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【Calling Card】(1976)Rory Gallagher ハードロック期のロリーの完成作!

アイルランドが誇る熱血のギタリスト、故ロリー・ギャラガー。皆さんご存知でしょうか? 

チェック柄のシャツに塗装の剥げ落ちたストラトキャスターがトレードマーク。
ブルースに深く根差したギタープレイと全身全霊のステージアクトでロックシーンを駆け抜け、1995年に亡くなるまでその生涯はまるでギターに捧げられたようなものでした。

若い頃はエリック・クラプトンと比較され注目も浴びましたが、やはり世界的な知名度では雲泥の差。それでも私はロリー・ギャラガーの無骨なまでに一直線なスタイルに惹かれるんですよね〜。

1969年にテイストでデビューして以来、晩年までほぼトリオ編成でブルースロックという枠組みにこだわり続けた生き方は、やっぱりクラプトンとは違った男気を感じます。
自分がイニシアティブを握り、ギターを気持ち良く弾ければ構わない、といったスタンスが大きな飛躍、特に米国でのブレイクに繋がらなかったのかな、と思ったりもしますが…

そんなロリー・ギャラガーのピークといえばやはり70年代。ソロに転向後、ブルースロックから徐々にハードロックへと傾倒していくのですが、そんなハードロッカーとしてのロリーの最高傑作と私が信じて疑わないのが本作、1976年発表の【コーリング・カード】です!

(米国盤アナログレコード)


ロリーは1971年にソロへ転じ、暫くはトリオで活動を続けますが、4thアルバム【ブループリント】(73年)から鍵盤奏者を加えた4人編成となります。
1975年にはハード、プログレの名門クリサリス・レーベルへ移籍。ここから一気にハードロック色を強めていくのですが、本作はそのクリサリスでの2作目。ライブ作を含めると通算8作目の作品となります。

外部プロデューサーを初めて起用し、元ディープ・パープルのロジャー・グローヴァーを指名。それまでどちらかと言うとロリーの作品は熱量が先走りするキライが有ったのですが、この起用が功を奏し、本作では上手に熱量がコントロールされています。
サウンドもギュッと纏まり、楽曲のバラエティも幅広く、カルテット編成の良さを引き出した非常に整った作品に仕上がっています。

グリーン色は、クリサリスが本作発表の1976年まで使用したデザインとされています。

英米共にクリサリス・レーベルからの発売。
私のLP、あるネットのフリーマーケットで知り合った方から譲って頂いたモノなのですが当時輸入盤で購入したワンオーナーの逸品でして、とても状態もよく、米国盤らしい肉厚なサウンドが楽しめました。

日本初回盤はキングレコード発売。以前に聴いた印象では、やや小ぢんまりとしながらも整った良い音でした。

All songs composed by Rory Gallagher

Side-A
① "Do You Read Me" 5:20
② "Country Mile" 3:18
③ "Moonchild" 4:48
④ "Calling Card" 5:24
⑤ "I'll Admit You're Gone" 4:25

Side-B
① "Secret Agent" 5:45
② "Jack-Knife Beat" 7:04
③ "Edged in Blue" 5:31
④ "Barley and Grape Rag" 3:39

A-③ "Moonchild" 

哀愁を誘うメロディが印象的なポップセンスもこなれた、これぞハードロック期ロリーの代表曲です!曲としても纏ってます。
中盤、終盤にはロリーにしては緻密に組み立てられたギターソロが登場。歌心あふれて泣かせます〜(;_;)

A-④ "Calling Card"

何と2ビートの洒落た雰囲気が耳を奪う洗練度高いジャジーなナンバー。夜のバーが似合いそうです。本作はアレンジの多彩さも大きな魅力。プロデュースが行き届いてます〜。
カルテット編成も堂に入り、鍵盤ルー・マーティンとの連携でロリーのギタープレイにも余裕が感じられます。

B-① "Secret Agent"

B面は再びハードロッキンなロリーから!ギターリフの巧さを感じます。爆発しそうな熱量をギュッと凝縮したような、これまたハードロック期の好ナンバー。歌もうまい!
終盤に火を吹くスライドギターとブルースハープのプレイが圧巻です!カッコいい(^^)

B-③ "Edged in Blue"

悠々とした長いギターソロの後、ドラムロールから始まるアーシーなカントリー風味曲。
ロリーってフォークルーツな曲も得意としているのですが、この頃は当時トレンドだった米国らしい志向が強く出てます。私この曲好きなんですよね。

子供の頃にはアメリカの西部劇やカウボーイに憧れたと話していたロリー。確かに土の香りがするサウンドやメロディからは彼の原体験が透けて伝わってくるようです。

B-④ "Barley and Grape Rag"

ラストはリゾネーター・ギターで聴かせるラグ・タイム。ロリーの作品には必ず収録されるアコースティックな楽曲ですが、これはまた一段と楽しい雰囲気。アコギの腕前は当然お手の物。彼のブルースルーツがきっちり示されるエンディングです。


カチッと完成されたスタジオ作品を創り上げたにもかかわらず、ロリーの4人編成のハードロック期は本作をもって終了してしまいます。残念!

このラインナップでの1976、77年のライブ映像は相当カッコよく、動画も上がっているのでハマースミス公演などは是非オススメしたいです!! ロリーのライブ映像は凄いんです!
私はこの時期こそがロリー・ギャラガーの絶頂期だと勝手に決めつけております^^; 

スタジオ盤としても本作は【タトゥー】(74年)と並んで、楽曲の良さが際立ったロリーの名盤だと思ってます〜!

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