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水が生まれる環境ごと守り続けるウイスキー造り - サントリー

日本初の国産ウイスキーを生み出し、高い技術と実績を重ねるサントリー。

創業者が信念を持ってチャレンジと創意工夫を繰り返し、日本人の口に合う洋酒造りにかけた情熱とこだわりの精神は、今も私たちに上質なウイスキーを届けてくれています。

立て続けに金賞を受賞し、その確かな品質が世界で通用することを証明したジャパニーズウイスキーは、人気のあまり現在では原酒不足の影響で有名銘柄が次々と販売休止になるほど。

日本国内に2ヶ所あるサントリーのウイスキー蒸溜所を訪れ、そこで感じた豊かな環境と水へのこだわりを通して、ウイスキーの魅力を紹介したいと思います。

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古くから知られる名水の里「山崎」

京都と大阪の境目に位置する山崎は、創業者鳥井信治郎氏が水にこだわり探し続けて、国産ウイスキー誕生の地となりました。
古くは千利休が山崎の水で茶をたてたことでも有名なほどの名水の地です。

最寄り駅は京都府、蒸溜所があるのは大阪府。
細い路地を曲がりながら10分ほど歩くと、踏切の先に特長的な蒸溜窯が展示されています。

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木と樽に囲まれた建物は、琥珀色のウイスキーと調和して高い品質を感じさせてくれました。展示物の一つ一つが、国産ウイスキーの技術の高さと誇りを伝えてくれます。

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中でも、動画で紹介されていたブレンダーの仕事が特に印象的でした。
環境、温度、水の状態など、樽ごとにウイスキーの個性は違ってきます。その一つ一つの香りと味を丁寧にテイスティングして、研ぎ澄まされた職人の感覚によって銘柄ごとに特長のあるウイスキーが生み出されています。

この蒸溜所の原酒だけでブレンドされる「シングルモルトウイスキー山崎」の深みと濃さ。

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創業から今に至るまでサントリーが積み重ねてきた歴史そのものに感じられました。

豊かな天然水と野鳥の聖地「白州」

山梨県北部にある旧白州町は、市町村合併により2004年に北杜市となりました。
北杜市っていい名前ですよね。
木と土で構成されている「杜」という字は「もり」とも読み、豊かで清らかな森そのものを表しているようです。

そんな自然に恵まれた南アルプスのふもとにあるのが、白州蒸溜所。

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白州の広大な敷地内には、バードサンクチュアリと呼ばれる野鳥の保護エリアがあります。自然に暮らす野鳥を守ることは、そのまま山の自然を守る活動でもあります。

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子どもたちの手による巣箱。

遊歩道を歩くと、アカゲラ(キツツキの仲間)の案内看板が立てられていました。

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元々ある野鳥紹介の看板には、野鳥がつついた特長的な穴の跡がいくつも確認できます。
人間が設置した看板の柱に残された野鳥の痕跡を発見してから立てられたアカゲラの看板に、サントリーが大切にする水の生まれる環境ごと見守り続けている姿が浮かびました。

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白州を訪れたのは雪の舞う寒い日でした。
厳しくも澄んだ空気に、ウイスキーは単なる材料の組み合わせではなく、長い年月をかけた自然との共存と、気が遠くなるような忍耐と熟成による結果なのだと感じます。

天使の取り分

「天使の分け前」とも言われる、ウイスキー造りの本場スコットランドに伝わるこの逸話が私は大好きです。

樽の中で何年も熟成を重ねるウイスキー。小さなお酒の天使たちがこっそり味見をして、美味しくできているか確認します。そうして、味わい深いウイスキーが完成する頃には、仕込みの段階に比べて徐々に容量が減っているのです。

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"天使"というと可愛い子どもの姿を思い浮かべてしまいますが、昔サントリーで買ったグラスに描かれたウイスキーの天使は、このとおり愛らしいおっさん(笑)。今では入手できない貴重なイラストです。

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ウイスキーを味わうとき、見えないところでちょっと美味しいお仕事をしている天使たちのことも一緒に想うのです。

「やってみなはれ」の精神

サントリー創業者の鳥井信治郎氏の、あまりに有名なメッセージ。
彼は失敗を繰り返しながらも未知への挑戦、新商品開発への飽くなき挑戦を自身が体現してきました。
そして周囲にもそれを口癖のように伝えるのです。

「やってみなはれ。やらなわからしまへんで。」

お酒というと自堕落な酔っ払いのイメージが付きまといますが、鳥井氏がサントリーという企業を通して目指した良質のウイスキーは、日本人の意欲とチャレンジ精神を後押ししてくれる力強い存在といえます。

2014年に放送されたNHKの朝の連続テレビ小説『マッサン』では、鳥井氏をモデルにした堤真一さん演じる鴨居欣次郎が印象的でした。
一見、破天荒で豪快で勢いに任せた行動に見える彼の言動は周囲との衝突も多いものの、良い商品を作るための情熱と信念を持つ人物像は魅力的で好感を持ちました。
堤真一さんの声と表情で再現された「やってみなはれ」が、鳥井氏本人からのメッセージであるかのように強く勇気を持たせてくれます。

「命の水」とともに生きる

ウイスキーの語源は、スコットランドの古い民族の言葉で「命の水」。
サントリーの企業理念である「水とともに生きる」と見事にマッチします。

この良質でなめらかな琥珀の液体を長く楽しむために、無茶をせず日々の健康には気をつけます。
飲酒と健康は一見相反するような印象ですが、過ぎた日の労いと明日の活力につながるウイスキー、私にとってそれは確かに命の水なのです。

一日の終わりには、サントリーのウイスキーを傾けて乾杯のひとときを。


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