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そばに行ってあげられない おもちゃに想いをたくして

私が子どものおもちゃを作っているというのを聞いて、メールでお問い合わせくださった方がいる。

「孫が4月に生まれるんですけど、おすすめのおもちゃを教えてもらえますか?」

ホームページをご案内して、その中の何点かをピックアップした。赤ちゃんが最初に手にするおもちゃとしてもいいし、作るのも比較的簡単。

「このおもちゃは、販売サイトで購入できますよ」とサイトのリンクを送ると、気に入ってもらえて、早速買ってくださったのだが、改めて送ってくださったメールの初めに
「おおー、キットだったんですね」と書いてあった。
そして続けて
「久しく手作り小物を作っていないので、自信がありませんが、にぎにぎとタオルボールから始めたいと思います。
娘のいるオーストラリアには、日本から航空便が送れず、船便で届けます。
コロナで渡航できず、出産のときにそばにいられないので胸が痛いですが、少し不細工でも私の作ったニギニギとタオルボールを娘も孫娘もきっと喜んでくれると思います。」
と書いてあった。

そして、発送から1週間経った今日、さっそく完成した作品の写真が届いた。

とても丁寧に作られた、可愛いにぎにぎとタオルボール。そばには喜びをともにするかのような、猫の置物。生まれてくる赤ちゃんが楽しそうに遊んでる顔が浮かんでくるような、幸せな写真。

一緒に添えられたメールにはこう書いてあった。
「うさちゃんにぎにぎ できました。
うさちゃんの口は難しいので省略しました(笑)。
オーストラリアの孫が楽しく遊んでくれるよう、一針一針願いを込めながら作りました。充実感でいっぱいです。ありがとうございます❣」

おそらく私に初めてメールをくださったときは、完成品のおもちゃを 購入される予定だろう。でもひょんなことから久しぶりに縫うことになった。

出来上がった時の充実感、そしてそれを遠い国で手にする娘さんの想いは、私の作ってものでは絶対生まれない。縫い目一つ一つに励まされたり安心したり、お母様のそばについてあげたい溢れる気持ちを、娘さんはしっかり受け止めるんだろう。

去年、出産の時そばに行ってあげられない親御さんの話をよく聞いた。
そんな中、こういう形で寄り添う形があるんだなあって、私もとても嬉しくなった。

しあわせ こいこい やってこい

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