姿勢は”表情”と同じ。悲しい時は背中を丸めて泣いたっていい【セルフケア論#18】
前回のセルフケア論では、
・姿勢に良いも悪いもないよ
・姿勢は環境や感情によって変わるものだよ
ということをお話しました。
同じことを別の言い方で書いた2年前の記事を発見したので、こちらも合わせて読んでいただけると嬉しいです。
口調も全然違うので、面白いです。
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巷でよく聞く「良い姿勢」とはなんだろうか?
背筋がピンっと伸びた姿勢?
胸が開いている姿勢?
足がスラリと長く見える姿勢?
背骨が綺麗なS字カーブを描いている姿勢?
理学療法士やパーソナルトレーナーなどの「体の専門家」からしたら、
良い姿勢は「ニュートラルポジション」だろう。
「ニュートラルポジション」とは機能解剖学上、骨格が正しい位置にあり、筋肉が最も力を発揮しやすい姿勢だ。
筋肉が力を発揮しやすいということは、より少ない力で姿勢を保てたり、体を動かすことができるということ。
つまり「疲れにくい」ということだ。
ニュートラルポジションでいることができれば、肩こりや腰痛、冷え性やむくみ、生理痛や慢性疲労などの不調は起きにくい。
なぜならこれら多くの不調の原因は「体への負担の大きい”悪い姿勢”」によるものだからだ。
だが今回は、「良い姿勢=ニュートラルポジションを目指そう!」という話しではない。
こう言った話は他の体の専門家がいっぱい書いていると思うので、また次の機会に持ち越すとする。
今回お話ししたいのは、
「良い姿勢は、その時の状況や感情や環境によって変わる」
というものだ。
今回の記事は、
・姿勢が悪いことで悩んでいる人
・肩こりや腰痛などの不調はすべて、姿勢を良くすれば解消されると思っている人
・姿勢が悪いことを悩んでいる人
・肩こりや腰痛などの不調はすべて、姿勢をよくすれば解消されると思っている人
といった方々にオススメだ。
「”良い姿勢”はその時の状況や感情や環境によって変わる」ってどういう意味?
”良い姿勢”は決まった形はない。
これは”表情”を例にすると分かり易いだろう。
例えば、
・面接をしている時
・家で一人でテレビを見ている時
・大切な人を亡くした時
と、その時々によって”表情”は変わる。
面接をしている時は、真面目に、爽やかな笑顔をたたえるのが正解かもしれない。
家で一人でテレビをみている時はバカ笑いしてもいい。
大切な人を亡くした時はきっと悲しくて涙が出るだろう。
「その時の状況や感情や環境によって”表情”は変わる」
これはとても当たり前の感覚。
仮に”良い表情”が「笑顔」だと決まっているのだとしたら、「悲しい時にも笑顔でいろ」とでも言うのだろうか?
そして”良い表情”なんてものが存在しないように、”良い姿勢”なんてものもない。
面接をしている時は意識的にピンっと背筋を伸ばしたほうが印象が良い。
家で一人でテレビを見ている時はソファやクッションに寄りかかり、リラックスしてもいいだろう。
悲しい時には背中を丸くしてシクシク泣いたっていい。
仮に”良い姿勢”が、
・背骨がS字カーブを描き、腰に手のひら一枚分の隙間があり
・横から見た時、外果のやや前方、膝関節のやや前方、大転子、肋骨側面中央、肩の中心、外耳孔が一直線上にある
という”ニュートラルポジション”だとしたら。
それは「”満面の笑み”が良い表情です!」と言われるくらい、とても大きな違和感を感じる。
猫背や反り腰を「悪い姿勢」と決めつけないで!
”良い姿勢”が決まっていないように、猫背や反り腰など一般的には”悪い姿勢”と言われるものも、一概に”悪い”とは言い切れない。
これは先ほど言った通り、その時の感情や環境によって猫背や反り腰が”合っている場面”があるからだ。
温泉に入っている時は”猫背”の方がリラックスできるし、
シャキッとした印象を与えたい時は反り腰が合っているかもしれない。
胸を張った状態でパソコンをしたり子供を抱っこするよりか、
肩を丸めた方がキーボードを打ちやすいし、子供も抱っこしやすい。
とくに”猫背”は悪者扱いにされやすいが、猫背は”省エネモード”に最適だ。
背中全体を綺麗に丸めることで、リラックスして、疲労回復効果もある。
背中の一部だけ丸めてしまうから、その一部に負担がかかるだけであって、
背中を全体的に丸めることができれば、負担を全体に分散することができ、疲れるどころか背中の筋肉を休めることができる。
(ただ普段猫背の人がいくら意識的に全体を丸めようとしても、一部しか丸まらず、
結局背中に負担をかけてしまうことになるので、注意が必要だ。)
まとめ-目指したいのは”美しい姿勢”
どんな物事でも、
良い・悪い
正しい・間違っている
とは簡単に割り切れない。
「黒」か「白」かだけでなく、「グレー」もあって良いと思う。
立場や時代や世代や文化によって、価値観は変化するものだから。
それは姿勢も同じこと。
「良い姿勢」・「悪い姿勢」と簡単に割り切ることはできない。
前回の記事でも書いた通り、仮に良い姿勢があったとしても「長時間の同じ姿勢」では誰でも疲れるし、
「パソコンや抱っこをする時はあえて背中を丸めた方が体への負担が少ない」という場面もある。
今回覚えておいてほしいのは、最初にも言った通り、
「良い姿勢や悪い姿勢はない」
「仮にあったとしても、それは状況や環境や感情によって変化する」
ということ。
良い姿勢を決めつけて、その形だけに固執するよりも。
その時々によって「猫背でも良い」、「肩が内巻きになっても良い」と思った方が、いくらか生きやすいし、体への負担も減ると思う。
だからと言って「じゃあありのままの姿勢で良いんだ!」というわけでもない。
なぜならそれでは以前と変わらない。
(あまり言いたくないが)悪い姿勢で、体に負担をかけて、結局不調に悩まされることになる。
ではどうすれば良いのか?
”美しい姿勢”を目指せばいい。
わたしが推奨する”美しい姿勢”は、見た目に美しく、しかも疲れにくい姿勢だ。
常に美しい姿勢でいなくてもいいが、基本的には美しい姿勢でいること。
そして場面に合わせて姿勢を変化させていくこと。
そうすると、日常生活と自分の感情に寄り添った、姿勢を身につけることができる。
では”美しい姿勢”は具体的にどうやってつくればいいのか?
それはまた次の記事でお伝えしよう。
「呼吸と意識」の2つだけで美しく、疲れにくい姿勢をつくることができる。
知識をためて終わるのではなく、どうか試してみてほしい。
健康が当たり前の世界になりますように。
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