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配属ガチャに外れても当たっても、実際のところ将来には特に関係ない

■ 「配属ガチャ」とは何か?


新年度になり、新社会人になった人もいれば、新しい職場や部署で勤務することになった人もいると思う。
そこではきっと、何もかも初めての経験であり、戸惑いつつも周囲の助けと個人の努力によって乗り越えることができるだろう。

一方で「こんなはずじゃなかった」と口にする人もいる。これは自分が期待していた部署に配属されなかったということへの不満である。

昨今では「配属ガチャ」と言うらしい。

”ガチャ”とは、硬貨を投入してハンドルを回すとランダムにおもちゃが出てくる”ガチャガチャ””ガチャポン”に由来しており、現代ではスマホアプリでも使われる。
そこから自分では選択できないランダム性のある事象に対して、”ガチャ”と言う言葉が用いられるわけだ。

そして仕事においては、人事が決めた社員の配属先を決めるにあたり、当人らには告げないまま「あなたはこの部署で働いてくださいね」「あなたの役割はコレですよ」と指定されることにランダム性があることから、配属ガチャと言われると推察される。

そして「希望したとおりにならかった」「期待どおりの人事でない」「〇〇の仕事こそ自分にはふさわしいはず」といった納得できない気持ちが配属ガチャという言葉に例えるのだろう。


■ 損得勘定からの雇用条件


このような時世だからか、会社においては年々、雇用するにあたっての労働条件通知書や雇用契約書などを提示する際に配属先や業務内容の範囲を明確に提示しなければいけなくなっている。

もちろん、これは大切なことである。会社と従業員、お互いに納得感をもって気持ちよく仕事がしたいものだ。このような話をすると「今どきの若い者は」と言うベテラン職員もいるかもしれないが、配属ガチャに類する不満や自身の評価に対して不当感を抱くことに年齢は関係ない。

インターネット上で数多の情報が得られる時代、誰もが損をしないように、あるいは自分の得(利益)になることに目を向けている。

そのような時代と知っているからこそ、配属ガチャなるものに不満を抱かないように、企業の中にはで希望する部署や職種に就けるように配慮している。ゲーム理論にあるナッシュ均衡などの研究もまた、このような時世を受けて研究されているのかもしれない。


■ 「人生なんて思ったとおりにいかない」という事実


特に社会人になりたての人たちは、なるべく最初のうちでつまずきたくないし、なるべく自分が希望する環境で働きたいと思うだろう。

・・・が、現実はうまくいかない。誰もが希望する職種や部署というのは、
大抵の場合は多くの人たちが希望しているもの。競争率が高いのだ。

そこに対して「当たった」だの「外れた」だの言いたくなる気持ちは分からないでもないが、配属ガチャとか言って一喜一憂するのは幼稚だと思う。

そう言えるのは、「人生は大抵の場合、自分の思ったとおりにならない」という事実があるからである。

誰もが希望したり期待したりするようになるならば、人間は争いを起こさないし感情を乱すこともない世界になっているはずだ。しかし、これまでの人類の歴史を振り返ってもそうでないのは、人類のほぼ100%が思ったとおりの人生を歩めないからに他ならない。

もしも、うまくいかないたびに「〇〇ガチャ」呼ばわりするならば、人生においてすべてのものはガチャという話になる。まあ、そう考えると、うまくいかない例えとしてガチャは的を得ているかもしれない。


■ スタートは実際あまり関係ない


しかし、ある程度の年齢になって気づくこととしては、社会人になってスタートが希望や期待どおりにならなかったとして、それは人生においてはさほど支障がないものである。

いや、正確には「スタートは関係ない」と言ったほうが良いかもしれない。

新社会人でも、心機一転して新しい仕事を始めたとしても、スタートがうまくいってもいかなくても、1年後、3年後、5年後・・・と経過してみれば、スタートはあまり現在の自分のあり方に影響を及ぼさない。

スタートの状態や環境はあくまできっかけであって、そこから自分はどうあるかを模索することのほうが重要である。

実際、希望する職種や部署に就いたものの「思ったのと違った」「自分の実力では無理だ」「何となく合わない」と言って辞める人もいる。
反対に、全然興味のない仕事に就いたものの、とりあえず求められている成果を出すために邁進したり、自己成長を惜しまない姿勢を貫ける人もいる。

面白くないと思う仕事を面白くしたり、その分野に興味がないどころか嫌いだけれども世間で広く使われてる商品開発をしている人だっている。


■ 気づいたら介護業界にいた


ちなみ私も、介護の仕事に就こうと思って今に至るわけではない。
もともとはシステムサポートもどきな仕事をしていたが、とあるタイミングで高齢者向けの宅配弁当の仕事を始め、そして訪問介護、介護タクシー、有料老人ホームなどの同一法人の介護分野で仕事をするようになった。

そして現在は管理職を経て経営に携わる立場にある。そして、その一方で同法人内の介護施設での勤務もしている。

かつてシステムサポートであちこち出張していた自分が、介護の仕事をしているなんて思っていないだろう。まして、その当時はダラダラとその日暮らしな生活していた自分が、現在では介護事業の経営や現場業務をしているのだから人生は分かったものではない。

現在の自分の仕事に不満はない。しかし、正直言えば泣き言を言いたくなったり、定期的に辞めたくなることもある。自分でシフトを組んでおいて「今日は何だか現場に行きたくねーな」と思ってしまうことだって珍しくない。

それでも毎日1時間の勉強や運動を継続したり、今まで取り組んだことのない仕事に臨んでみたり、現場をより良くするための仕掛けを毎日することによって「まあ、もう少し続けてみるか」と思えている。


■ 最後に


配属ガチャなんて考えるだけ無駄だ。

そこで不満に思うかもしれないが、とりあえず求められていることをこなしつつ、それでも希望する職種や部署に就きたいならば努力してみればいい。

そうしているうちに、そのうちたぶん新しい分野に興味を持ったり、思いもよらない出会いによって自分で「自分らしくない」と思える道に進むこともある。

そんな自分の未来にこそ、希望や期待を抱いてみてはいかがだろうか?


ここまで読んでいただき、感謝。
途中で読むのをやめた方へも、感謝。

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