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脳神経リハビリ北大路病院における   動画クラウド活用の可能性

新型コロナに振り回され続け・・・

時間は誰にも平等。こんな言葉がありますが、ウィルスもまた誰にも平等。誰もウィルスから100%逃れる術はないんだなと実感しております。

こんなに生活様式までもが一変する事態になるなんて(><)
中国に援助でマスクを送っていた当初の日本からは考えられない話。

ましてや新型コロナ騒動の初期には石油ショック以来のトイレットペーパー買い占め騒動。。。
スーパーの棚からトイレットペーパーが消える。
こんな事が令和の時代に起こるなんて・・・。
情報が無さすぎてもプチパニック、有りすぎてもプチパニック・・・普通の生活は、危うい境界と背中合わせに存在することを改めて実感しました。

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そして我々、医療介護の現場では・・・

医療衛生材料が国内から消える

コロナ禍当初はマスクがない、防護具がない、使い捨ての手袋がない、消毒液がない、無いない尽くしでどうやって患者さんやご利用者さんを守るのか・・・・医療衛生材料があって成り立つ感染対策や感染制御の時代。まさかその物資がない前提で誰もマニュアルなんて作ってないですよね・・・現場の不安は言わずもがな・・・。

今はようやく物資が整いましたが、何も身を守るものが無いという異常事態が現実の出来事だったなんて。。。

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新型コロナ禍において我々が運営する、回復期リハ病棟や障害者病棟の運営で困ることは?

数え上げればキリがないぐらい色々ありますが、【患者ご家族のお見舞いの禁止】これは在宅復帰の役割を担う病棟においては、かなりのポイントです。

ご家族目線で言えば、今どんな状況で、何がどうなっているのか分からない。何をしてもらっているのかも全く分からない。状態が良くなっているのか?変化はないのか?悪くなってはいないのか?病棟での様子が分からないという苦しみ。
そして、入院経過が分からないのに、退院日だけが着々と決まってしまう。
どんな状態で退院してくるのか分からない・・・。
自宅での注意点は?気を付けることは?食事は?トイレは?入浴は?歩くのは?運転は?仕事は?
ご家族にとって何が継続課題で、何をどうすれば課題を補助できるのか?

入院中の患者(身内)に会えない状況は家族の心身の準備もできないまま退院ということになるので、精神的にも負担が甚大です。そして入院中にご家族のお見舞いがあることで安心される患者さんにも、それがないのは同じく負担が大きいです。

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with コロナ時代の病院と家族の新しいパートナーシップ

病院内での新型コロナ対策と付随する業務の取り組みは、どこもみんな必死になって取り組み続けています。

しかし、家族さんとのwithコロナ時代への新しいリレーションシップの構築となると、そこまで余力が回らない事も多々あるのではないでしょうか。


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新型コロナ禍において、新しい患者ご家族との関係を考えるポイントである『治療経過をご家族と共有する』にはどのようにすればもっと簡易にできるのでしょうか?

online面会もありますが、あくまでもその場での会話だけであり、また患者さんも会話ができる方が対象となりますよね。online面会は、患者さんが限定されてくるので、個別性への対応は少し難しい面もあります。

そこで、我々グループ内の脳神経リハビリ北大路病院がテストケースで取り組んでいるのは、入院経過動画を家族さんと共有する事です。

脳神経リハビリ北大路病院のwithコロナ時代への取り組み

課題が分かっているなら、解決できないはずがない。

と、言う訳で、ご家族とご本人の同意が前提ですが以下のようなポイントを掲げ整理しました。
①患者さんのご様子をスタッフがポイント毎に動画撮影(数分程度を目安)
②それをクラウドにUP(セキュリティ上、動画一つ一つにパスワードをかけたい)
③患者さん専用ページ(URL)を作る
④家族さんが指定したメールアドレスに、病院が作成した専用URLを送る
⑤家族さんがそのURLにログインし、パスワードを入力して視聴する
⑥家族さんや本人がOKであれば、ケアマネや開業医、その他在宅サービス事業者にもURLとパスワードを共有し、患者さんの今の現状を把握していただく
⑦退院したらデータは削除。そういった
患者データ管理はもちろんkintone

こんな仕組みがあればいいんじゃないのか?
百聞は一見にしかず。
電話で説明するよりも動画で見てもらう事ができれば、その伝わり方は段違いですよね。

Vimeo✖️kintone +Kviewerで理論上作成可能じゃないか?
kintoneとなると、そこは@kinbozuの出番ですね〜w

システムが構築できれば、あとは運用するのみ!
ご高齢者でスマホなどが操作できない場合は、その他のご家族さんなどに対応してもらいます。

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動画クラウドであれば、患者さんのご家族が東京に居られようが、北海道に居られようがフランスに居られようが関係ありません。どこにいてもインターネットが繋がる環境下であれば、患者さんのご様子の動画を確認できます。
前述のように親類縁者がみんな遠方にいて、本来ならどんな様子か気になるからお見舞いにも行けるんだけど、今の新型コロナ禍の中ではお見舞いにも行けない・・・_| ̄|○💦
こんな場合でもURLを共有するだけで、患者さんのご様子が簡単に共有可能です。
さらに在宅サービスが必要な要介護状態であれば、在宅チーム(開業医、訪問看護、ケアマネなどなど)も共有することで事前準備がしやすく、それがご家族やご本人の安心に繋がりますし、何より関係機関の全てで在宅生活をイメージしやすくなりますよね。

在宅生活がイメージできないままの退院ほど不安な事はない

病院とご家族の間では、何が共有できればいいんでしょうか?
【何気ない病棟でのご様子】これだけでも価値があるように思います。

他にはどうでしょうか?
お元気そうなご様子
立っている姿のご様子・・・その姿勢と注意点
日常生活動作における注意点
在宅復帰後の自主リハビリの仕方(家族の介入が必要な方など)
看護師による家族の関わり方のポイント伝達
看護師や医師が家族以外にも在宅介護サービス事業者、または開業医の先生にお伝えしたいこと
お食事時の首の角度やポジション作りのポイント、食事をお口に運ぶペース
お皿と自助具の使い方や使っているご様子
退院前のサービス担当者会議の補足、また口頭や紙では伝えにくい微妙だけど重要な部分の補足
病棟での絶好調時だけではなくて、逆にあえて動きが悪い時(できないこと)を見てもらうのも重要なのかもしれませんよね。

さらにご家族やご本人がOKなら前述の通り、動画のURLとパスワードを開業医や訪問看護、ケアマネなどと共有する。今は何が課題で何が必要なのか?今後は何が課題で何が必要なのか?ご家族の負担は何が想定されるのか・・・考える材料にもなります。
などなど・・・パッと思いつくだけでも結構あります。これが日常的にお見舞いに来て頂いていたらスムーズに出来ていたことです。

しかし、今はお伝えしたい事をお伝えしたり、ご家族さんと一緒に悩みを共有し、一緒に考えておきたい作業工程が全てスムーズにできない・・・ほんとに難しくなりました。

医療や介護は患者さんご本人を診るだけではなく、ご家族を支える事も重要です。

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患者さんの動画はかつてはDVDなどに焼いてお渡しすることもありましたが、コストと手間が・・・。良くて退院時に作成ぐらいでしょうか・・・。

ケアマネジャー『ご主人さん、どんなご様子でしょうね?もうすぐ退院時期ですよね?』
患者妻『どんなご様子と言われても・・・
ケアマネジャー『そうですよね・・・そうですよね、お見舞いができないんですもんね・・・すみません』
患者妻『いえいえ、また状況が分かれば報告しますね』

退院前に、なんとかサービス担当者会議を少人数短時間で開催できたとして・・・車椅子に座っておられる姿だけでは本当に分かっておいてもらいたいことを理解してもらいにくいですよね。

足掻いた結果クラウドでの動画の共有

まずは少人数からのスタートになりますが、それぞれのスタッフ自身が馴染んでくれば、この簡易なシステムは拡大できそうですね。

動画のクラウドでの共有は、新型コロナ禍が終息したとしても、継続的に必要とされるサービスのような気がします。

こんなご時世でお見舞いが禁止の状況であっても情報共有にチャレンジし、ご家族とも課題を共有したい。病院スタッフが一生懸命なだけではダメ。ご家族だけに一生懸命を強いるのもダメ。在宅事業関係者と重要な部分での情報格差があってもダメ。

動画を見た在宅事業者が、『動画にはないのですが、前はこんな動作が在宅生活で課題でしたが、今はどんな感じでしょうか?』といったやりとりも病院などと出来ますので、医療と介護の連携もスムーズですよね。『じゃあ、その動作を今度UPしますのでご確認くださいね』

医療と介護の連携の垣根(敷居)を取り除くのも、情報の可視化による連携が一つの形だと考えています。
比較的近い将来に、動画で情報共有するという運用が地域ごとに進めば、病院からの情報だけではなく、在宅介護でのご様子も(共通指標的に介護のポイントを動画で保存しておく)病院と共有することが可能となり、医療者サイドでの在宅復帰支援に時間をかけて悩むことなく医療資源の有効活用(在院日数短縮)につながる可能性も高いと考えております。


まずは徐々に運用している脳神経リハビリ北大路病院の取り組みに期待です。




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