キャリア形成/今・目の前の仕事をやってみて、初めて見えてくるものも、ある
藤本 正雄 さんと 渡辺 紋歌 さんの記事に触発されての投稿です。
キャリア形成というと、「自分自身の将来ビジョンを描き、そこから逆算して5年後、10年後などのマイルストーンを決め、それを1つずつ達成していく」イメージが強いように感じます。
王道です。ただし、キャリアのスタート時に「自分に本当に合った自分の長期ビジョンを描けている」必要があります。
現実には、長期ビジョンが描けない、あるいは、描いたが実は本当の自分に合っていなかったということが起こり得るものです。それでも、ちゃんとキャリア形成はできることを教えてくれる2つの記事を紹介します。
以下、煩雑さを避けるため、敬語を使用せず、フラットな表現で書くことをご容赦ください。
※ご紹介する 藤本 さんの記事はこちら:
※ご紹介する 渡部 さんの記事はこちら:
1.「将来ビジョン」それとも「自分軸」?
冒頭で触れたキャリア形成の王道は自分自身の「将来ビジョン」を志向するものでした。
しかし、「将来ビジョン」志向でなくても「自分軸」を持つことで、成功するキャリアを形成できると教えてくれるのが、藤本さんの記事『「石の上にも3年」は有効か』です。
藤本さんは、ジャパネットたかた創業者の高田明氏の「瞬間瞬間、目の前の仕事に一生懸命に向き合っていれば必ず己の財産になる」という言葉を紹介しています。
そのうえで、平本 相武 氏の著書『成功するのに目標はいらない! 』に触れながら、キャリア形成を支える柱には「将来ビジョン」と「自分軸」の2つがあると指摘しています。「自分軸」とは『「自分らしさ」というこだわり(理由)を満たすこと(藤本さんの言葉)』です。
そして、次のように結論づけています。
・キャリアの向き合い方にひとつの正解はない。自分なりの向き合い方を見つければよい。
・どのような向き合い方であっても、自分のやっている仕事のミッションと自分の人生とが重なっていることが大切。
・当初からそれらが重なるとは限らない。石の上にも三年の気持ちで、まとまった期間集中することで見えてくる重なりもある。
〔『「石の上にも三年」は有効か』から引用。太字は、原文のママ〕
「初めから仕事のミッションと自分の価値観が一致するとは限らず、『石の上にも三年』の気持ちでまとまった期間集中することで見えてくるものもある」という指摘には非常に現実味があり、特に若い人たちにとって大いに参考になる考え方だと考えます。
2.目前の仕事と格闘して見つけた、本当の自分
渡部さんは、目の前の仕事と格闘したことで、自分が人生で本当に求めているものを見出した体験を書いています。
アパレル企業でキャリアをスタートさせた渡部さんは、『「この大きい会社でも仕事バリバリやって注目される存在になるんだ!」と鼻息荒く(渡部さんの言葉)』株式会社ディー・エヌ・エーに転職します。
そして、実際に入社直後からめきめき頭角を現し、配属時に5名しかいなかった部署を最終的に80名を超える大所帯にまで成長させ、新しいスマホアプリの事業企画を任されます。
ところが、そこで渡部さんは、新ビジネスを考えることには熱意を持てないことに気づいてしまうのです。
絶望的にビジネスに興味がありませんでした。作りたいサービスなんてありませんでした。〔『ITメガベンチャーでロジカルゴリラに囲まれて、絶望した話』から抜粋。太字部は、楠瀬が太字化〕
新規事業企画は白紙に戻り渡部さんは重荷から解放されますが、一方で完全に自信をなくしてしまいます。
事業リーダーがたくさんいる会社で、アプリの企画すら満足にできない自分。何の価値もない存在だと感じていました。〔『ITメガベンチャーでロジカルゴリラに囲まれて、絶望した話』から抜粋。太字部は、楠瀬が太字化〕
悩んだ渡部さんは、進むべき道を探るため、キャリアコンサルティングを受けます。コンサルタントから何に興味があるかと問われた渡部さんは、自分が『人のマネジメントに関わりたい(渡部さんの言葉)』ことに気づくのです。
以前マネージャーをしていた時、メンバーそれぞれの個性や、得意・不得意を考えて、どんなことを任せようかと思案し、それを一人一人と実現していくのが本当に好きでした。
当時から「人にはその人に合った活躍の場があって、育成アプローチも人によって異なる」と信じていたんです。〔『ITメガベンチャーでロジカルゴリラに囲まれて、絶望した話』から引用。太字部は、楠瀬が太字化〕
そんな渡部さんに、カウンセラーは、コーチングを学ぶことを勧めます。これが、渡部さんのキャリアの転機になったのです。
この道のプロになろう。
そう思いました。
そこからは資格を取ったり、様々なコミュニティに顔を出してこの分野で活躍する人たちと関わったりと学びを深めていきました。
そしてついには副業としてコーチングセッションを行うようにもなったのです。〔『ITメガベンチャーでロジカルゴリラに囲まれて、絶望した話』から引用。太字部は、原文のママ〕
渡部さんは、今ではディー・エヌ・エー社内でコーチングを指導したり、自己他己理解を深めるワークショップを実施したりしています。また、同じような思想をもったメンバーのコミュニティも作って活動しています。
渡部さんは、言います。
事業リーダーはすっかり諦めたのですが、自分が専門にする分野で頑張ればいいと思えるようになりました。
自分自身をちゃんと評価できるようになりました。
以前は社内で評価されている人たち全員が怖くて、必要以上に縮こまっていましたが「私にも負けないものがあるんだぞ」と胸を張っていられるようになりました。
〔『ITメガベンチャーでロジカルゴリラに囲まれて、絶望した話』から抜粋。太字部は、楠瀬が太字化〕
渡部さんは、新ビジネスの企画という、後から振り返ると本人が求めているものではなかった仕事と格闘した経験から、「自分軸」を見出したのだと、私は考えます。
冒頭で「紹介」という言葉を使いましたが、実際にここまで書いてきたことは、お二人の記事内容を私の興味関心という視点で切りとったものです。この記事を読んでくださった方がオリジナルの記事をお読みくださることを願いつつ、この投稿を締めくくらせていただきます。
ここまでお付き合いいただき、ありがとうございました。
『キャリア形成/今・目の前の仕事をやってみて、初めて見えてくるものも、ある』おわり
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