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油断大敵

今から19年前、2001年9月11日に起きた September 11 attacks (アメリカ同時多発テロ事件)について、その当日の私自身の感想や、のちにマンハッタンの National September 11 Memorial & Museum at the World Trade Center(ナショナル・セプテンバー11メモリアル&ミュージアム)を訪ねた印象を書くつもりでいたのですが、これはまたの機会にします。例年と同様、9月に入って、公私ともにいろいろな動きが加速し、忙しい感覚、心地よい疲労感、物事がわかりやすく展開する爽快感など、日々感じます。そんなとき、同時に「油断大敵」と自身を戒めたいです。

おりしも台風襲来など、自然災害のリスクが高いシーズンです。用心深くあるべきだと思います。単に油断するな(Don't get overconfident)と、人の慢心を戒めるだけではないです。自然災害は、人がどんな心の持ちようでいたとしても、いつ、どこでが不明なだけで、必ず発生します。そして、必ず多大な損害をもたらします。基本、その損害をできるだけ少なくするように備えるしか道はありません。問題は、大損害を受けた時期が過ぎると、多くの人がその重大さを忘れてしまうのが通例で、そのために、その次の災害でもやはり、大きな損害を受けてしまいます。ハワイのビーチに10年に一度くらいハリケーンが襲来するらしいですが、完全に破壊されたのち(保険金などを使ったのでしょうか)、元の場所に同じ建物を復元して営業していたところ、約10年たって再びやられたという話を聞きました。ほぼ同じようなことは、どこの国でも、どの地域でもあるように思います。

かの寺田虎彦が、1934年(昭和9年)に立て続けに起きた大火災、豪雨、大型台風に対し、「天災は忘れたころにやってくる」と警告を発したということです。

実は、備えなければならないのは、天災だけではなく、人災も同じくです(広く言えば、冒頭の9.11テロなどもそういうことになりますか)。あまり性悪説に偏るのはよくないですが、油断していると思わぬところで、足元をすくわれることがあります。いかにもあやしい人が近寄ってきて、ありえないような甘言でなにがしかのアプローチがあっても、わかりやすくて問題になりません。おそらく、問題は一見そうとは見えないところで、まさかと思うことが起きるでしょう。勢いの出る季節になり、好調であるならば、なおのこと、こういったところも含め、油断大敵です。

https://www.youtube.com/watch?v=9udSaO4MCVc


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現代は科学が進歩した時代だとよく言われますが、実のところ知識を獲得するほど新たな謎が深まり、広大な未知の世界が広がります。私たちの知識はほんの一部であり、ほとんどわかっていなません。未知を探索することが科学者の任務ではないでしょうか。その活動は、必ずしも簡単なものではなく、後世からみれば群盲評象と映ることでしょう。このマガジンには2019年12月29日から2021年7月31日までの合計582本のエッセイを収録します。科学技術の基礎研究と大学院教育に携わった経験をもとに語っています。

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