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振り返りふじさん3-登頂を目指して-

『頑張らない!』
『期待しない!』
『過信しない!』
2人の息を合わせた掛け声が富士山に響く。今日この場で1番ハッピーな2人である事を自負しながら…

さぁ振り返りふじさんも最終章になります。(書き出したら思ったより長くなってしまって勝手にシリーズ化w)

登山スタートの五合目から七合目は思ったよりも早く着く。その一方で七合目から八合目が永遠を感じる長さ。登ったことのある方はこの感覚わかってくれるだろうか。

一歩づつ確実に登っている。標高を重ね、景色も変わる。ぐんと気温も下がり、ペースも落ちる。そんな中、すっかり切り替えたつもりだった山小屋の心配が再発する。夕飯のカレーライスもセットで予約した。『※チェックインに間に合わない場合。カレーライスが提供できない場合がございます。』の注意書き。あー、このタイミングで変なこと思い出してしまった。やっぱり初富士山の親友ちゃんには是非とも食べさせてあげたい、あの『なんともないカレーライス』を。あーまた始まった、いらん心配。
微量な緊張が私を包んだ。だったが、それを跡形も無く消滅してくれたのが山小屋のおねぇさんの存在。ここから予約した山小屋のチェックインに間に合うのかという問いに。これでもかというぐらいの眩しい笑顔で『大丈夫ですよ!』
不安の『ふ』の字さえ、残らぬほどのエールを受け取り、身体が大丈夫!まだ行けます!と私に囁いてきたような気がした。タイムキーパー、私の腕がここで17:30を知らせた…

結局、山小屋到着にはここから約2時間を要した。この間に沢山の山小屋を通過した。避けようとしても頭にチラつく『次かな?』を忍び寄る前に『期待しない!』でかき消した。気付いたら休憩の度に、ぎゅっとハグを。これまでの歩みにお疲れを。また、まだまだ挫けないぞ!の意思を込めてお互いを励ました。

気づけば完全に日も落ちている。ライト無しでは足元は完全に見えない。これが結構怖い。足元の照らしが甘い我々に優しくヘッドライトの付け方を教えてくれるお兄さん。山を登る戦士達とのコミュニケーションも時折はさみながら、楽しさと苦しさを何回も往復した。

私の心を散々掻き乱した山小屋には結局のところ、最終チェックインの20分前に到着した。あー。よかった。『カレーが食べられる。』率直に嬉しかった笑
極寒の道のりから暖かい室内に入ったせいかなんだか2人ほわほわした状態。
私が言う。『チェックインまで残り20分しかなかったね。』
彼女が言う。『20分もあるだよ。』
“無”より“有”に目を向けられる親友ちゃんにまたひとつ感心しつつも、変わらずマイペースに登り続けた“B”という栄えある血液型に心の中で感謝した。

ここまで頑張ってきた2人には富士山の『なんともないカレー』がたまらなくご馳走だった。なんてことないルーにちょっと柔めの白米とその上にハンバーグが乗っていた。明日の英気を充分に蓄えた!HP100のフル充電。


『なんだか満たされたね。』
『今日はほんとうに頑張ったよね。』
『明日が楽しみだね。』
『おやすみ。』
『おやすみ。』

つづく…
(次がきっと本当に最後です笑)



『※食後は就寝までに1時間空けること!』
食後は消化を助けるために血が胃腸に一時的に集中するので脳の血流が不足する。その間に睡眠に入ると寝ている間に高山病になる恐れがあるため、1時間は最低でも空けた方がいいとされている。



〜大体のタイム表〜
30分をワンセットとして考える
(5分休憩を含む)

15:30 スタート(五合目)
下山(笑) タイムロス40分
16:10 五合目(再出発)
16:40
17:10
17:40 七合目あたり
18:10
18:40
19:10
19:40 本八合目 トモエ館

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