見出し画像

家庭に夫の居場所は?在宅勤務で気付いた家庭内での妻の権威。

1年以上続いている在宅勤務。週に1度程度出社し殆ど家で仕事している。社会人の長女も学生の次女も同じくリモートなので家にいる。

当然の事ながら、妻の機嫌は良くない。家族の人数分の朝食の準備はいつも通りだが、昼食も4人分をほぼ毎日準備しなければならない。コロナが発生する前は自分用に冷蔵庫にある残り物などで適当に昼食をとっていたそうで、それがいきなり4倍の食事を毎日用意しなければならない。

夕食も同様。それまでは会食だ、飲み会だと毎日のように外食していた。在宅勤務で毎晩家で夕食をとることになった。妻もそれまではせいぜい土日に料理の腕を奮っていたのが、毎晩となるとしんどいらしい。メニューを考えるだけで苦痛だそうだ。

ほとんどの時間を家で家族と共に過ごしていて、家庭は妻が城主であることに気付いた。家内と呼ばれるには意味があった。家の中は妻が仕切っている。夫は外で働き寝に帰ってくるだけ。

それまで子供たちと接する時間は妻が圧倒的に長く、意識せずとも、子供たちの行動や思考は城主である妻の波長に同調するようになっていた。

子供から大人に成長していくうちに、知らず知らずにその波長が形成されたのであろう。

夕食で食卓を囲んでいる際、女性陣3人は会話が弾んでいる。初めて聞く名の芸能人の話、化粧や洋服の話と尽きることがない。全く会話に参加できないのでつけっぱなしのテレビを真正面ながら一番遠い席から観るしかない。

次第に女性陣の会話が盛り上がり、大きな声で笑いだす。テレビが全く聞こえなくなる。

まあ、家庭の団らんとしては夕食のときに会話が絶えないのは良いことだ。でも、それは会話に参加していればの話だが。会話を楽しそうにしている家族をながめるのも癒される。でも、それは週に数回だからだ。

毎晩、会話に入れず密かに疎外感を感じていては癒されるのではなく、いらついてくる。

週に数回だけ食卓を家族全員で囲んでいる時は話題にも気を使ってくれ、会話に参加できた。でも毎晩では気を使う気力は萎えてしまうのであろう。

そんな会話に参加できない疎外感を埋めてくれるのがテレビだ。そのテレビの音が聞こえない!イラつきが爆発し、黙ってボリュームを上げる。女性陣の会話が止まる。

テレビの音声がだけが空しく部屋に響き渡る。ちょっと溜飲が下がる。だがその直後、ああ…なんて小さい男なんだ、家族の楽しい会話をなぜ黙って聞いてあげられないのか!っと軽い自己嫌悪に陥る。

これを毎晩のように繰り返している。

そろそろ結婚について思いを巡らせ始めている娘たちは、きっとこんな小さい男とは結婚すまいと心に誓っているのかもしれない。親父としてのメッキは既にはげかかっているが、更に地金にやすりを当てて磨いてしまっている。

妻は高校時代にソフトボールをやっていたことから、プロ野球のテレビ中継を観るのが好きだ。大好きジャイアンツの野球中継が始まると女性陣の食卓での会話がなくなる。好きな野球中継を邪魔してはならないと自然に反応してしまうのだろう。

私はそれ程野球に興味はなく、野球中継に夢中になることはない。いつもの女性陣の会話がない静かな食卓はなぜか寂しく感じてしまうのだが…。

妻が家を守り、私は家の外で働き、たまに家族たちと食卓を囲んで皆の無事を確認する。

このサイクルがもう20年以上続いていた。いきなり家で仕事し、外出を極力避けるような生活を強いられているが、家の中で築きあげられた妻の権威はそう簡単には崩れない。

家庭円満の秘訣は妻に逆らわず言うことをきくことだ、聞いたが「まさしく!」とこれを実感している。妻には子供という強力な親衛隊がついている。

最近は、週に何回か出勤する長女を車で駅まで送り、その帰りに自分の昼食をコンビニで買って帰っている。昼食をサラダのみにして肥満対策にすると同時に妻の負担軽減という対策も兼ねている。あと風呂の掃除とゴミ出しも忘れてはならない。

城主の怒りを買い年貢を引き上げられないよう、気をつけよう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?