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フランス料理ってフランス料理しかないじゃん

フランス料理って日本食に勝てないと思うんですよね。
(いきなりのセンシティブな表現)


や、世界的にいったらね、フランス料理こそが頂点だっていうのが共通認識だってことは分かってますよ。

フランス料理つったらフルコースのすごいのが出てくるやつで。

ビシッと決まったフォーマルなウェイターさんが丁寧にサーブしてくれて。
真っ白なクロスがひかれたテーブルの上に格式高く美しい料理が運ばれてくるやつ。

かのミシュランガイドもフランスが発祥。

料理の王様。
それがフランス料理。


でも、、こんなこと言ったら炎上することは百も承知なんですけど、

フランス料理ってたいして美味しくなくない?


ああっ、ごめんなさい、フランス料理に関わるすべての皆さん、フランス料理を楽しむすべての皆さん、ほんとすみません。
個人の感想です。
石をなげないで!!


いや、ぼくもね、美味しいものが好きだから、ミシュラン星付きのお店とか、コースお一人ン万円するお店とか、そういうフランス料理のお店、何ヶ所も食べにいったことがあるんですよ。


もちろんまずくはない。

これ美味しいなって思える料理もある。

でも、


ああこのお店は本当に美味しい、また来たい、って思えるお店に巡り合ったことは一度としてないんですよね。

他のジャンルならそういうお店たくさんあるのに。

フランス料理というジャンルの中では、そういうお店に出会える気がしないんですよ。


これはたまたまぼくが行ったお店がそういうお店ばかりだっただけなのかもしれないんだけど、フランス料理のお店ってなんだか美味しさをゴールにしていない感じがするんです。


○○産の高級品なんですよ、すごいでしょう。

こんなに凝った調理をしたんですよ、すごいでしょう。

ほらこんなに珍しい食材を使ったんですよ、すごいでしょう。


食べていてそういうメッセージを感じる。


いや、あのね、ぼくは美味しいものが食べたいんですよ。

どこにでもあるような食材、いつもお家で食べているような食材、スーパーで普通に売っているような食材でも構わない。

作るのに何時間もかけなくたっていい、3分でできる料理をバカ高い値段で出してきたって何の文句もない。

ただ美味しければそれでいい。


それが食においてのぼくの価値観です。



「こちらキャビアでございます…」

つってスプーンいっぱいのキャビアを出されても

いやこんなんただ塩味で生臭いだけだが??


ってなるし


「こちら土鳩のローストでございます…」

とか言われても

いやニワトリの方がうまいが??


ってなる。


まあこういうのは極端な例だけど、とにかくこういう奇をてらったというか、美味しさではない部分を目指してるなって感じられる料理が多いんですよ。

そりゃ他のジャンルだってそういうお店はいくらでもありますよ?

そもそも100:0で割り切れるものじゃなくて、
人間の舌(や鼻)で直接的に感じる「食」を除いた、「体験」的な部分、ここにも気を遣うのがむしろ飲食店としては当たり前ではあります。
良い雰囲気だったり清潔感だったりっていうのはすごく大事だと思うし、いわゆる「情報を食べて」もらうことで満足感を得てもらうっていうのは、どのお店でも多少なりともあるものだと思います。

でも、フランス料理はその「体験」や「情報を食べる」部分の割合が大きいお店ばかりにしかあたったことがない。
だからもうフランス料理っていうジャンル自体がそういうもんなんじゃないかって思ってしまうんです。


フランス料理っていうのはそういう「体験」や「情報」を楽しむジャンルであって、「美味しさ」を楽しむジャンルではない。
これがぼくの理解なんです。



さてさて前置きが長くなりましたがここからが本題。

まあそんな感じで、フランス料理なんてたいしてうまくねえよなあ、っていう前提を持っている僕なんですが、ふと気がついたんです。

フランス料理ってフランス料理しかないじゃん。


この事実こそが「フランス料理なんてたいしてうまくない」っていう事実を物語ってるじゃんって。


ちょっと何言ってるか分からないと思うので説明しますね。


「フランス料理はフランス料理しかない」とはどういうことかというと、「フランス料理は、その中でジャンルが細分化されていない」っていうことです。

まあ、地域で分ける、例えばプロヴァンス料理とかバスク料理とかブルゴーニュ料理とかっていうのはありますよね。

あるいは、モダンとかクラシックとか時代で分けるっていうのもある。

でも基本的にそれだけしかなくないですか?


ひるがえって日本食はどうか。

まず、同じように地域や年代で分けられることがある。

でもそれだけじゃなくて、

寿司、天ぷらはいうに及ばず、
鉄板焼き、すき焼き、焼き鳥、お好み焼き、ラーメン、そば、うどん、カレー、とんかつ。
いわゆる割烹とか広く日本の調理法を用いるものもあるし、
洋食なんていうのも日本で生まれた日本食の一部ともいえる。

こういう、それぞれの料理が一つの食事、一つのジャンルとして成立しているのが日本という国の料理なんですよ。

この事実こそが日本食というものの圧倒的な豊かさを示しているんです。


なぜかというと、地域や年代っていうのは必然的なものだから。
食が多彩であろうとなかろうと自然にそう分かれるものだからです。

でも料理そのものでジャンルが分かれるには、それだけの多彩さがないとそうなりません。なりようがありません。
だからジャンルの多さが食の多彩さ、豊かさを示しているといえるわけです。


でもまあこれはぼくがフランス料理に対して不勉強なだけで実はそんなことないのかな、とも疑いました。

実はフランス料理も日本食と同じかそれ以上に多彩なジャンルがあって、ぼくが知らないだけなのかな、って。


だからフランス料理の本丸ミシュランガイドで確認してみようじゃないか。そう思って見てみた結果がこちらです。


ほらやっぱりフランス料理って、ほぼ地域で分かれているだけなんですよ。

日本はこんなにも料理そのもので細分化されているのに。


「フランス料理は日本食に比べ、料理そのものによってジャンルが細分化されていない」
っていうのは、不勉強ゆえの誤解では決してない、紛れもない事実なんです。


実際に、地域や年代ではない、料理そのもののジャンルを挙げてみると

フランス:
グリル、チーズフォンデュ&ラクレット、ビーガン料理、ベジタリアン料理、海鮮料理
5ジャンル(ビーガンとベジタリアンはジャンルといえるのか?)

日本:
うどん、うなぎ、おでん、おにぎり、おばんざい、お好み焼き、カレー、すき焼き、そうめん、ちゃんこ鍋、とんかつ、ふぐ、ラーメン、蟹料理、牛肉料理、居酒屋、蕎麦、串揚げ、穴子、寿司、焼鳥、精進料理、鳥料理、鉄板焼、天ぷら、洋食、餃子
27ジャンル(フランスからビーガンとベジタリアンを除くなら、日本は精進料理を除くのが妥当そう)

これだけの差があります。


料理ジャンルの数の差というのは、食の多彩さの差であり、食の豊かさの差であり、食に対する姿勢の差であるといえます。

両者にここまでの大差があって勝てるわけがないと思わないでしょうか?



日本食はフランス料理と比べて美味しい。

そのことは食べ物が持つメッセージ、食に対する姿勢にも表れている。

この姿勢の違いや食の多彩さ豊かさは、料理ジャンルの数の差にも表れている。

これがぼくの理解です。

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