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自転車で山に登り続けたら、仕事ができるヤツになるかな

「自転車で山に登る」

なんて言うと、リクルートの人からは

「そもそもなんで山に登りたいんだっけ?」
「登らなくちゃダメなんだっけ?」
「ほかの手段じゃダメなんだっけ?」

なんて声が聞こえてきそうだけど。


この前の週末、自転車で伊豆半島を一周するイベントに出てきた。

2日間で200キロ。
200キロとか言われてもピンとこないけど、
ベルギーのブリュッセルからオランダのアムステルダムくらい。

ピンと来る。

まだピンとこない人のために念のため情報追加すると、東京からだと静岡までで180キロくらい。

それくらいの距離の旅をしてきた。Uくんとしてきた。

引用元:ツール・ド・ニッポン


こういう旅の時はあらかじめ行き先に宿をとって、この日は100キロ、この日は120キロ漕ぐ、何時に宿について、ここで銭湯に入って、ここでご飯食べる!みたいに予定を立てて行くんだけど、

実際行ってみると、
そもそもルートなんて当日にしか確認しないし、
してたとしても平面の地図上では気がつかなかったとんでもない峠を越えなきゃいけなかったり、
足がつったり、痛めたりしてだいたい予定通りにいかない。何一ついかない。

当然今回も例に漏れず

「楽しくライドするイベントだよ!」的な雰囲気を醸していたので死ぬほどナメてかかったら、
当日配られた紙に勾配(傾き)が書いてあって早速こころが折れかける。

250メートルくらいの峠が2つ、500メートルくらいの山が1つ。他にも登ったり降りたりして獲得標高は3,000mくらい。
ちなみに獲得標高とは下記で、要は登ったり降りたりするけど、登った高さ全部数えたらどんくらい?という高さのこと。

自転車の場合、主に累積標高差のことを表す。スタートからゴールまでの上った高さの総計。標高差ではない。
http://funride.jp/glossary/%E7%8D%B2%E5%BE%97%E6%A8%99%E9%AB%98/

会社があるグラントウキョウサウスタワーがぴったり200メートル、東京タワーで300メートルくらい。って言えばピンとくるか。

サウスのてっぺんまで自転車漕ぎながら進む的な感じ。それを何回も何回も何回もやって、
累計でスカイツリー5本分登る。
って書くとすごいな。すごいな自分!

しかもそれを100キロこぐ途中でやるとかほんとすごいな!自分!

▲そびえ立ち過ぎ。
これを5本分登る。数え方はたぶん間違ってる


自転車で山に登ることで体とこころに起きる変化

感覚で言えば、昔学校でやった持久走とか、20メートルシャトルランとかに近くって、
最初は楽だし今後も楽勝だって思う。
基本笑顔でずっといけるような気がしてくる。

このしあわせな時間はずっとずっと続くんだ。これからもみんな笑顔で過ごせるんだ、って、
あの頃の僕らは無邪気に信じてた。

ところが

ある地点から急に様子がおかしくなってくる。
登っても登っても終わらない坂。
山道なので見通しも悪い。あそこの角まで登ったら、坂よどうか、どうか終わっててくれ…!って思って角曲がったらまた坂。

坂登り終わって、やったー下りだーヒャッハー!
と思って少し下ったらまた坂。

あの頃の未来に僕らは立っているのかなあ…。

▲ずっとこんな感じで何キロも登る。足とこころがすり切れる

それくらいになるとおもしろいもので、下り坂があると本当は楽で嬉しいはずなのに、
「下らなくていいから登りたくない…」
「下るとまた登らなきゃいけないから下らないで…お願い…」
なんて思い始める。

逆に結構登ると「いま結構(高さの)貯金あるよな…嬉しい…」みたいな、
わけわかんない精神状態になってくる。

そうやってこころもからだもすり切れたら

弱い自分が頭をもたげる。

「あれ、なんか足痛いぞ。これはやめたほうがいいかも?」
「なんか寒いし雨降りそうだし」
「月曜ふつうに仕事だし、無理して体調くずしてもかえって良くないし」

「ここまで頑張ったし、休憩して電車で帰るのもアリ」

僕は知ってる。

そうやってこの旅を終えても、きっと家族や友達は「よくやったね」って言う。
趣味でやってるんだから、無理しなくて正解だって。

でも、僕は知ってる。

諦めた今日の自分のことを、
明日からの自分はずっとずっと覚えてて。

僕が次に何かに挑戦したいとき、諦めかけたとき、次の一歩を踏み出すとき、今日の自分がその一歩を後ろに引っ張ろうとすること。

そして僕は知ってる。

それでも、もしやり切ったら。

こんなに坂が急なのに、風が強いのに、雨が降ってるのに、寒いのに、痛いのに、
それでも、もしやり切ったら。
何が待ってるか知ってる。

そう思って、勇気が出る。
絶対にゴールする。と決める。

勝ちを決めるのに必要なことは、最後までやる、と決めることだけ

行く先に急な坂道が見えたりとか、坂を登りきってカーブを曲がると、また坂道、、みたいな状況になると、

「嫌だな」って思って、心が折れそうになるときの、心臓がギュッってなる感じになる。

でもゴールする、って一度決めちゃうと。

目的地には行く、と決めてるから、
途中にどんな坂があっても、
どうしたって越えなきゃいけない。

避けられないものなら、
いちいち心臓がギュッってなるその時間も心労も無駄。

登った分だけ筋肉は強くなる。こころも強くなる。
つらければつらいほど登りきったとき気持ちいい、夜のビールもうまい!

と思うしかないから、そう思うようになる。


とかってこころは何とかなるけど…

筋肉使いすぎで足がもう実際動かないよ。。
ってなったとき。

でもこの山を越えなきゃいけない。
絶対ゴールするから。って思うと、

すり切れるまで筋肉つかって、
もう動かないはずの足が、別の筋肉を使って動き始める。

ゴールするためには今までの筋肉だけじゃダメ、ってなった瞬間に、今まで使わずにいた筋肉を使ってもうひとこぎ、もうふたこぎ、し始める。
そんなことが実際にある。

それはきっと自転車じゃなくても

何かをやりたいんだ、って思って始めたりするんだけど、いざスタートしてみるとたくさんたくさん坂道があって。坂道終わったかな、と思ってもまだ坂道があって。

やめようかな。やめたほうがいいよな。時間の無駄かもしれないよな。
って、楽になりたい自分が言い訳をたくさん準備してくれて、

でもそれでやめると、何かドロっとした重いものが胸に流れ込んで、僕の中に残ってゆくのはわかってて。


だからまずは、何があってもやるぞ。
と決める。

一度決めてしまったら、そこへ向かう途中にあるいくつもの坂道は機会でしかなくなる。

こころを強くする機会。
今まで使えなかった筋肉を使って、
自分を鍛える機会。


だから冒頭の、仮想リクルートの人の質問に応えるならば。

ダメなんだ。山に登らないとダメだし、自転車じゃないとダメなんだ。

だってそこには、そうやって登らないと見られない美しさがあるから。そうしないと気が付けない自分がいるから。

そうやって大きくなってゆく自分がいるから。

そんな風に思った旅でした。


あなたも僕と一緒に、自転車に乗りませんか。

#コラム #エッセイ #ロードバイク #自転車 #伊豆イチ #自転車旅

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