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岡本学 「アウア・エイジ(Our Age)」群像2020年2月号

昔バイトしてた、飯田橋にある名画座での
もうすっかり終わってしまった苦い思い出が
記憶の中に風化しそうになっていた思い出が
多くが謎のまま取り残されていた。

しかしふとした偶然の重なりがあって、
しかもそこには曖昧にしてはならない
何かがあるはずだという
直感にしたがって走り出す。

まるで本格的なミステリー小説ように
断片を集めてながらの謎解きがはじまって
もう読むことが止まらなくなる。

やがてこの謎が、この過去の事実に迫るだけなく
それを通じて人生の神秘の謎を解くような
意味合いが帯びてくる。

最大の謎のひとつ。
思い出の中の好きだった人は、
いつも実母に
生まれてきたこと自体
否定されていたのではないか?
ということ。

この謎が溶けたとき
次第に未来に開放されて行く。

人をきちんと理解しようとする。
よくわからない人がわかってくる。
大嫌いな人が好きになっていく。

すると人々の姿すべてが意味あるものになり
作品の中の世界すべてがキラキラしてくる。

そして真実が明らかになり最後に主人公が
次は自分の番だ!
次は自分が何ができるか!
自分は何を次世代に残せるかと
と決意する。

きっと嫌いな人が
好きになることが
いっぱいあったなら
未来を切り開かれる

終わってしまったことは
やり直す事はできないが
そのことがきっかけて
未来が開かれることがある

希望に満ちた気持ちで
この小説を
閉じることができました。

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