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「全体最適」を実現しやすい組織

企業は、個々の社員の担当業務が縦横に結びついて構成される《系=システム》です。今まで一般的だったピラミッド型の会社組織は縦の指揮系統を整理することにばかり目が向いて、《系=システム》としての横の繋がりを軽視しています。そのことが、GAVIさんが下記のnote記事でご指摘の「〝部分最適”は達成できても〝全体最適”をなかなか実現できない現実」につながっていると考えます。
《全体最適》を実現しやすい会社組織を長らく考え続けてきましたが、具体的に「これならいける」というものは、まだ編み出せていません。この投稿では、現時点で頭にあるラフなスケッチ的なものを提示したいと思います。

1.ピラミッド型組織は《部分最適》の温床

 
 従来の企業組織は、全社目標を会社を構成する組織単位ごとに割り付けていくピラミッド型組織を基本としてきました。

階層型

この組織の特徴は、全社目標を、それを達成するために会社の構成単位(事業部⇒部⇒個々の社員)それぞれが達成するべき目標へと分解しながら下方向へと枝分かれさせていくことです。

 ところが、この組織の作りは、下に示す2つの要因から、《部分最適》の温床になってしまいがちです。

《要因その1》組織の横方向で、構成単位同士の連携が悪くなる。

《要因その2》組織の縦方向で、個々の単位で手段が目的化する。

それぞれの要因について掘り下げます。

1-1. 横方向での連携不良

 ピラミッド型の会社組織では、目標を上から下へ枝分かれさせていくとき、同じ階層の単位間に、仕事をMECEに(モレなく・ダブリなく)割り付けていきます。


 しかし、実際に目標達成に向けて会社が動き出すと、必ず想定外の事態が起こるものです。MECEに分類した業務同士の狭間に落ちて対処されない状況が発生する。ダブりなく業務設計したはずなのに気づいてみたら複数の単位で重複して行われている業務があったりする。
 
 こういうとき、本来なら横方向の連携を立て直すべきです。ところが、それぞれの単位はピラミッド型組織を作ったときに横の連携は考え尽くされていたはずだと考え、初めに割り付けられた仕事だけに専念し、そこでベストの結果を出そうとする。つまり、自分(たち)の単位に限定された《部分最適》を求めてしまうのです。

1-2. 縦方向での手段の目的化

 
 上に掲げたイメージ図から、会社の構成単位それぞれにとっての目標は上位単位が目標を達成するための手段であることがお分かりいただけると思います。
 しかし、これについても、実際に会社が動き出すと必ず想定外の事態が発生し、下位の目標達成が、必ずしも上位目標の達成につながらない状況が生まれてくることがある。
 ところが、ここでもそれぞれの単位はピラミッド型組織を作ったときに目標と手段の整合性は考え尽くされていたはずだと考え、初めに割り付けられた仕事だけに専念し、そこでベストの結果を出そうとする。つまり、自分(たち)の単位に限定された《部分最適》を求めてしまうのです。

2.ネットワーク型組織と《全体最適》

 
 ピラミッド型組織では、組織を構成する各単位が《部分最適》に陥りやすいことを見てきました。
 では、ピラミッド型組織でなく、どのような組織なら《全体最適》を達成しやすくなるのでしょう?

 私が《全体最適》を達成しやすい組織の作り方として考えているのが、次のイメージ図に示すネットワーク型の会社組織です。

ネットワーク型

 ネットワーク型組織では、ピラミッド型組織では垂直方向の上下に配置されていた単位を、水平方向に円環状に配置します。

 ピラミッド型組織では部の目標と個人の目標は上下関係にあり、かつ、一人の部下は上司(イメージ図では、部長)とだけつながっていました
 一方、ネットワーク型組織では、個人目標を部の目標を中心とした円周上に配置します。こうすることで、一人の部下は上司(この場合、部長)とだけでなく、同僚である他の部下ともつながりを持つようになります。

 ネットワーク型組織では、部長は、部下たちに初期設定としての担当業務を割り付けたあとは、部下たちが連携して業務を遂行しやすいように部下同士の関係と部下の担当業務を調整していきます。つまり、状況の変化に合わせて初期設定をバージョンアップしていくのです。
 そして、部長自身は、上司である事業部長とつながるだけでなく、横並びの関係にある他の部長たちとも連携しながら事業部の目標達成に向けて仕事を進めるのです。

 上で示したネットワーク型組織は、まだラフなスケッチ程度のものです。これをベースに、今後、具体的な考察を深めていきたいと考えています。

 ここまでお付き合いくださり、本当にありがとうございました。

【『「全体最適」を達成しやすい組織』おわり

 




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