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【461 Ocean Boulevard】(1974) Eric Clapton 乾いたノリが心地良い華麗な復活作

夏の暑〜い時に聴きたくなるのがクラプトンのこのアルバムです。

南国を思わすジャケットの印象もあるとは思いますが、内容も心地の良い乾いたノリと、時折みせる感傷的なところが、夏の雰囲気にピッタリだと思ってます。

エリック・クラプトンと言えばギターヒーローの印象ですが、そんなイメージとはまた違うリラックスしたバンドサウンドが大好きな作品です。

本作は、デレク・アンド・ザ・ドミノス解散後、クラプトンが3年ほどの隠遁生活から本格的にロックシーンにカムバックした作品。アルバム、シングル共に全米No.1を記録、見事な復活となったアルバムです。

アナログ盤でも何枚か買い集めました。

こちらRSOレコードのUK盤です。マトリックスA3/B1。
さすがは母国UK盤、存在感ある音でキメも細かく文句無しに良い音です。ただしそれはA面のみの話。

私の盤は何故かB面の音が悪く、鮮度が落ちた少し元気のない音なのです。海外盤にはこういった個体差に時々泣かされます。アナログはホント面倒臭い(泣)
原因はマトは若いが、スタンパーが後半のものだったからと考えてます。

こちらはUS盤。UK盤と比べればやや劣りますが平均的には悪くないです。
ただ米国特有?のボーカル、ギターをやや前に出した音がうるさく聴こえることも。

そんな中で興味深いのが、

こちらポリドールレコードの国内初回盤。

潰れ気味な音は仕方ないですが、ベース、バスドラを強調した太い音で結構メリハリあるしっかりした音が楽しめます。

ただ、この日本盤には面白い謎?が。

何とスピーカーの左右の音が真逆になってるのです!


これはネット上でも既に指摘されてる方がいらっしゃるので、ご存知の方もいるかも知れません。

今回、私は3枚とも全曲調べてみたのですが、結果UK、USは同じなのに日本盤だけが両面全曲の音が左右逆になってました!!

当時の事とはいえこんな事あるんですねぇ。
アナログ時代だからこその凡ミス??
まさしく日本独自のミキシングです笑

ちなみにCDはちゃんとなってました。。

本作を聴いて1番感じるのは、乾いた風に吹かれてるような心地良さです。

A-①「マザーレス・チルドレン」の解放感あるイントロの2本のギターリフから個人的には夏!って感じがします。

他のブルースカバーB-①「アイ・キャント・ホールド・アウト」B-④「ステディ・ローリン・マン」もリズムパターンを変えたオリジナルのアレンジで、これまたリラックスしたノリ。

一方B-②「プリーズ・ビー・ウィズ・ミー」B-③「レット・イット・フロウ」ではクラプトンの繊細で感傷的な部分が出てますが、その湿り気も、例えるなら夏の木立ちの陰で感じる涼しさの様です。

しかし本作からスタートした米国人による新クラプトンバンドは演奏が上手いです。

2ndギタリスト、鍵盤2人、女性コーラスを加えた大所帯バンドですが、ゴチャゴチャと主張し過ぎず、ツボを突いたシンプルな演奏。

中でもA-③「ウィリー・アンド・ザ・ハンド・ジャイブ」A-④「ゲット・レディ」の弾力あるうねるようなリズムは、このバンドの底力を感じます。聴いているだけで身体が動き出しそう。女性メンバー、イヴォンヌ・エリマンとのデュエットも新味です。

そして有名なA-⑤「アイ・ショット・ザ・シェリフ」。とにかく、しなるリズムがカッコイイ!これぞグルーヴィー!!名演です。

出来ればこの曲は単体ではなくアルバムの流れで聴きたいものです。
前曲の最後の笑い声から間髪入れずに曲が入ってくる所!ここ!ここがイイんです!!笑

だいぶ前の事ですが、私の知人にレゲエ好きな男がおりまして、彼にこの「アイ・ショット・ザ・シェリフ」を聴かせたところ、

「これロックじゃんか〜」と一蹴されたことがありました笑

いや〜、確かにボブ・マーリーの原曲を聴けば言いたい事は解るのですが、余りにハッキリと言われてしまいちょっとショック…。

でもその一言は確かに言い当てていて、確かにクラプトンもまさか本気でレゲエをやろうとした訳でもなく、素材として選んだだけだろうし、作品全体もそんな傾向を感じます。

ブルース、R&Bのカバーが多い本作ですが、思いのほかアレンジは大胆。

オリジナル曲が乏しい中、腕利きの新メンバーとの肩慣らしのジャムセッションは、まず素材探しから始まり、新しい解釈で自分達流に料理していく楽しさがあったでしょう。

そんな自由な気楽さがこのアルバムの魅力だと思ってます。 

クラプトンも長いギターソロはやめてバンドの一員として溶け込んでるのがイイですね。

さて私はラストB-⑤「メインライン・フロリダ」も大好きです。シンプルかつノリの良いギターリフで展開する何とも解放的な曲。

聴いていると、行った事もない灼熱のマイアミ辺りをドライブしてる気分に浸れて、そこにはジャケットにあるようなヤシの木が街路樹になって見えてくるのです。

やっぱりこのアルバムは夏なんですよね!笑

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