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見てしまった者の最期

人が死亡するとスイッチが入り動き出す不思議な機械があった

クロノフォトグラフィは、フランスの生理学者エティエンヌ=ジュール・マレーの発明だ
同じ視座から動きのあるものを連続画像として記録する
やがて、このアイデアは映写機に発展した

映写機も手動ならば、古代中国、漢の時代に、影絵芝居が上演されていた
条件付き自動ならば、走馬燈だろうか
人が死ぬとき、全人生の様々な情景が次々と脳裏に浮かぶのをまるで走馬燈のようだと言う者がいる

ここだけの話だが、実は働いている装置のスペックは、走馬燈のレベルで全くない

そこには映像だけではない、あらゆる音楽と音声が含まれるだろう
映像も1つではないマルチスクリーンだろう
バンドを組む残像のオンパレードといったところ

平べったい画像ではない
立体感は当然のこと、物体内部も見える
登場人物の心理や思考さえも見える

だが、さすがに実際にここまで見た者には絶対の掟がある
生かして帰すわけにはゆかない、ということだ
(408字)

2022年8月20日以来、以下の企画にて、ふだん全く考えもしない、ありえないことをテーマとする怪奇/スリラーのショートショートを書いてみようとしております。今回のお題は「バンドを組む残像」をワードもしくはテーマとして含む作品でした。どうぞよろしくお願いいたします。


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