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祟りの事情

梅の花って、いい匂いがするよ
菅原道真公の「東風吹かば にほひをこせよ 梅の花」、しっくりくるなあ

どうだろう
お気に入りの梅との別れを単純に歌ったとも、許し難い政敵の藤原一門への怒りと恨みの言葉を飲み込み、やっとこう歌ったとも考えられるか

下々の者には思いもよらないことだが、今も昔も権力闘争の当事者はたいへんだね
それでも、梅の花の匂いがテーマの歌なのか

実のところ、たいていの花はいい匂いだよ
梅は、主にベンズアルデヒド (C6H5CHO)とか、オイゲノール(C10H12O2)由来だろうね
結構ありふれた心地よい匂いの化学物質だ

本当は、梅の花みたいな、美しい外観と心地よい匂いで、憎い藤原時平をやっつけたいと思っていたりして
京の都のなかでの東風だったら、自分は大宰府にいてアリバイ成立

ははあ、シャクナゲのグラヤノトキシンとか、シキミのアニサチンみたいな神経毒が使えたら、ずばり、道真公の逆転勝ちかもね
だが、時平がシャクナゲとかツツジの花、あるいはシキミの花や実の香りを嗅いだり、食べたりすることはなさそうだ

ううむ、道真公、悔しいだろうなあ!
期待の梅の花も無力で、役に立たないか…

いや、役に立ったよ
怨念のエネルギーは、おさえきれず、いっそう高まり、限界を突破した
洪水と干ばつとパンデミック、そして、きわめつけは宮中、清涼殿への落雷

おとなしそうな外観に騙されてはいけない
その梅の花が、天罰どころではないほどのエネルギーの爆発の引き金をゆっくりと引いたのかも
(622字)

2023年4月下旬頃からシロクマ文芸部の企画に毎週参加させて頂いています。2024年4月まで1年ぴったりの継続のつもりです。金曜午前の早い時間帯(可能な限り、午前5時前後)に投稿します。今回のお題は「梅の花」が書き出しでした。どうぞよろしくお願いいたします。

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