キュービックは痛くない
ジルにとって立方体の思い出といえば、まず体温、それにドーピング手術だ。
今日は体調いいな
体温を測ってみた
やや高めだ
縦、横、高さの3次元の均衡がとれていて対称性ゆえに調子がいい。
これは立方体だ。
少し寒い
背が縮む感じがする
縦、横は変わらないが、高さがちょっとひずんでいる
結晶学で正方晶と呼んでいるものだ
ぐっと寒くなった
痛い、痛いわ
ジルは思わず、悲鳴をあげた
縦、横もちぐはぐ、背骨がまっすぐではなくなった
単斜晶だ
温めると楽になる
それを繰り返すとポキッといってしまう
ジルはドーピング手術をうけた
寒いところでも働けるようになった
酸化ジルコニウムは立方晶(高温)→正方晶(中温)→単斜晶(室温)のように結晶構造が変化する
エンジニアリング用途では、破壊を避けるため、室温域で相変態を起こさないようにする必要がある
酸化イットリウムを添加した酸化ジルコニウムは、室温でも立方晶または正方晶の構造を保つことができ、安定化ジルコニアと呼ばれている。
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