「傘をさす」
シナセン課題⑨おじさん
憧れ性と共通性っていう、
二面性をもったおじさまがお題。だけど、
出来上がったシナリオの話と二面性の微妙さ…。
上げるか相当迷ったし、なんなら上げたくないくらいだけど、記録として
人物
若槻有紗(21)大学生
西野浩二(44)コンビニのバイト
花本詩織(29)フローリスト
周藤治輝(31)ブライダルプロデューサー
杉下 遥(21)大学生
○コンビニ(夜)
若槻有紗(21)レジに立っている。
客がいない店内。
レジ奥の扉が開く。
扉から、西野浩二(44)が出てくる。
西野「若槻さん、変わるよ。ちょっと休憩しておいで」
有紗「あ、はい。失礼します」
西野と有紗が狭いレジ内で交差する。
有紗、扉を開けて奥の休憩室へ入る。
扉が閉まる音。
西野、閉まった扉を見つめる。
○大学・教室(朝)
大勢の生徒が授業を受けている。
窓際の席に座っている有紗は、机に肘をついてぼんやりと窓の外を見ている。
窓の外では雨が降っている。
有紗の目が大きく開いて視線が一点に集中する。
○大学・正門前の歩道(朝)
雨が降っている。
大きなお腹をした花本詩織(29)と周藤治輝(31)が傘を差して歩いている。
周藤「大丈夫?そっちの傘も持とうか?」
詩織「(小さく笑いながら)大丈夫。心配しすぎだよ」
周藤「そ、そうか。無理はするなよ」
周藤が詩織の背中にそっと手を回す。
○大学・食堂
生徒で賑わう室内。
有紗が定食を食べている。
杉下遥(21)が有紗の目の前にきて、定食を乗せたお盆をテーブルの上に置く。
遥が椅子に座り、
遥「あーお腹減ったー」
有紗「お疲れ」
遥が定食を箸でつまみながら、
遥「そういや最近どう?バイト先とかいい人いない?」
有紗「いないよ。昨日も前からいるバイトのおじさんとだったし」
遥「えっ、バイト?店長とかじゃなくて?」
有紗「知らないけど、周りからはそう聞いた」
遥「へ、へぇ。おじさんがバイトねぇ」
有紗「あぁはなりたくないな」
遥「まぁでもわかんないよー?何か事情があるのかも?」
有紗「どうだか」
○アパート・有紗の部屋(夜)
暗い室内。
有紗はベッドで横になっている。
枕横の携帯が鳴る。
有紗、携帯に目をやり、すぐに反対側を向いて毛布に包まる。
携帯の画面に表示される一件のメッセージ。
ーお母さん:ちゃんと定期検診行ってる?
○コンビニ(夜)
客のいない店内。西野と有紗がレジに並んで立っている。
西野「…あのさ、若槻さん」
有紗「なんですか?」
西野「最近…あ、いや、えーっと、具合悪かったりとかしたら、すぐ言ってね」
有紗「え…?」
有紗が怪訝な目をして西野を見る。
西野「あ、いや、その、最近なんか元気ないなぁって」
有紗「…」
西野「あっ、元気に仕事しろって事じゃないよ!?無理に笑う必要はない…じゃなくて、えーと、大丈夫!見た感じそんなに前と変わらないよ!…でもなくて…」
有紗「…はい?」
西野が有紗に向かって勢いよく頭を下げる。
西野「ごめん!!!」
有紗「えっ、なんですかいきなり」
西野、ゆっくり顔を上げながら、
西野「ごめん、見ちゃったんだ、この前。休憩室の床に落ちてて…診断書。鞄開いてたから、勝手に戻したんだけど…」
有紗が目を見開く。
西野「若槻さんの事だから、誰にも言ってないんじゃないかと思って…ごめん。余計なお世話だよね」
有紗「…いえ、そんな」
少しの間、沈黙になる。しばらくして、
西野「僕のね、妻がそうなんだ」
有紗「えっ?」
西野「気づいた時にはもう高度でさ。妻は、前から凄く欲しがっていたから、精神的に不安定になって」
西野が悲しそうに微笑む。
西野「僕らに子供はいないんだ」
見開かれた有紗の目から涙がこぼれる。
西野「今は、妻はもうすっかり元気なんだ。だから…若槻さんさえよければ、僕の妻と話してみないかな?」fin
大丈夫っていう優しい言葉掛けとか
改善例を基にした希望は、
とてもありがたいんだけど、
でも、深刻だとそのあやふやさにも傷ついてしまうから、
根拠のない励ましでむやみに元気づけるのではなく、現実を知らせた上で、
向き合うための後押しができる人って、いいなと思う。
って、なんの話
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