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アウトドア業界を辞めて長野県に移住します

いわゆる退職エントリというやつですが、会社名は明らかにしませんので、悪しからず。後半三分の二くらいの核心部(前職での出来事や感じたこと)はあまり公開すべきことではないので有料としました。決して金額に見合う有意義なことが書いてあるわけでは無いです。

実はアウトドア業界と呼ばれるところで働いていました。そしてこの度、その某会社を辞めて長野県某市へ移住します。

この記事をざっくり言うと、なぜ転職移住をしようと思ったのか、なぜそもそも某アウトドア会社で働いたのか、そこで何を感じ、僕の今までの仕事観がどう変化したのか…そしてなぜ移住だったのかということに話を戻し、終わり…というような内容です。

自分の人生の決定権を自分で持ちたい

アウトドアの某会社を辞めた理由、転職しようと思った理由から書きます。

理由は二つあって、ひとつは現在の会社に色々な意味で限界を感じたためです。もう一つは、自分自身が働く場所の決定権、ひいては自分の人生の決定権を自分で持ちたいと思ったからです。人生の主体性を持つと言ってもいいでしょう。

辞めた理由の一つ目についてはあとで書くとして、二つ目の理由について先に少し詳しく書きます。この数年、結婚したり子供が産まれたりと、かなり人生が変わり、同時に人生の価値観も変わりました。正確には価値観の本質は変わっていないと思いますが、あきらかにブーストされ、強い意志が芽生えました。その価値観とは、幸福とは自分が選択肢を持って、自分で決定すること、ということです。自分で自分のやることをコントロールできているという感覚があると幸せなんだなということを認識するようになりました。

不幸とは「他者にコントロールされていること」

逆に「やらされている感」=「コントロールされている感」こそが不幸だと思うようになりました。これはもともとそう思っていましたが、この数年で明確に認識するようになり、そこからちゃんと可能な範囲で逃れようと思うようになりました。「コントロールされている感」のある仕事は嫌とという人は多いでしょう。

僕は、仕事ありきで人生が決まってくることこそ、究極の「コントロールされている感」だと思っています。仕事とは食べて行くためにやることであり、生きるための手段です。もちろん仕事=人生の人も多いかと思いますし、それがベストだと思います。でもどうしても生きるためにお金を稼ぐというスタンスの人も多いと思います。しかし必死にお金を稼ごうとするあまり、手段と目的が逆になると仕事のために人生を左右されてしまいます。多くの人が感じている仕事のつまらなさ、つらさはそこにある気がします。ではどうしたらそこから逃れることができるのでしょうか?

自分で決めた人生を歩むための移住

僕の導き出した答えの一つは移住でした。

生活の質を決める要素として重要なのは居住地だと思います。もともと僕は仕事ありきで家の場所を決めて、そこで生活していまし、新卒からずっとそうでした。でもそれって仕事のみならず私生活まで仕事ありきで縛られていないか?と気づいてしまったのです。意識せずに職場に縛られて住みたいところに住めないという事態に陥っていました。その居住地が好きになれればいいですが、なかなかそうもいきませんでした。もともと人混みが好きじゃない僕はコロナ禍でますます関東一極集中の人混みにうんざりしました。また、東京近郊に住む唯一のメリットである人との出会いや飲み会、ショッピングなどはもはや自分にとってはあまり重要なコンテンツではなくなっていたのです。それよりも育児をしててもサクッと山にいける環境が欲しくなりました。子供とも簡単に山に散歩に行けたら理想です。そうして思うことは極端な田舎じゃないけど人混みが少ない、山が近い街に住みたいなぁということでした。

だから、住む場所とそこでの生活リズムありきで、仕事を探してみたのです。仕事は二の次としました。仕事は手段であり目的ではないのだから。

アウトドア業界で働いた理由

もう辞めてしまうわけですが、実はアウトドア業界で働こうと思った理由もそれに近いものがありました。しかしそのときは居住地レベルには頭は回らず、仕事の内容を自分でコントロール可能なものにすること、残業が少ない仕事にすることで私生活をよりコントロールすることが念頭にありました。なにせ社畜でしたので。そういう意味で当時は仕事において「コントロールされている感」からの脱却、つまり社畜から脱却したいという気持ちのみでした。

なぜアウトドア業界が自分でコントロールしやすいと思ったかというと、自分がよく知る分野、つまり自分自身がユーザーである業界で、モノを売ってみたかったからです。当たり前ですね。あと僕が入った会社は残業が全くないと聞いていたからです。

アウトドア業界に入る前の社畜時代

その前の仕事では建築材料を売っていました。商売そのものには楽しさを感じていたのですが、作っている開発の人間も、売っている人間も、エンドユーザー、つまり施工をする立場になったことがある人はいませんでした。入社するまで全然違う分野などを大学で学び、施工業者も経験せずに、入社し、研修だけで知識を得ていました。まあ大抵の業界ってそうなのはわかっていますが、現場の職人さんと話す度に、メーカーが現場と離れていることに違和感を感じてきました。

自分が体験したことのないことを話したり共感したりするにはまず自分のなかで情報を知識と照らし合わせて変換していく必要があります。もちろん自分が施工や現場の体験をする機会もあってその程度はできますが、やはりそれでは真に理解はできません。自分が現場を完全に知ることができず、また興味を持ちきれず、その情熱の差分だけコントロール不可に陥ってしまうことが、この仕事の限界なのかな思うようになりました。そして極め付けは鬼のような残業でした。この業界でサービスで残業できるほど情熱はこの先維持できないのは確実でした。

アウトドア業界は作り手が遊び手?

その一方、僕は登山を趣味としていましたから、登山系のメーカーは、「メーカーが作り手」というところがほとんどだということを知っていました。モンベルもそうですし、ファイントラックは「作り手が遊び手」って言ってますし。パタゴニアを創業したイヴォン・シュイナードももともと自分達で使うギア作りからスタートしています。てか大体のメーカーは自分達の遊び道具で「もっとこんなものがあればいいのに」という気持ちで自作して、それが好評なので売れていった…というところがほとんどな印象です。そういう風に創業したメーカーが多いからか、当然登山業界の人はガチで登山をやっている人が多いのです。自分の経験や素直な思いがそのまま仕事に活かせることで、自分でコントロールしている感じを得られると予感しました。

社畜、脱走する

ということで、前職の建材メーカーの長時間労働とその未来に限界を感じていた僕は、ずっとここにいてはいけないという危機感を持ち、飛び出す機会をうかがっていました。しかしなかなかの社畜で転職活動をする時間などありません。どうしたものかと思っていると、たまにチェックしていたとある山岳系メディアの求人ページに募集が出ていたので、とりあえず軽い気持ちで応募してみました。

外回り営業のついでにするっと面接受けると簡単に内定。むむむ、これはこの建築業界から抜け出すチャンス、ここで抜けれないとどんどん責任が押し付けられてもう抜け出せなくなると思った僕は、エイヤッと入社しました。

これがアウトドア系の会社?

入社して驚いたのが、人数が少ないということ。これに関しては入社前にもっと確認しろよというところなのだが、ここがまだ未熟でした。なのでよくこの規模でやっているなという印象でした。さらに驚いたのが経営幹部や役職のある人が登山をしない人だったということ。そんなことあるか?と思っていたのでなかなかビックリしました。ちょっとイメージと違う…。そしてこれがやはりというか、後々禍根を残すことになります…。

今思い返せば、僕は完全に外からのイメージ先行で企業情報や社風をあまり考慮せずに入社しました。アウトドア用品を扱う会社で、僕も名前を聞いたことのあるブランドを取り扱っているので、詳細を聞くまでもなく、勝手に先入観が働いていました。予め聞いていたのは残業が無いということのみ。この会社でずっとやっていこうとか、将来の展望は特に考えていませんでした。

とりあえず前の会社を辞めて残業をなくすことで、人生において人間活動を行うための余白、つまりコントロールできる余地ができるのでは?と思っていたのです。それだけ前の会社ではコントロールできていなかったということです。だから当然この会社も終の住処とは思っておらず、狭い業界だし、ここからアウトドア業界でライジングできたらいいなくらいに思っていました。

しかし、今考えると見通しは途方もなく間違っていました…。

アウトドア系の某会社に入ってみて…

仕事を始めてみて、趣味の話題で商談をすることは楽しいことのひとつでした。ユーザーとのやりとりは場面を想像しながらとてもスムーズに共感でき、楽しいやりとりでした。これこそ僕の求めていたコントロール感なんだよな、と思いました。

だからこそ、仕事の「登山がらみ以外の部分」ということが非常に重要になってきました。それは仕事を「どうやるのか?」という部分です。なにせ好きなアウトドアの仕事ですから、色々やってみたいこと、仕事として興味深いことは多かったわけです。

前職では赤字のところから売上を上げるべく全社員に対してアイデアを出せ!と上からお達しが来るような会社でしたので、僕の頭はすっかりそのようになってしました。それが好きな登山に関することなら尚更です。「もっとこうしたい、こういうことやりたい!」という気持ちが次々と湧いてきました。しかし、そのようなキラキラした向上心はこれから見事に空回りすることになるのです。

果たしてそこには会社のどんな実態があったのか、そして何が転職、そして移住へと僕を駆り立てたのか…。

ここからは少し愚痴が多くなるため、有料とします。大したことは書いてありませんが、おっぴろげにもできないので。興味がある奇特な方は僕への退職祝いだと思って投げ銭をお願いします(笑)。ちなみに僕はアウトドア業界に対しては失望していません。本当にたまたま僕の入った会社だけが特殊で僕に合わなかったのだと思います。

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