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「む」から始まる本屋の意義

書き手の多くは本を読む習慣がある場合も多いと思います。そうすると周囲から「オススメの本は?」って聞かれることもある程度多いのではないかな。相手の嗜好が分からない唐突な質問の場合、これって難しい問題です。

例えば自分がすっごく好きな作家がいて、その深層まで知りたくて書籍から手記からインタビュー記事まで読み漁って映像作品を網羅してトークショーに出かけてサイン本まで持っているとか、それくらい熱量を持っていた場合。
これから初めて読む人に「その人のオススメの本は?」って聞かれたら、その一冊目ってけっこう推薦する重みが生じてしまう気がしてしまいます。

聞く側って軽い気持ちなんですよね。でも推す側としては好き度合いのギャップが埋まらなくて「たいしたことなかった」って思われるくらいなら、知らないでいてもらった方がお互い平和に収まる気もするし。
どうせ伝わらないんだったら「よく分かんないけどなんだかすごそう」って思っていてもらった方が価値を維持できそうというか、むやみに下げずに済みそうと考えてしまったり。

何の話かって言うと、昨日の村上春樹からの今日の武者小路実篤の話です。

余計分からないな。

村上春樹の小説作品が個人的にあんまりグッと来ていない(先のことは分からないので今のところ)のだけど、エッセイ本はかなり好んで読んでいるという話を書いて、数多い出版物の中でまだ読んだことがない作品も多いことから新たな本を入手する目的で古本屋に行ってきたんです。

五十音順に並ぶ本棚を追いながら「む」の前に来たとき、目に入ったのが武者小路実篤の本。わぁ。個人的にわぁ。

ここnoteで書いたり読んだりをしてきた中で、うめがきたねさんが紹介するむしゃさん(武者小路実篤)との出会いは私の中でかなり心捕らわれてしまった存在で、そのくせ実は作品を一つも読んだことがないのです。

それこそ初心者みたいに「一冊目としてなにかオススメは?」って聞いてしまいそうで、でもそれが逆の立場だったら私はきっと困ると思って聞けてなかったように思います。
好きで好きで好きな作家のことを興味持ってもらうのは嬉しいけれど、同じように好きになってもらうには入口ってどこだろうって悩むだろうし。
私がこんなにむしゃさんに心掴まれたのはうめがきたねさんの熱量だったので、この先は自分の手で出会いを探そうと考えていました。

そして今日、一冊目を決めてきました。

良いのか悪いのか評価すら知らないけど、数冊並んでいた本の中から選んだ自分の直感がむしゃさんの一冊目です。

「む」繋がりのきっかけをくれた村上春樹さんはまた次の機会に。

今はなんでも検索でピンポイントの情報も品物も手に入る時代だけど、こんな出会いもあるから本屋のような物理的手段で探す機会は手放せないなと思います。

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