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サイラス・マーナー

2023年2月から、毎週金曜日、「金」または「経済問題」または「錬金術」または「金星」または「金曜」に関係するワードをテーマに含む短めの記事を書くことにしております。この頃は、現代のマネーに翻弄される人々の姿に重なる愚かな守銭奴たちを描写した近代文芸作品を取り上げることが多くなっています。

19世紀、ヴィクトリア朝時代イギリスの作家、ジョージ・エリオットの長編小説に、 "Silas Marner: The Weaver of Raveloe" (サイラス・マーナー ―ラヴィロウの織工)が知られています。主人公サイラスは、スラム街に生まれ育った下層階級の若者で、織物職人です。友人だったウィリアム・デインに無実の罪を着せられたうえ、婚約者を奪われました。失意のうちに街を離れ、仕事に打ち込み、金貨を蓄えましたが、その土地の領主の次男坊で放蕩息子ダンスタン・キャスに盗まれてしまいました。その兄であるゴッドフリー・キャスは、労働者階級でアヘン中毒の女モリーとの間に2歳の子があることを隠しており、別の女と結婚しようとしています。モリーは、子を連れてやってこようとするのですが、吹雪のなかで倒れてしまいました。モリーは死んでしまったのですが、幼な子のエピーは道に迷いながらたどり着いたのところがサイラスの家でした。こうしてエピーを引き取ったサイラスですが、ここから自分の人生のいきがい、目標が大転換し、エピーを育てることによって人生が好転しました。

その後、サイラスのかつての大事な財産だった金貨の袋を持ったまま倒れて亡くなっているダンスタン・キャスの遺体が見つかりました。失ったと思ったお金は結局戻ってきました。エピーと本当は血のつながりのある実の父、ゴッドフリー・キャスは、新しい結婚では子供に恵まれないなか、ついに親子関係を白状しました。でも、エピーはきっぱりとサイラスとの生活を選択します。ゴッドフリー・キャスは、サイラス一家に新しい家を提供したりします。

不幸のどん底にあるようだったサイラス・マーナーがなぜこうした幸福を手に入れることができたのか、よく考える必要があります。現実には、ほぼその反対の道を歩む人たちが多いようです。

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