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『タトゥー情報で寿司屋 解雇』? いや最初にハッキリ言いなされ!

 ショッキングなニュースだった。が、熟考すれば仕方ないとも思えた。

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▼ 思考の「バージョンアップ」

 ありとあらゆる情報が受動的でいてさえも瞬時に手に入る時代、「喫煙」や「性差」、「ジェンダー」、「働き方」など今までの <当たり前> が目まぐるしく反転、変化していっている。こうした変化に思考をバージョンアップしていくのは、現代を生きる以上マストだと考える。個々人の思想や表現は、誰かに危害を加えるものでなければそのままで良いと思っている私としては、そうした変化に必ずしも迎合する必要はないと考えている。
 ただ、知っていただきたいのは、迎合しなくともバージョンアップだけはしておいていただきたい。バージョンアップというのは、従来の状態を維持しつつ、それにさらに新たなパーツを実装し駆動を向上させることだ。元来あるものを完全に取っ払い、ゼロベースに新しいものを換装することではない。

 つまりは、以下のような思考フローであるべきと考える。

①かつての歴史を振り返れば「性差」は凄まじかった。

②(だが)私たちは気づいた。人は男女その他であろうと関係なく平等に一人のヒトなのだ。<←バージョンアップのきっかけのアイデア>

③(ゆえ、)男性ならこうあるべき、女性ならこうあるべき、トランスはこうあるべき、とバイアスをして決めてかかるのはおかしいことなのだ。


▼ 新しい思想に必ずしも迎合する必要はないが...

 さて、思考のバージョンアップは必須だが、バージョンアップしたその思考仕様に必ずしも合わせる必要はない、ということは既に述べた通りだが、

 バージョンアップができたということは、拒絶反応なくその思考を(とりあえずは)理解した、ということだ。私がマストだと言いたいのは、この『(とりあえず)理解する』というステップである。
 このバージョンアップの次に当たるのは「賛意を示す」「反駁する」「中立でいる」「ノーコメント」という、実際にアクションする、というステップである。

 ここまでになってくると、判断は個人の自由になってくるので、迎合するも反対するも、個人の自由なのである。そういった意味で、「バージョンアップは必須だが、新たに獲得したその思考には、必ずしも迎合する必要はない」と考えている。(もちろん、アクションステップで批判を選択し実際に行動に起こす場合は「愛のある批判」でなくてはならない。


まとめると...

✅ 目まぐるしい情報社会、<当たり前>が当たり前に変わる世界

✅ 随時その<当たり前>情報をバージョンアップ(理解)しておくのはマスト

※ バージョンアップ:換装ではなく累積的な成長で、過去の思想も維持する

✅ バージョンアップ(理解)した後はアクションステップで、個々人に委ねられる



▼ 本題「タトゥーですし屋解雇」について

 さて、ではここで本題のタトゥーの事件について意見を述べさせていただきたい。

 日本では1900年代のヤクザ劇などの影響もあってか、タトゥー(ここでは刺青やアートメイクとの区別は便宜的に行わず包括的にそう表現する)= 反社会的勢力 というイメージが板についている。
 それゆえ、品格のあるレストランや旅館ではタトゥーは一切NGとしたい、というのも理解できる。

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written by Sophie Miller

 事実、こちらの PIPE DREAM のコラムでも、ライター Barrie Grossが次のように解説していたのを記載している。日本よりタトゥー先進の海外でさえも、品格の高い場所ではややネガティブな印象なようだ。

The odds are that a four-star hotel may not want the concierge to have large tattoos of skulls and crossbones on the back of each hand. But the same hotel may have less concern if a dishwasher in the kitchen has those same tattoos because direct contact with the hotel’s customers is minimal.
四つ星ホテルは、コンシェルジュには両手の甲に大きなドクロのタトゥーは入れて欲しくはないだろう。しかし、同じその四つ星ホテルでも、キッチンの皿洗いが同じようなタトゥーを入れていても、ホテルのお客と直接接触することは最小限だし、コンシェルジュがそれをするほど心配はしないだろう。

 しかし、ただ「タトゥーがある」という事実だけで即解雇、というわけではない。タトゥーの有無だけでなく、その絵柄やサイズも良し悪しの判断基準としていることがうかがえるだろう。
 これはつまり、タトゥー自体を否定しているわけではなく、TPOに適しているかどうかを判断しているのだ。そして不適切と判断された場合には、タトゥーの半永続性という特質上、雇用が困難になるのだ。

 言ってみれば、『ウチで働く時はこの制服ね。』とボスに言われているのにもかかわらず、辞めさせられるまで私服で勤務している、といった状態である。

 今回の寿司屋で言えば、雇用側と被雇用側に対して各々に言えることがある。まず雇用側では、向こうもわかっているだろうと憶測で話を進めず、初めから働ける条件として『タトゥー等を施していないこと。ある場合、控えめな柄で衣類をまとった状態で視認できない場所にあること。』などと希望する条件を明示しておくべきだ。
 一方被雇用側は、品位のある寿司屋ということなので、TPOとして雇用契約時に『タトゥーがありますが問題ないでしょうか?』などと断りを入れておくべきであろう。


▼ 最後に、

 最初、この寿司屋事件をみた時は『マジかよありえねぇ...』と思った。が、考えをこうしてまとめているうちに思ったのは、この事例自体ではなく、Twitterの驚くべきリプライ欄だった。

・タトゥーのある不衛生的な人が握った寿司は食べられない
・反社だ
・寿司屋ならフツーに無理でしょ
・イメージ悪い

 もちろん、『なんで日本はこうタトゥーに保守的なんだ』という意見も散見されたが、おそらくは、タトゥーに対し上記のような心ないコメントをする人が、いまだこれほど存在するのか..ということに対し驚いたのだと思う。

 それゆえ、このnoteの冒頭には「思考バージョンアップ → アクションステップ → もし批判したいと思ったのなら、愛のある批判を」という考えについて書た。




 拙文でしたが、最後まで読んでいただきありがとうございました。

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