2023年J2第18節 V・ファーレン長崎 - ジュビロ磐田 マッチレビュー
磐田目線で振り返っていきます。
長崎サポーターはホクホクしてください。
そして磐田サポーターの精神安定剤になれば幸いでございま。
先発
カイオ・セザールと宮城が出場停止、スコアラーのフアンマも欠場。メンバーの中枢が変わっている。
ルヴァンカップアウェイ鳥栖戦から中2日、先発全員入れ替え。前節休養の鈴木雄斗が復帰。山田大記はコンディション不良?なのか欠場。
前半
慌ただしい立ち上がりになった。
0:35
ゴールキックを三浦が松原へ繋ごうとするがキックミス。
2:17
グラッサがビルドアップをミス。
3:16
遠藤がビルドアップを最後尾中央で引っ掛けエジガル・ジュニオのシュートはクロスバー直撃。
1:45
松原のクロスを藤川がヘディングでピタリと合わせて波多野がストップする決定機のシーンがあったが、
このシーンを一瞬で忘れてしまうほど、不安定な立ち上がりを磐田が見せた。
試合後の選手コメントから分かるように暑さはあった。
選手からすると、今シーズン最初の夏日のゲームだったと思われる。
僕もスタンドで座っているだけでじっとりと汗をかいた。
磐田は環境にアジャスト出来ず、
単純な凡ミスが前半だけで片手では収まらないほどの回数見られてしまう…。
試合前のウォーミングアップで長崎よりも磐田側が早くピッチに現れ、
先発メンバーが長崎より早くロッカールームに引き上げたのは気にはなった。
アウェイチームはそういうものではあるが、早く引き上げすぎたのではないか?
暑さを嫌がったウォームアップになってしまっていたのか?
フィジカルコーチ含めて再確認することになると思います。
試合の立ち上がりは原則、時間のリミットを決めて、まずは敵陣にボールを送り込むというのはフットボールのセオリーだ。
相手の立ち位置を確認する為、身体を動かすことで試合にスムーズに入る為だ。
基本的なことが出来ていなかった磐田の立ち上がりだった。
それだけフットボールに於いて立ち上がりはクリティカルな時間帯だ。
下から繋いでいくことでボールを失うリスクを減らしたいのはOKだが、
自陣でボールを失うなら敵陣で失った方がましである。
ゴールから遠いからだ。
だからまず、敵陣へボールを飛ばすのだ。
繋いでいく身体と心の下準備をしてから繋げば良い。
淀みなくポジショナルプレーのビルドアップが出来るチームではないのだから、リスクはかけたくない。
慌ただしい立ち上がりが過ぎていくと両チームの構図が見えてくる。
長崎ボール保持(攻撃)×磐田ボール非保持(守備)
長崎はボール保持は3-1-4-2(3-4-2-1)気味。
左肩上がりの可変。
米田が左のウイングバックの立ち位置をとった。
ボランチは片方がアンカー化、片方がインサイドハーフ化することが多くなった。
クレイソンは1.5列目且つツートップ気味になってエジガル・ジュニオを支える。
おそらくは今季初めての採用された可変システムワーク。これまではボール保持時は米田が左のセンターバックだったので一つ立ち位置が上がった形。
磐田の非保持は今節も4-4-2。
ゾーンマンツーのミックスで人基準の要素が強い。
前半の磐田は、ボール保持の不安定さもあったのか、非保持はブロックセット重視で進んだ。
長崎がゴールキーパーの手からビルドアップ開始時、もしくはゴールキック時に関してはマンツーマン気味で、どこからも前から付いていき捕まえる。
長崎のスリーバックと磐田のツートップで長崎の枚数が1枚余裕があるが、
そこに磐田のサイドハーフが自陣から敵陣までプレッシングをかけるシーンは少なく、
ラインを越えられてからはステイして4-4を維持する場面が多かった。
磐田の奪う位置は低くなるが、長崎は外ルートの攻撃がメインとなった。
磐田ボール保持(攻撃)×長崎ボール非保持(守備)
対して磐田の保持は最後尾が2~3枚。
3枚時はボランチの片方がサリーダ、サイドバックが幅を取る3-1-5-1の様な保持が長くなる。
いつも通りだ。中央は流動的。
長崎の非保持は4-4-1-1(4-4-2)
最前線の助っ人2人の規制はハードではなく、磐田は脇から持ち運べるが長崎も迎撃にでるよりは4-4を維持する形を取っていた。
すなわちこの試合は可変の仕方は違うもののほぼミラーゲームに近い構図になった。
保持時に最後尾とボランチでひし形◇を作るオーガナイズすらもミラーに近い。
互いにブロックの外、サイドからのクロス、ミドルシュートでゴールを狙うが、
お互いのオーガナイズが噛み合い停滞感の長い前半になった。
少し、眠たくなる試合だったかもしれないが、噛み合わせのさじ加減を注意深く見れば、打ち消し合う様子は面白い試合だったと思います。
磐田としてはドゥドゥのフリーキックで試合にカツをいれていたし、
横内ジュビロらしいサイドアタックで藤川がゴールへの花道が開くシーンが数回あったが、シュートは枠を捉えられなかった。
最後の仕上げのキックの軸足の踏み込みが甘いかもしれない。(大津辺りを参考にして欲しい)
ハーフタイム、停滞感のある前半を見かねて、横内監督が動く。
遠藤→古川にチェンジ。
ドゥドゥをボランチに下げる。
メッセージはボールを早く前に出そうというものだ。
後半
46:54
早速、松原のクロスのこぼれを松本が押し込んでいくがヴァウドがクリア。
57:40
ドゥドゥのミドルシュートが相手に当たりクロスバー直撃。
後半は磐田の良い時間帯が続いた。
押し込んで、左の古川を孤立させ1vs1を作り、インスイングのクロスが増える。
しかし、先制ゴールは長崎に生まれた。フットボールは良い時間帯だから点が取れるわけじゃない。
69:50
敵陣で押し込んでプレッシング体制の磐田を長崎が裏返す。
攻めてるときの磐田の保険的マンツーマンマーキングを逆手にとった疑似カウンター。
エジガル・ジュニオのクリーンで見事なポストプレーが決まり、最後は米田が鈴木雄斗を鮮やかに交わしシュートを流し込んだ。
長崎、カリーレ監督の米田一列上げの起用が当たる。
直前の3枚交代で、右肩上がり可変に変更、オリジナルポジションもさらに1列上げていた。采配的中である。
長崎は今節まで左右逆の可変システムを採用しており、静的な状況では、特にこれまでと形に変化は無いのだが、
トランジション時のパフォーマンスや、特にこのシーンの様なポジティブスプリントを迷いなく決断させる後押しになったのだと思う。
磐田としては、せっかく敵陣でプレー出来たのだから、増山のエジガルへのキックを封鎖したかった。
そして鈴木海音、鈴木雄斗は人に付きすぎて、自陣でプレーをしてしまった。
クリスティアーノのバックパスのタイミングでハーフウェーラインを越えてプレー出来たはずだ。
さすればエジガルをサンド出来ただろう。
ボールが下がればラインアップする。
古くはトルシエジャパンが教えてくれたこと。
最悪、鈴木海音はカード覚悟で止めるべきだったし、1vs1の強度で負けないというのは無論、向上して欲しいところ。
この授業料は高い。
前半からブロックとミドルプレスをバランスよく織り混ぜていれば、リスクを最小限に抑えられたのだろうし、
後半にギアを上げるデメリットが失点に現れてしまった。前半が勿体なかったよねと。
ボールを早く前に出すけど、カウンタープレスもハイプレスも実装していないのが試合に出てしまう。ならばもっとバランスよくだ。
失点後の磐田はハイプレス攻勢。3バックに3枚を当てにいった。
するとまさかのプレッシングのメリットの方から得点が生まれる。
75:40
長崎の最後尾の繋ぎのミスをジャーメインが見逃さず同点に。
波多野というよりは、増山のミスか。
ゴール方向を外してニアにボールを戻せば、何でもないバックパスだったはすだが、痛恨のミスで試合は振り出しに。
ジャーメインのスプリントも素晴らしかった。
現代サッカーはやはりインテンシティがキーだ。
84:00
磐田は最後の交代カードとしてファビアン・ゴンザレスと鹿沼を投入。
アウェイで逆転ゴールを狙いにいくベンチからのサインか。
金子は投入せず、ジャーメインをあえて前線に残す。
交代カードの特徴を象徴する様なオープンな状況になる。
同点ゴールからは長崎は2枚でビルドアップする攻撃的なビルドアップもやるようになる。
アディショナルタイム
94:50
長崎がフリーキックの流れからの増山のクロスを都倉が折り返し、
そのボールをジャーメインが空振りしてしまい、
最後は米田がプッシュして長崎が劇的なゴールで勝ち越した。
もうこれはヨネダ2000。カリーレ采配爆当たり。
一見、この試合はジャーメイン劇場だが、実際には増山劇場だったと思います。
磐田は交代カードが裏目に出たというよりは、交代カードの意図を汲んで、もっとラフなボールを前線に送っても良かったのではないかと思うが、これはさすがに結果論。
2-1で敗戦。
カリーレ監督の采配が見事だったと思います。
3枚替えで古川対策を施したことも功を奏していましたし、都倉の折り返しは貴重なプレーでした。
長崎は米田の攻撃力を再考するという試合に出来たんじゃないかと思います。
試合に入れなかった要因から見えること
この試合、前半の磐田は本来のパフォーマンスが出せていませんでした。
それは暑さが要因だったのか???
確かに暑さはあったというのは前述の通りですが、
五百蔵さんのツイートにも頷けるツイートがありました。
編成面からくるしわ寄せというのはありますよね。
本来なら廻りに激を飛ばすべき20代後半の選手がまだまだリーダーシップを発揮出来ていないのは、年齢バランスの悪い編成が続いていたことが関連しているのは間違いありません。
この試合で感じたのセンターラインのオーガイナイザー、キャプテンシーの不足。
例えば、この時間帯だからこういうプレーをしよう!という様に試合を読みながら廻りを導くプレーヤーがセンターラインに見当たらないのではないかと。もしくは居るが影響力が足りないか。
この試合で言えば、長崎の澤田が倒れてプレーが切れた時に、どういう声かけがなされていたのか気にかかるところです。
当然ですが、サイドの選手はそれぞれのピッチサイドで給水を行ないますし、試合をコントロールするセンタープレーヤーはベンチと選手同士の意思統一の確認をするべきでしょう。
正しい競争は大歓迎なのですが、サイドプレーヤーはメンバーが固まってきたもののセンターラインは逆に言えば入れ替わりが、激しいとも言えます。
21年は真ん中に大井、山本康裕、遠藤、山田が居ましたからね。(翌年、このバランスで痛い目を見ましたが、)
後半戦で23年版の熟したチームが出来上がることに期待したいです。
個人的にはここからリーグ戦に復帰してくる金子に期待しています。
終わりに
私的には現地観戦のリーグ戦でまたも勝てずで、凹みますが、こうやって振り返ってみてもチームの積み上げを感じることが多く、幸せを感じています。
三歩進んで二歩下がる、この繰り返しの渦中という印象です。
緩やかに上がっていくチームを応援出来る幸せは、後々振り返ったときに気付いたりするものです。
横内監督のインタビューにも説得力を感じます。
カップ戦とリーグ戦で続けてのアウェイ九州という今季最も過密な遠征が終わりましたので、選手には休暇を取っていただきて、次節、秋田戦に万全のコンディションで挑んでいただきたい!
ここからルヴァンカップで復帰した選手がリーグ戦に絡んできます。
この試合もそうでしたが、特定の局面に特化した、言わば尖った選手がベンチに座るケースがこれまで多かったですが、スカッドに厚みが出てくることで、良い方向にいくのではないかと思っています。
今回はこんなところで筆了!
反応(スキ、いいね、RT、フォロー他)たくさんお待ちしております!
お読み頂きありがとうございました!
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