音楽理論を学ぶということ
音楽理論は「知る」ものではなく「聴こえる」もの
理論を知れば作曲がアドリブが、という幻想を早く捨てた方がいいように思う。
音楽理論が算数や数学と違うのは、「どう聴こえるか」が全てというところ。理論で未来を予測するようなものではない。
音楽は知識で創るものではないんだ。今のあなたに何が「聴こえているか」にフォーカスしよう。
理論を学んで効果が出たと判断する目安は「あなたに聴こえるものが増えている」ということ。「イメージ出来るものが増える」と言っても良い。難しい言い方をすれば「概念が拡張される」とかになるんだろう。いずれにしても音楽的成長だ。
もしあなたが聴こえていないまま知識が増えたとしたらそれは音楽的成長とは言い難い。
他の方法であなたの音楽が成長するならば、別に理論を学ばなくても良い。これは本当にそうなんだ。
ジミ・ヘンドリックスというギタリストがいたが、彼ほど7(#9)を使いこなす人はいなかったと思う。何しろ7(#9)の事を「ジミヘン・コード」って言ったりするんだから。だけど彼はそれを7(#9)とは知らなかったよ。そんなもんだ。
ちょっと脱線。成長しなくても良い、という考え方もあるが、自然の摂理では生き物は成長するか死に絶えるかのどちらかである。これは気に留めておいた方が良い。それと、成長というのは、人間の基本的な欲求のひとつのようにも思う。(脱線おわり)
効果のある学び方とは
理論を学ぶとあなたの音楽が広がる可能性がある。比較的多くの人に効果があるんじゃないかなと考えている。
効果が出ないのは、聴こうとせずに、知識だけを詰め込むような学び方。
必ず音に出して自分で納得すること。
だけど理論的考察が苦手な人もいると思う。
そういう人は、そんな話もあったなぁ、、くらいであまり掘り下げなくてもいいかもしれない。とりあえず音には出してみよう。読むだけ話を聞くだけは駄目だよ。
成長というのは複合的なものだから、ある日突然に「見えた!」となることもあるし、説明出来なくても勝手に身に付いていることもある。実は僕はこのタイプだった。
例えば、既存の楽曲やレジェンドのアドリブをその学んだ理論で分析して、こういう音の感じになるにはこういう音使いなのか、とやってみよう。
T,S,Dの聴き分けがスタートライン
理論を学びたければ、スリーコードすなわちT,S,Dが聴き分けられないと話にならない。そこは最低条件。
Tはトニック,Sはサブドミナント,Dはドミナントだ。それぞれ「味」というか「雰囲気」がある。
面白いことに音楽というのは色々な聴こえ方をする部分もあるので、100%の正解が無い時もある。そこが算数とは違う。だけど、殆どの場合は聞き分けられる。その能力を身に付けよう。
(脱線)Take the "A" Trainの[B]の1小節目がFに転調したトニックに聴こえる人もいるし、キーはCのままでサブドミナントに聴こえる人もいる。面白いのはその人のプレイが、トニックの人はトニックのような振る舞いになるし、サブドミの人はサブドミでございます~、というフレージングになってる。どちらも第一線のプロ。僕はどちらかと言うと後者だ。(脱線おわり)
クラシックのように譜面に書かれた音楽だけやって来た人に、T,S,Dの聞き分けすら出来ない人もいる。かなり弾ける人でも。
それこそ、T,S,Dの聞き分けに価値を感じることが難しい場合もある。
価値を感じられない人に価値を認めさせるのは僕の仕事ではないのでそこはあなた次第だが、T,S,Dの聞き分けは、あなたの音楽の成長の分岐点であることだけははっきりと言っておく。
「理論を知れば作曲がアドリブが、という幻想を早く捨てた方がいいように思う。」と書いたのは、このT,S,Dの聞き分けが出来ないような状況で、知識の詰め込みにかかる人が少なからずいるからというのもある。
まずはT,S,Dの聞き分けが出来るようになろう。それが最初のチェックポイントだ。
今日はこんなところで。
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