見出し画像

ビットコインで大根を買える日は来るのか

 ビットコインでテスラ車が買えるようになるようですが、大根を買える日は来るのでしょうか?

ビットコイン決済普及のハードルは3つあります。

①値動きの激しさ
②手数料
③税金 

 これらのハードルもあり、ビットコインが日常の決済手段として我々の手元にやってくる日はまだまだ遠い。むしろやってくることは無いと思う。

 それでは、ニュースを紐解きながら、大根が買えるようになるのかどうか少し考えてみたい。

テスラがビットコイン15億ドル分購入

 テスラが仮想通貨の一つであるビットコインを15億ドル分(約1600億円)購入したことにより、ビットコインの市場価格は急伸した。

 2月9日の午前9時過ぎに4万7千ドルを突破し、昨日も過去最高価格を記録したようだ。日本円に換算して、1ビットコインあたりおよそ500万円。ビットコインに引っ張られる形で、他の仮想通貨も軒並み価格上昇をしている。

 そんなビットコインバブルの渦中にいるテスラは、ビットコイン購入と同時に、ビットコインでテスラ社の購入もできるようにすると発表をしていました。

 この日々どころか毎秒、価格が乱高下するビットコインでテスラ社のような高額商品であれば良さそうな気もしますが、身近な決済手段としてビットコインは不向きだろう。

 例えばテスラ車であれば、1台おおよそ1千万円ぐらいなので2ビットコインで購入できるのでスマートな気がします。

 しかしスーパーマーケットで大根1本を買おうとすると、果たして何ビットコインとなるのでしょうか?

 1本100円の大根の価格は0.00002ビットコインとなります。しかしこれは1ビットコインが500万円換算での価格になります。1週間前は1ビットコインが400万円前後で推移していましたので、1週間前であれば、0.000025ビットコインになります。

 この乱高下ぶりを見ていると、ひょっとすると来週は0.00001ビットコインに値下がりするかも知れないし、あるいは倍以上に値上がりをしているかもしれません。

 また、他の電子決済と同じく手数料が多くかかってしまう点も忘れてはならない。これは、QRコード決済はじめとする電子決済導入の最大の障壁であると言えます。

 さらに、ほかの電子決済よりも遥かに高い障壁としてそびえているのが税金です。ビットコインはお金ではなく資産です。つまり株式などと同じ扱いになるため、支払われた側は何かしらの税が課税されることになる。

仮想通貨とデジタル通貨

 それではここで、仮想通貨とデジタル通貨の違いについて整理します。これまでもデジタル通貨に関しての記事はいくつか書いてきました。キャッシュレスやデジタル通貨についてのマガジンを作っていますので、気になる方は以下のマガジンをご覧ください。

 デジタル通貨、つまりCBDC(中央銀行デジタル通貨)の定義は以下になります。

①デジタル化されていること
②円やドルなど、その国の法定通貨建てであること
③中央銀行の債務として発行されること

 仮想通貨は「①デジタル化」されてはいますが、円やドルなどの法定通貨建てでもなく、国の中央銀行が発行しているものでもありません。つまり、仮想通貨とは通貨と呼ばれていますが、通貨でも何でもない、ただの暗号資産でしかないのです。

 また言葉の問題なのかもしれませんが、通貨とは流通貨幣の略称であり、決済のための価値交換媒体である必要があります。仮想通貨は広く決済として使われることが無いので、仮想通貨と呼ぶにはまだ早計です。テスラ車が買えるようになれば、通貨に大きく一歩前進となるのかもしれません。

 とは言うものの、既に多くの企業やネットモールではビットコインでの買い物が可能になっています。

 JPBITCOIN.comによる、現在日本では通信販売(多分ネット通販のこと)では78、実店舗では262のお店でビットコインが使えるようです。

 こうして見ると、思っている以上に幅広に使えるお店があることがわかります。ビックカメラは早い段階から導入していましたが、その他にも面白いところでいくと風俗店や美容室、キャンプ場なんかも掲載されています。

 意外なところで使えることが分かるので、一度覗いてみてください。

決済の覇者となるのは

 一体どの決済手段となるのでしょうか。

 現金か、デジタル通貨なのか、仮想通貨となるのか。実質、現金は今後廃れていくことは間違いないので、デジタル通貨CBDCと仮想通貨の戦いとなる。

 デジタル通貨CBDCは国家の管理の元で発行されますが、仮想通貨は完全に国家とはまったく関係の無い世界で作られます。そのため、あらゆる規制であったり金融政策が効きづらくなります。

 今後更に仮想通貨が市民権を獲得し始めた時に、国はどのような対策を取るのかが今後注目されます。

 果たしてビットコインで大根は買えるようになるのでしょうか。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?