公社が12月に見たい演劇
小野彩加 中澤陽 スペースノットブランク『再生』
12/2~3(会場:横浜にぎわい座 のげシャーレ)
12/12~14(会場:神奈川県立青少年センター スタジオHIKARI)
人気空間芸術ユニットが、東京デスロックの名作をリメイク。短編を3回繰り返すというこの作品はFAIFAI、ハイバイといった人気劇団が上演してきたがかれらとはまた違う質感を持つ彼らはどんな再生を見せるか。
BRIDGE ショーケース
12/5~6(会場:BankART Station)
現代口語演劇のフィールドで高い人気を誇る2劇団によるカップリング公演。譜面絵画『2Fご案内 新津々浦駅前プラザ』、新聞家/村社祐太朗『生鶴』の2本立て。
悦楽歌謡シアター × 劇団ドラハ『サヨナラときわ座公演』
12/6~8(会場:ときわ座)
松森モヘーきっかけで誕生した役者主体の演劇ユニットと劇団による対バン公演。どちらも、女優・歌川恵子が所属している。近年の松森作品で知られるが同時にときわ座のオーナーでもある。そのときわ座が今年を持って閉館するため自分が所属する2つのユニットによるサヨナラ公演の短編集。俳優主体であるため、それぞれ作・演出の異なる3作品。
悦楽歌謡シアター『壊れる』は、 松森モヘー(中野坂上デーモンズ)作の短編作品の再演。ドラハは2本を上演し、『銀河恋』 は 尾﨑優人(優しい劇団)によるたこ丸一人芝居。『高田馬場に春くれば』は、るんげ(肉汁サイドストーリー)による作品。
7度『三月の5日間』
12/5~8(会場:BUoY)
名作戯曲を独自のヴィジュアル満点空間芸術で作り直す個性派。昨年三好十郎「胎内」をワンルームマンションでの現代的孤独と再解釈。そして今回は現代戯曲においてもはや古典的扱いを受けている岡田利規(チェルフィッチュ)の名作を上演。イラク戦争が起きた2003年3月、戦争と関わり合いのない渋谷で過ごす若者たちの姿を描いた作品をなんと一人芝居として上演。
ド・パールシム『斜陽族』
12/5~8(会場:OFF・OFFシアター)
奇妙な演劇らしいとの噂で観たいなぁ思っているうちに解散。しかし、ユニットとして存続し新体制での第一弾。「今年の冬に人類が滅亡する」という予言が囁かれる中、性愛と欲望で絡み合う人間関係が描かれる。
愛知県芸術劇場 × Dance Base Yokohama
パフォーミングアーツ・セレクション2024
12/7~9(会場:KAAT神奈川芸術劇場 ホール)
2つの劇場が共同して創作した新作を2種類のカップリングプログラムで上演。ダンスという地平に新たな輝きをもたらす地平。【Aプログラム】 小暮香帆 × ハラサオリ 『ポスト・ゴースト』、島地保武 『Dance for Pleasure』【Bプログラム】 岡田利規 × 酒井はな 『ジゼルのあらすじ』、柿崎麻莉子 『Can't-Sleeper』、 島地保武 × 環ROY 『あいのて』
注目のダンサーが並ぶ中で、演劇ファンとしてはこの中だと、 岡田利規(チェルフィッチュ)がバレエ系Yotuberと組みバレエの名作を解体する『ジゼルのあらすじ』、2010年代の音源派ラッパーを代表する環ROYがダンサーと組んだ『あいのて』が注目。
贅沢貧乏『おわるのをまっている』
12/7~15(会場:シアタートラム)
岸田國士戯曲賞2度候補の人気劇団。派遣員のマリは現在鬱で休職中。気分転換で海外旅行に行くが、そのホテルには猫を探し続けている女、掃除をしても綺麗にならない掃除係、記憶にない昔の友人が現れる。そして、部屋にぽっかりとあいた穴。不条理もの?ホラーっぽくて面白そう。
モヘ組『にんじゃすらいむ』
11/11〜19(会場:Paperback Studio)
松森モヘー(中野坂上デーモンズ)と若手俳優によるコラボ企画の新作。松森はなんと今年7作目の作・演出で、恐るべき多作っぷり。あらすじが素晴らしいのでそのまんまコピペ。
まよったおとなの くるったえほん
わたしはあなたがわかりません あなたはわたしがわかりません
なんにもなかったかのように ほんとにどうでもいいはなし
いみなどわかるとおもうなよ
にんじゃすらいむ にんじゃすらいむ
スヌーヌー『海まで100年』
12/11~15(会場:象の鼻テラス)
ベテラン女優・笠木泉による演劇ユニット。岸田國士戯曲賞ノミネート以降現代口語演劇において、高い注目を浴びている。待望の新作。. 辿り着く、そのたった100年後の話。ということで、現代劇でありながら壮大なイマジネーションが見れるだろうか。
親と子のクリスマス・メルヘン2024『動物の謝肉祭』
12/12~15(会場:調布市せんがわ劇場)
せんがわ劇場恒例の親子で楽しめるクリスマス演劇。しかし、演劇コンクールで知られる劇場らしく、コンクール出身の最前線の演劇人を起用し高品質の舞台芸術を作り続けている。今回は、スズキ拓朗(CHAiroiPLIN)が手掛けサン=サーンスの名曲と共に踊る。演奏するのは地元調布にある、桐朋学園大学の現役学生。この調布の街で生み出された文化を調布市民に還元する、地産地消的ファミリーダンス作品。
KAAT × ケダゴロ × 韓国国立現代舞踊団『黙れ、子宮』
12/13~15(会場:KAAT神奈川芸術劇場 大ホール)
KAATと韓国国立現代舞踊団が共同で作品を制作する企画。今回は実際の事件を題材にとる社会派ダンスカンパニー、ゲタゴロの下島礼紗に2021年に振付を依頼した作品。それをアップデートして新作として上演。下島本人の身体性に注目し、子宮とキンタマを巡る壮大なダンス作品を上演。女性にある物とない物。性差による肉体の違いを身体芸術でどう表現するか。
くによし組『ケレン・ヘラー』
12/19~22(会場:シアタートラム)
今年のシアタートラム・ネクストジェネレーションは例によってネクストでも何でもない中堅実力派。奇妙なシチュエーションから人間の苦しみが浮かび上がる戯曲巧者。今回は、佐藤佐吉賞を受賞し一躍演劇界から高い注目を浴びるきっかけとなった代表作を再演。ヘレン・ケラーをネタにして不謹慎だと炎上した女芸人。彼女がロボットを相方に復帰をするも、目と耳に不調が起こり始め。
エトエのふれあい祭り vol.3 冬
12/20~22(会場:水性)
生き急ぐかのように、公演を重ねるコントユニット。対バン企画の第3弾。今回は、ナンセンスな私演劇で異色の一人芝居として評価が上がり続けるダダルズ。こちらも作品を量産しながら、演劇という技法で遊びながらコメディからシリアスまで行き来するなかないで、毒きのこちゃん。そして、エトエ。
多摩美術大学 演劇舞踊デザイン学科 2024年度卒業公演『半神』
12/20~22(会場:二子玉川ライズ スタジオ&ホール)
毎年のお楽しみ。最近の異色劇団はみんな多摩美から生まれるので、最前線の青田買いにピッタリ。今回は結合双生児の姉妹がたどる筋道を描いた、萩尾望都の名作漫画を野田秀樹が戯曲化した名作。演出を務めるのは井上祥多(ネモノ会)。ここ最近、学生演劇界の注目株と言われて名前をよく見かけるがあなたも多摩美なんですね。
『流れる涙は嫌でも止めない』
12/21(会場:高円寺K'sスタジオ本館 )
演劇クロスレビューの一員で演劇ファンのヤバイ芝居が、作・演出デビュー。私よりも深い演劇知識で数々の劇団をレビューしてきたが、ついに実作活動。彼が厳選した実力派、怪優が勢ぞろい。ヤバイ芝居を見続けてた男の作る演劇は、ヤバイ?
TeXi's 『ファジー「yours」』
12/21~23(会場:BUoY)
男女二元論の暴力性を3つの上演によって浮かび上がらせる、ファジーの第3部。これまで、家の解体工事の現場が引きこもりを抱える家族とオーバラップし旧来の家族性の解体を描く作品だが、オール男性キャスト、オール女性キャストで上演し今回では男女混合で上演。そして上演ごとに変えていた会場も今回は最大の広さを誇るBUoYで上演。
岡本セキユ★シングル芝居『蟹テレビジョン』
12/26~28(会場:イズモギャラリー)
くらやみダンスの作・演出によるソロ活動。今年から活発化させた一人芝居だがもう3作目。凝ったチラシも今回はタイトルに合わせたデザイン。歳末の市場で蟹を買い、友達の部屋にやってきた。蟹の身をほじりつづける友達と、意識散漫なわたしたちのうるさくて退屈な年越しの話。
幻灯劇場『ファストダイバー』
12/27~29(会場:浅草九劇)
詩的な言語と、沈黙のサーカスとも表される身体表現で高い評価を得る京都の人気劇団。公社流体力学賞2021受賞団体。今回は日々の生活から現実味が消えてしまった現代人の “痛みをとりもどす旅” 。