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タイムマシン経営は成り立たなくなりつつあるのか

 タイムマシン経営といえば、もはや説明不要かもしれませんが、近年はコピーフロムチャイナということで、中国ビジネスがそっくりそのまま日本で模倣されたモデルが多く展開されている。

 しかし、どれもこれも孫正義氏が標榜していたタイムマシン経営風であるものの、日本で広く普及し先行者利益を享受しているとは言い難い気がしている。むしろ、どれもこれも100均で売っている便利グッズにしか過ぎない気がしています。

タイムマシン経営とは

 海外で成功したビジネスモデルやWebサービスをいち早く日本で展開し、先行者利益を得る経営手法のことで、ソフトバンク創業者の孫正義氏が命名したと言われています。Yahoo!などがその事例としてあげられていることが多いかと思います。

 1990年代から2000年代初期にかけてのインターネットバブルの時代、海外、特にアメリカやヨーロッパのインターネットビジネスは日本のかなり先をいっており、日本とのタイムラグが数年あったと言われています。(私はまだ中高生だったため、良く知りませんが)

 そのため、欧米から最先端のビジネスモデルをコピーして日本で同様のビジネスを展開すれば、タイムマシンで未来からビジネスアイデアを持ってきたかのごとく、ビジネスを成功させることができるというコンセプトに由来すると言います。

コピーフロムチャイナ

 近年は欧米よりも中国のほうが、様々なサービスにおいてサービスが先進的であると言われています。そのため、中国のビジネスモデルの方が模倣されているように感じます。(もちろん、欧米からの模倣もまだまだ健在ではありますが)

 QRコード決済やシェアサイクル、フードデリバリーなど、様々なサービスが模倣されており、我々の生活の中に溶け込もうとしてきています。つい先日も、地元のとある飲食店に充電バッテリーのシェアサービスである「ChargeSPOT」なるものが設置されており、こんな地元感溢れる飲食店にまで普及していることに驚きました。

※写真を取り忘れたので、PRTIMESさんのページより画像借用。
 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000073.000033521.html

 もともとは中国でかなり普及していたサービスであったようなのですが、日本でも昨年頃ローンチし、現在は2万台を超える設置が進んでいるようです。

 このように様々なサービスを中国から模倣している日本ですが、もちろん中国も欧米を模倣したり、日本も欧米を模倣したりと、似たりよったりのサービスが各国でそれぞれ独自の進化を遂げて発展しています。

 しかしこれらは、もはやタイムマシン経営とは言い難く、タイムマシンに乗って未来からやってきた革新的なビジネスモデルであるとは感じられなくなってきていませんか?中国で流行ってるアレ、来たね。日本にも。というレベルの感覚でしょうか。

 さんざん他のメディアでも出てきている話題ですが、昔よりも情報の伝達スピードがインターネットによって格段に早くなり、決して目新しいものではなく、インターネット上で瞬時に国境を超えて情報は伝わってきています。そのため、海外で流行っているという事実は周知であり、若き頃の孫正義氏のようにわざわざ渡米した先で、新しいビジネスモデルの発見というのはもう多くは無いのでしょう。

タイムマシン経営は成り立たなくなりつつあるのか

 あくまで体感値ではあるものの、タイムマシン経営もコピーフロムチャイナにしても、最近はどれも上手くいっている印象は無いかもしれない。

 例えばQRコード決済。
 使える店も増えてきているし、ユーザも増えてきている。しかし、中国のように無くては生きていけないサービスになっているでしょうか。先駆者のPayPayは2018年10月にサービスがスタートしておよそ2年が経過していますが、どうでしょう。別にPayPayがなくても生きていけますね。中国だとリアルに生活するうえで欠かせないものです。

 スーパーアプリ化も進んできてはいますが、どの程度のユーザが定着して利益を上げているのが実数値が欲しいところですが、なかなかデータも見つかりません。また、どのQRコード決済事業者も黒字化しておらず、まだ投資フェーズです。今後黒字化していくのでしょうけど、現状上手くいっていないし、今後CBDCが本格着手された場合にどうなるのかもわかりません。

 キャッシュレス推進派の人間として悲しい発言となってしまいますが、「QRコード決済、便利だけど、まあ無くてもそこまで困らないよね」というのが現段階における印象です。フードデリバリーも同じことが言えますね。便利だけど、別にデリバリー出来なくても大して困らない。とはいえ、あと2年か3年か経つと変わってくるのかもしれません。期待。

 結局、Yahoo!は超革新的なインターネット検索サービスであったので、一気に日本でも普及して、検索ポータルとしての確固たる地位を築き上げ、次々にインターネットという新しい分野のサービスを切り開いていったと言えます。新しい文明の利器を持ち込んだ、とも言えると思っています。

 一方で、タイムマシン経営風にコピーフロムチャイナを始めとする模倣物たちは、超革新的な代物ではなく、ちょこっと生活が便利になるものであり、インターネットという文明の利器の上のほんの一部でしかないのかもしれません。所詮は100均で売られている便利道具に過ぎないのではないでしょうか。簡単に模倣出来てしまい、一時の流行や一時的な利用だけで使い捨て去られてしまう、そんな100均商品が最近出回っている様々なサービスの正体な気がしています。

 つまり、タイムマシン経営が成り立たなくなってきているのではなく、未来からやってきたサービスが無くて、誰でも簡単に模倣出来てしまう使い捨ての100均商品ばかりが、タイムマシン経営風に持ち込まれているだけなのだと思います。

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