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千夜一夜物語と毎日note

One Thousand and One Nights (千夜一夜物語, アラビアンナイト)は、あまりにも有名です。note には、毎日連続して投稿される方が大勢おられるようですので、千夜一夜物語を毎晩語るScheherazade(王妃)とnote の毎日投稿者のスタイルを比較してみたいと思いました。

千夜一夜物語は9~10世紀頃のイラクで生まれた作品です(その当時のタイトルは1001夜ではなく1000夜だったらしい)。その後、イスラム圏やインドに広がったようです。1704年から1717年にフランスの東洋学者 Antoine Gallandが翻訳、紹介したことをきっかけに全世界で有名になりました。その後、新たな編纂も行われ、現在に至っています。翻訳に使用した写本の違いや、物語作品の取捨選択、注釈の入れ方等、いくつかの異なるバージョンがあります。 Sir Richard Francis Burton によるバートン版(1885年~1888年)が手に入りやすいかもしれません。インターネットで原文が読めます。

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https://en.wikisource.org/wiki/The_Book_of_the_Thousand_Nights_and_a_Night

もちろん、日本語にも翻訳され、販売されていますね。

https://www.amazon.co.jp/dp/448003840X/

さて、千夜一夜物語ですが、物語の内容がまっとうである一方、設定はかなり特殊です。過去の不幸な経験がトラウマになっている王様は毎日生娘を娶り、翌朝に処刑します。そのため、国の生娘はいなくなってしまうという危機感が背景がありました。窮地を救うために大臣の娘Scheherazade が自ら名乗り出て、語り聞かせを始めたわけです。従って「はい、おしまい」の語り方では、自分の生死と国家の将来にかかわります。決して、その夜には結末はわからない。面白い話なので、どういうことになるか、どうしても続きを知りたい。だから、処刑を1日延期する、ということになります。そして、翌日は、その話の続きをやりますが、終わったときも、そこでおしまいにせず、直ちにつぎのまた面白そうな話を始めます。そして、また続きは翌日になるわけです。テーマは多彩ですから、興味は尽きません。Scheherazadeは本当に賢い女の人ですね。王様はみごとにはまってしまって、延々と処刑を延期し続けることになるわけです。

さて、毎日note です。まず、毎日note は生死にかかわりはありませんし、国家の命運にも何も影響はありません。仮に毎日続かなくても、何も起きません。処刑される心配はまったくありません。せいぜい、投稿直後のnote からのメッセージが「○○日連続、すごい!」の表現の文字数が何バイト分か、変化するだけです。それをどう思うかという自分の感想とかはあるでしょうが、世の中はまったく動きません。

千夜一夜物語を参考にしたいと思う点は、いくつかあります。

1.今日note記事を書いている時にも、明日もまた記事を書くことを前提にして、それを楽しみにしたい。
2.原作は高々200~400夜(30~60話)ぶんしかなかったものが、後年、タイトルの数字に律儀にあわせて1001になったらしいが、note は1001 夜では少なすぎるので、もっと先まで構想したい。
3.明日どんな記事を書くか、王様のような読者に簡単に予測されないよう、飽きられないよう、工夫したい。


「明日も楽しみだ!」 たぶん、これに尽きるんじゃないでしょうか。きっと、note だけじゃないです。生活、仕事、あらゆる活動がそうです。

https://www.youtube.com/watch?v=rL85P0dmpAk

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現代は科学が進歩した時代だとよく言われますが、実のところ知識を獲得するほど新たな謎が深まり、広大な未知の世界が広がります。私たちの知識はほんの一部であり、ほとんどわかっていなません。未知を探索することが科学者の任務ではないでしょうか。その活動は、必ずしも簡単なものではなく、後世からみれば群盲評象と映ることでしょう。このマガジンには2019年12月29日から2021年7月31日までの合計582本のエッセイを収録します。科学技術の基礎研究と大学院教育に携わった経験をもとに語っています。

本マガジンは、2019年12月29日から2021年7月31日までのおよそ580日分、元国立機関の研究者、元国立大学大学院教授の桜井健次が毎…

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