東京にこにこちゃん『ネバ―エンディング・コミックス』 の感想
作・演出/萩田頌豊与(会場:駅前劇場)
少女はとある長期連載漫画が好き。その漫画は亡くなった母親が愛読しており、母が詠むことのできなかった最終回がどうなるか楽しみにしていた。転校生で一人だった彼女だが、転校先は漫画を知らない子たちばかりで彼らに漫画の楽しさを教え周りには友達が増えていく。
そして漫画の展開も終盤になりどんな最終回か皆で予想する、が・・・。
新たな傑作。
いつも通り頭のねじが外れた連中によるおかしなナンセンスギャグの連発。漫画を知らない子供たちが漫画の楽しみに目覚めるという微笑ましいシーンなのに、クリムゾンのエロ同人を本編と思い込むのはゲラゲラ笑った。
四柳智惟が4兄弟を一人で演じるための無駄な体力消費よ。
にこにこちゃんのミューズ髙畑遊は、いつも通りパワフルだが同じ漫画のファンということから主人公と親しくなる教師を演じる。カオス側にいるとおっかないのに味方になった時のたのもしさよ。
連発するナンセンスギャグは空間を使いこなす。
が、ハッピーエンドへ向かっていた物語はアニメ化決定で連載延長になった瞬間暗雲が立ち込める。
ここで、我々が観ていた小学生の物語は第1部でしかなかったことが明かされ、
第2部が始まる。
大人になった彼らは、それぞれの生活をするがあの頃好きだった漫画はいまだに連載しているので飽きてしまった。
最終回を待っていた先生は病気により余命いくばくもない。
そんな中で、主人公は予想系Youtuberとして漫画の結末を予想し人気者となっていた。でも彼女が求めるのは富でも名声でもなく、お母さんが読むことのできなかった最終回を、好きだった先生と一緒に読むこと。
しかし、漫画家は自分のネタつぶしをするYoutuberを疎ましく思っていて。
尾形悟(マグネットホテル)演じる、子供を虐げる教師が悪役が登場するも、全体的にバカコメディだった1部に対して第2部ではドラマに雪崩れ込む。
近作のにこにこちゃんはパーソナルなドラマが要素として強くなっている。
ドラマが強くなると万人好みになり、ファンは増えたと思うが滅茶苦茶をやらかしてる東京にこにこちゃんが好きなので、寂しい気持ち。
しかし今回は、ドラマの完成度と馬鹿馬鹿しさが高いレベルで融合。
EDM落語家として成功しているてっぺい右利き。馬鹿馬鹿しさに反する見栄えの良さ。
そして、ラストに主人公に復讐しようとする悪役に下される鉄槌はまさかのゴールド・エクスペリエンス・レクイエムパロディ。あれだけしっとりドラマやってこのぶっ飛び。
でもこれらもすべて、漫画を愛する心が全編に溢れているから面白い。大好きだからこそ、とんでもなく面白い終わり方をしてほしい。そして、ずっと読んでいた読者全員に読んでほしい。そんな祈りが・願いが結晶化。
髙畑遊が、前半のパワフルさに対して病魔に蝕まれ弱気になっていく。大人になっても自分を慕ってくれる生徒のことを大切に思いつつも、最終回を待つことに疲れてしまった。でも、そんな彼女が辻凪子演じる主人公が頑張る動力源となる。
にこにこちゃんのミューズが見せる新しい姿は、カッコよくて心強くて優しくて、あったかい。 この二人のケミストリーがあるから、今回は傑作に仕上がっている
ここ最近不発気味だったラストの選曲は、バッチリ決まる。 思い出野郎Aチームのファンクにより爽やかな感動で終われる
漫画ネタに始まり、4兄弟、落語、某赤色先生。連発するギャグを外さない。笑いのヒット率の高さも流石東京にこにこちゃん
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