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非情怪談

駅から近く、交通至便だった
間取りも、方角も満足だ
そのうえ家賃が安い
こんな好条件って、あるものなんだろうか

毎晩幽霊が出たりしないか、確認した方がいいと友人が言った
ばかばかしい
21世紀の文明の時代に、なにが幽霊だ

不動産屋に行ってきた

お客さん、本当によいのですか
その部屋の歴代の住人の方々、なぜだか全員亡くなられております
ただの偶然とは思いますが、なんだか気味が悪くて…

迷わず、契約書にサインした
その時は何も疑っていなかった

鍵を開け、室内に入り、キッチンに踏み入れた時だった
上からロープが降りてきて、首にひっかかった
あっ と思った時は遅かった

たちまち首が締められ、コキッと折れたようだ
床が傾いているのだろうか
首が転がっていった
その先に9つほど轆轤が並んでいた
胴体は部屋の外に引っ張り出され、非常階段から路面へ転落してグシャッと潰れた

幽霊なぞこども騙しだ
幽霊なんかより、人間はもっと怖い
機械仕掛けの必殺物件、非情怪談
(404字)

022年8月20日以来、以下の企画にて、ふだん全く考えもしない、ありえないことを大胆にテーマとして軽い怪奇ショートを書いてみようとしております。今回のお題は「非情怪談」をワードもしくはテーマとして含む作品で、した。どうぞよろしくお願いいたします。

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