あえて設計図を持たないブリコラージュ的な生き方


12月って来年の目標を立てるのに
最適な月ってよく言われていますよね。

新年の目標なりをちゃんと立てなさいと
いろんな場面で言われるし

そうやって目標を設定することが
いかに大切かという話もよく聞きます。

明確な目標を設定して
そこへ最短で向かうために
日々、軌道修正をしながら管理する。

これはとっても効率が良い方法です。

しかしながら

なかなか計画通りにいかないのも
また事実なんじゃないでしょうか。

目標を持ってその達成のために
しっかりと遂行していくことが
大切なことだとわかっちゃいるんですけどね。

小・中学校の夏休みの宿題だって
毎回最終日に片付けちゃってたし

新年の目標なんてものは
ひと月と経たぬ間に
時の流れの中に埋没していきます。


なので立てた目標や計画を
着実に実行できるようにするためには

どうしたらいいんだろうと
考えていたことがあるんですけど

そんな時に出会ったのが

『仕事は楽しいかね?』という本です。

この物語には発明家・起業家として
巨万の富を築いたマックス・エルモアという老人が出てきて

35歳で仕事に悩む主人公に語りかけるシーンがあるんですけど。

そこでマックスは悩める主人公に向かって言うんです。

「たいていの人は、マンネリ化した生活から抜け出すために目標を設定する。だけど、いいかい、今日の目標は明日のマンネリなんだよ。」

と。

それでマックスは

人生は最終的にどこに行き着くか全くわからないから、
遊び感覚でいろいろやって
成り行きを見守ればいいんだよ。と語るんですが

最初、この本を読んだときはけっこう衝撃でした。

それまで出会ったどんな人もどんな本も

「目標を立てることは大切なことだ。」
「目標を立てなさい。」

と、口をそろえて言っていたからです。

逆に目標を立てないという方法もあるのかと
こういう考え方もアリなのかと
はっとしたものです。

最近出会った興味深い言葉のひとつに

「ブリコラージュ」という言葉があります。

「寄せ集めて自分で作る」とか
「日曜大工」とかを意味する
フランス語に由来する言葉なんですけど

「ブリコラージュ」とは

あらかじめ厳密な設計図を持たず
その場で手に入るものを寄せ集めて
あり合わせの道具でやりくりする

というもので

いい意味で「流れに身をまかせる」と言いますか。

どこへ行き着くかわからないけれど
今あるものや、今できることを活かして
その都度、柔軟に対応して生きていく。

という考え方です。

この考え方と出会ったとき
あの物語の中でマックス・エルモアが言った言葉が
より腑に落ちた感覚がありました。

こういう生き方って
ある意味、合理的な生き方な気がします。

目標を設定して人生を計画的に
生きていきましょうと
学校では常にそう教えられてきましたが

だけど、思い返せばこれまでの日々の中で
計画通りにいったことの方が意外と少ないんですよね。

でも、それで不幸かと言われればそうではないし
予期せぬご縁に恵まれることっていっぱいあって

それはそれで楽しいし
案外ちゃんと前にも進んでいます。

設計図を持って計画的に生きることも大切ですが

時に流れやご縁に身を委ねて柔軟に生きる
設計図を持たない生き方である
そんなブリコラージュ的な生き方も

なかなか悪くはないんじゃないでしょうか。


池上六朗さんという
話を聞いただけで一瞬で治すと言われる
究極の整体師がいるんですけど

その方は言います。

人生は「ライト・タイム、ライト・プレイス」であると。

ご縁というものが「いるべきとき」に
「いるべきところ」へちゃんと導いてくれるから

そういうご縁をちゃんと掴んで
損なわなければいいのだと。

そういうわけで

「設計図」に基づいて
計画を着実に遂行することに
ちょっと疲れたとき

今あるもの、今できることを活かして
あとは流れに身をまかせるという

「ブリコラージュ的生き方」

おひとついかがでしょうか。


引用:デイル・ドーテン著 野津智子訳『仕事は楽しいかね?』きこ書房 2017

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