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人事のためのキャリアコンサル_012:人事のキャリアゴールは?

「人事のためのキャリアコンサル」とは、"人事"プロフェッショナルの方々のキャリア支援を目的に、架空の人事経験者のプロフィールを元に、「もし私だったらこんなアドバイスをする」をまとめたコンテンツです。

キャリアサマリ:

  • 29歳、男性

  • 日本語ネイティブ、英語初級レベル

  • 新卒から現職、グローバル展開する大手インターネットサービス企業にて一貫して人事経験

  • 転職活動はしたことがなく、しばらく自社でキャリアを積んでいくべきか、30代を前に転職をするべきかを悩んでいる

  • 現在年収750万円

課題:

  • 自社の人事しか知らないため、人事のキャリアゴールや今後の可能性を知りたい。

キャリアアドバイス:

※ 以前書いた記事から一部転用+追記した内容です

50代以上の人事プロフェッショナルの方々と面談をさせていただいた経験から、人事のキャリアの可能性、キャリアゴールには大きく4つあると考えています。

  1. HR Head
    複数の人事チームを管轄する人事部門のトップのポジションで、タイトルとしては、CHRO/HR Head/HR Director/人事責任者等です。

  2. HR Business Partner
    経営・事業目標を人・組織の観点から実現するパートナーで、タイトルとしては、HR Business Partner/ HRBP/ 人事ビジネスパートナー等です。

  3. Stand Alone HR
    小規模企業の人事トップのポジションで、タイトルとしては、HR Headと同じく、CHRO/HR Head/HR Director/人事責任者等です。

  4. HR Specialist
    特定の人事領域に特化したプロフェッショナルのポジションで、タイトルとしては、Talent Acquisiton Director/L&D Director/C&B Director等です。

4つのキャリアゴールのうち3つが「ジェネラリスト」です。ジェネラリストとして経験を積んでいかれた方が、キャリアの晩年でスペシャリストに転向しているケースを見たことはありますが、その逆はあまり見たことがありません。

30代前半までの方で、かつ、定年まで正社員として就業をすることを目指していくのであれば、特定の人事領域の経験を積んでいくこと(スペシャリスト)よりも、複数の人事領域の経験を積んでいくこと(ジェネラリスト)をお勧めしています。

ただし、上述の表の通り、年齢を重ねていけばいくほど、転職市場にマッチするポジションの数が減っていき、競争が激しくなっていきます。50代の方で、会社都合で解雇をされた方とお話をさせていただくと、解雇をされる前から「独立」を視野に入れて準備をしていた方とそうでない方で、はっきりと次のキャリアに違いが出ていました。

準備をしていた方は、そのまま独立をされたり、計画的な資産形成をされていたために年収へのこだわりがないため、年収を下げて転職をされるなど、ポジションクローズの危機に対して、対処をされていました。一方、準備をされていない方は、年収を維持する必要があるものの、同水準の年収を獲得できる求人がほとんど存在せず、最終的には大幅に年収を下げて転職せざるを得ないケースが多かったです。

30代前半までであれば、まずはジェネラリストを目指し、キャリアの幅を広げつつ、40〜50代にかけて、「転職」だけではなく、「独立」の可能性を視野に入れて準備をしていくことが、これからの人事のキャリア戦略です。


「独立」という選択肢は、「取るべき」とは思いませんが、「捨てるべきではない」と思っています。

もちろん「給与収入」に頼らずに生きていける方法が確立されている方であれば、あえてそれ以外の収入源を作る必要性は低いでしょうが、多くのシニアな人事プロフェッショナルの方々の突然の退職話を聞き、定年まで給与収入一本で生きていくことすら実現できない可能性は高い、という考えに至りました。

「独立」というと、完全にサラリーマンという働き方を辞め、法人経営 or 個人事業主一本で生きていく、と想像されるかもしませんが、「月初に請求書を送付して、月末に銀行口座に入金を確認する」という状態を目指すことが、まずは独立の第一歩です。

「人事」の案件を作るためのきっかけとしては、例えば以下のようなアクションが考えられます。

  • 会社役員/事業責任者/人事責任者などの直接繋がりのある友人・知人と、自分のスキルで貢献できる仕事がないかを議論をする

  • 復業クラウド、lotsful、人事プロパートナーズ、CORNERなど、人事の副業案件のマッチング・サーチができるサービスを利用する

  • アマテラス、Wantedly、Youtrust、meetyなどの求人ニーズが探せるサービスを使ってニーズを探り、LinkedIn、Twitterなどの役員/社員と直接つながることができるサービスを合わせて利用して直接コンタクトを取る

まずは、ニーズがある/ありそうな企業とコンタクトを取って、とにかくアカウントを開くことに集中します。その際の仕事内容や報酬は先方の状況に応じてフレキシブルに変更。案件を獲得する前から、「XXが強みだからXXに特化する」「報酬はXX円以上」「この業界はNG」などと決めすぎずに、自分がどんな課題を持っている会社から求められるのか?を営業活動と実際の案件稼働を通じて探りに行きます。

実際にいくつか案件をやらせていただくと、自分の意外な強みを発見することができるかもしれません。例えば私であれば、

  • 人の話をちゃんと聞いて、関係者がわかりやすい形で整理する

  • 役職者に対して、関係のある人たちが言いにくい内容を率直に、かつ、不快にさせないようにフィードバックをする

  • 複雑なステークホルダーの考えを、それぞれに合った形で拾い上げて、一つの方向性にまとめる など

自分自身で強みだとうっすら感じていたものもあれば、「え、これでお金頂戴してもいいんですか?」と驚いたもの、一緒に働かせてもらった方々と比較をしたりフィードバックをもらって「自分の強みはこれか」と気づいたものなど、案件を通じての発見がたくさんありました。もちろんその逆、お客様のためにも自分が手をつけない方が良い領域もたくさん見つかりました。

ただ、上記の営業活動を「やりたくない」「できない」と現時点で思われるようであれば、正社員として生き抜いていくための方法や、その他の収入源を作る方法に注力した方がいいかもしれません。

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