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New Riders of the Purple Sage 〜グレイトフル・デッドから生まれたカントリーロックバンド

暖かくなってきたので、今回はカントリー・ロックです(^^)
私はグレイトフル・デッドの良さがいま一つ分からないのですが、その替わりデッドから派生したこのグループは好きです。
ジェリー・ガルシアが作ったデッドの弟分的バンド、ニュー・ライダース・オブ・ザ・パープル・セイジ(以下はNRPS)です。

60年代終わり頃の米国では、サイケデリックブームの反動からルーツミュージックを見直す動きがあり、そうした中でカントリーミュージックも再評価されました。

サンフランシスコの大物、グレイトフル・デッドも【ワーキングマンズ・デッド】【アメリカン・ビューティ】(70年)といった作品でカントリーに傾倒。ジェリー・ガルシアという人はカントリー、ブルーグラスが大好きらしく、好きが高じて半ば趣味の延長でNRPSを結成したようです。当初はデッドの前座を勤める余興程度だったとか。

NRPSはコロムビアとの契約でレコードデビュー。ガルシアはすぐに脱退しますが、バンドはデッドのファミリーとして長く活動を続けます。
パンク勃興までコンスタントに作品を発表しますが、やはり一番勢いがあったのは70年代初めです。今回はNRPS初期4枚のアルバムを纏めて紹介します。


1st【New Riders of the Purple Sage】

71年8月発表 (全米39位)

メンバーは
ジョン・ドーソン : Acoustic Guitar, Vocal
デビッド・ネルソン : Guitar, mandolin
デイヴ・トーバート : Bass
ジェリー・ガルシア: Pedal Steel Guitar, Banjo
スペンサー・トライデン : Drums

この内のガルシア(発表後に脱退)と元ジェファーソン・エアプレインのスペンサー(後に加入)はゲスト扱いのため、本作正式メンバーはジョン、デビッド、デイヴの3人のみ。

本作がNRPSで最も知名度ある作品かと思います。曲は全てジョン・ドーソンの作品。彼はコーヒークラブを回るSSWの経歴の持ち主らしく、朴訥とした作風と西海岸の爽やかさが合わさったカントリーロックが本作の魅力になっています。

"Louisiana Lady" 

快闊でワクワクするようなメロディとコーラスワーク。私がNRPSを好きになったキッカケの曲です。心地良い〜。


"Dirty Business"

同じ西海岸でも、NRPSはロサンゼルスとは違うシスコ特有の香りを時折放ちます。ガルシアが弾くエフェクトを効かせまくったスティール・ギターがアシッド感全開。トリップしてます…。


2nd 【Powerglide】

72年3月発表 (全米33位)

NRPS最大のヒット作です。スティールギターにバディ・ケイジが加入。ここから暫くが彼等の全盛期だったでしょう。
カントリー、R&Bの古典を取り上げる一方、デイヴ・トーバート(B)の自作曲も入り、より幅のある内容に。ガルシアを始めデッドのメンバーもゲスト参加。彼等のベスト作品だと思ってます。

"California Day"

トーバート作で歌も本人。ウエストコーストらしい甘酸っぱいフックのあるメロディが印象的です。カントリーロックを軸にバンドの個性を打ち出した爽やかな傑作。


"Willie and the Hand Jive"

エリック・クラプトンもカバーしたR&Bヒットです。NRPSはよりボ・ディドリー・ビートを強調したアレンジ。ピアノはニッキー・ホプキンスが担当。


3rd 【Gypsy Cowboy】

1972年12月発表 (全米85位)

ドーソン、トーバートの作品を中心に、カントリーロックの枠を飛び出す新生面も窺える3枚目。彼等が最も進歩的だった時期の作品といった印象でしょうか。バディ・ケイジのスティール・ギターが大活躍。この路線で突き進んだら面白かったかも…。

"Gypsy Cowboy"

トーバート作。叙情的で壮大なスケールのカントリーバラードです。神秘的なスティールギターの響き。深い感傷に浸った曲調は同じ頃のポコにもありますが、私の大好物です。


4th【The Adventures of Panama Red】

73年10月発表 (全米55位)

前作の反省?なのか、従来のカントリー、骨太R&Rを聴かせる4作目。メンフィスホーンズも客演。土着的なサウンドが潔い快作です。しかし翌年のライブ盤をもってデイヴ・トーバートが脱退。この人のソングライティングが貴重だったのに…。
その後は元バーズのスキップ・バッティン(B)が参加したり入れ替わり立ち替わり…。残念ながら繊細な持ち味は減ったなぁというのが個人的な感想です。

"Panama Red"

これもNRPSの代表曲の1つ。いかにもC&Wのノリが楽しい曲です。作者はPeter Rowanという、これまたマニアックなカントリーロックバンド「シー・トレイン」のメンバー。


NRPSの活動は永きに渡り、何と現在も健在とのこと(ビックリ)!
といっても初期からのメンバーはデビッド・ネルソン(Gt)唯一人。ジョン・ドーソン(2009年死去)、デイヴ・トーバート(1982年死去)、バディ・ケイジ(2020年死去)、スペンサー・トライデン(2005年死去)と皆が皆、鬼籍に入っておりました…。

1995年にジェリー・ガルシアが他界したことで兄貴分のグレイトフル・デッドも消滅。
今やデッドの血を引く数少ないバンドだと思いますが、きっとカントリー好きなアメリカ人からは根強い支持があるのでしょう。

それでは最後に、彼等の70年代のライブ映像を。曲はNRPSのレパートリーだったストーンズの"Dead Flowers" です〜!


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