得たことはあった。本記事だと「ひたすら読み込む」ということが有効であると思われてしまうが、そうではない。
自分にとって未知の分野において、理解できないながらも基本的な要素を回数をこなすことで、大まかな構造を捉えることができたり、その分野の言語や文脈的なものを掴めることができる、ということを体感できたことだ。
それはつまり、私にとって1つの勉強法が確立した出来事でもあったということでもある。

当時の発狂しながら自主点検を読み込んだ思い出は薄れつつあるが、ちゃんと現在にも活きている。そういう意味では必要な経験だったと思って記事としてまとめてみたのだが・・・いかがだったろうか?

ここまで読んでいただき、感謝。
途中で読むのをやめた方へも、感謝。

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