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守銭奴の不安と妄想

2023年2月から、毎週金曜日、「金」または「経済問題」または「錬金術」または「金星」または「金曜」に関係するワードをテーマに含む短めの記事を書くことにしております。

17世紀フランスの劇作家モリエールの作品のなかで L'Avare(「守銭奴」)が知られています。

主人公の Harpagon (アルパゴン)は、金に異常に執着を示す男です。人生のあらゆる要素のなかで、金が1番の上位にあり、四六時中、自分の金のことばかりを考えています。その自分の金を守り、増やすことを第1の指標にして、息子Cléanteや娘Éliseの縁談を計画します。そのうえ、年寄りのくせに息子の恋人Marianeを横恋慕し、結婚しようとしています。愚か者と笑うことは簡単ですが、実は、2020年代の日本にも、世界にも、こういう男は結構あふれています。

興味深いのは、こうした守銭奴の弱点の描写です。

自分の金を失うことを異常なほど不安に思っており、猜疑心の塊です。そして実際に奪われた場合の衝撃には耐えられないほどです。

「いかに失わないか」が第一です。そして、もちろん、いかに自分の金を増やすか、という観点で、あらゆる人々が集金の対象です。

そこまでして集めた金を有効に使って自分と周りの人々を幸せにする、何かを良い将来に役立つことをするという考えは全くありません。

末路は見えているようなものですが、この男自身は気づいていません。


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