見出し画像

【人気者で行こう】(1984)サザンオールスターズ デジタル技術を活かした絶頂サザンの名盤

夏はサザン!とはよく耳にしましたが、令和の今もこのフレーズは健在でしょうか。

夏…私もかつて職場の仲間と海水浴に出掛ける車の中、みんなでサザンオールスターズを大音量で聴いたことがありました。懐かしい思い出です。
けれど、残念ながら個人的なロマンスでは未経験。憧れました。助手席に女の子を乗せて、夕暮れ時がやってきたらダッシュボードに忍ばせた自作のサザン選曲テープを下心マンマンにかける……なんて💦 うむ、こういうのは未経験の方が想像力が逞しくなるものです。もっぱら私の場合、冷房の効いた部屋でマッタリ聴くサザンでしたけど。

思い返せば、私がリアルタイムで初めて知ったサザンのアルバムが本作でした。レコード店に飾られた「へのへのもへじ」のジャケットを思い出します。今聴いても桑田さんのセンスが冴えまくった名作の一つですね。

この年、1984年の夏にヒットしたのが「ミス・ブランニュー・デイ (MISS BRAND-NEW DAY)」。当時ランクインした《ザ・ベストテン》では、レコーディングスタジオだったか?中継で出演していたのを憶えています。

まずイントロの原由子さんが弾くシンセサイザーが素晴らしい!このフレーズは発明だと思いますね。ここだけでゾクゾクきます。
そしてカラオケに行けば歌いたくなるのが、この桑田節。いきなりハイトーンのAメロから始まって、イカしたBメロで広がると、サビはグッとロウに下がる構成の素晴らしさ。
ドラムの音はフィル・コリンズが使ったゲートリバーブ処理でしょうか。最先端のデジタル技術も導入した珠玉のナンバー。メロディ自体に力があるからバックに余分な装飾を必要としません。これぞ時代を超えたサザンの名曲ですね〜。


いまや日本を代表する国宝級の存在とも言えるサザンオールスターズ、並びに桑田佳祐氏ですが、ファンの方には申し訳ありません。私にとってのサザンは、デビュー作【熱い胸さわぎ】(78年)から【Kamakura】(85年)までなんです。
サザンが休業に入り、桑田さんがKUWATA BAND、ソロを経て、ようやく再始動した頃には、私はすっかり洋楽にかぶれて興味を持てなかったこともあるのですが……イヤ、それでもやっぱり【Kamakura】までのサザンは尖ってた。

私個人の印象ですが、あの頃の桑田さんって「お前たちに俺の音楽が分かるかぁ??」といったふてぶてしさがあったように思うんです。時代の半歩か一歩先んじて、日本のロックを底上げしてやろうという自負というのでしょうか。ヒット曲では俗っぽいフリをしていても、アルバムでは別の顔を見せているのがかっこ良かった。まだまだロックの本場は海外という時代だからこその、ある種の気張りが音楽を尖らせていたと思うのです。

本作はサザンが一番独創的だった頃の作品ではないでしょうか!? シンセサイザーを多様したデジタルな感触も上手く取り込んでいますが、何より曲のクオリティが一級品。歌詞の言葉遊びもいっそう深まり、貫禄すら感じるサザンの名盤だと思います。

ビクター・レコードのアナログ盤
(サザン専用のTAISHITAレーベル)

アナログレコードで聴くサザン。正直、音は良くないです。シングル盤もこもってます。同時代の洋楽と比べるとその違いは明らかですね。
当時の日本のレコーディング技術なのか、日本メーカーの音響への考え方なのか、何かに問題があったと思われます。意識の高い&予算のあるミュージシャンは、次々と海外レコーディングを始めたのもそんな理由だったのかもしれません。色々な意味でまだまだ本場は海外だったのでしょう。


Side-A
①「JAPANEGGAE (ジャパネゲエ)」

曲名はジャパンとレゲエを組み合わせた造語だと、昔読んだことがあります。
シンセでしょうか、琴っぽい音色の和風な旋律に、マイナー調のメロディが乗る和洋を織り込んだ不思議な世界。シリアスな曲調にグッと惹き寄せられます。複層的なアレンジが光ります。生楽器とデジタル技術を上手く組み合わせたサザンの進化系サウンドです。

②「よどみ萎え、枯れて舞え」

私、この曲好きなんです。シンコペーションを活かしたリズムにメロウな歌メロが絶品。ベースも跳ねてます。当時の桑田佳祐の突き抜けたセンスを思い知りますね。ムードあるサザンの隠れた名曲。そして一瞬の間を置いて、次の「ミス・ブランニュー・デイ」。ここ最高!

Side-B
①「海」

私の友人がこの曲大好きでした。彼の母親がピアノの先生で、自宅の居間にはグランドピアノと高級なステレオオーディオがあって、母親の居ない時には2人っきりでよく音楽を聴き漁りました。この曲を聴くと思い出します。
今更ながら良い曲だと発見。淡いシンセサイザーの音が美しい。ウットリするようなバラードです。

②「夕方 Hold On Me」

曲名は、ビートルズ好きな桑田氏が「You've Really Got a Hold on Me」をモジッたのでしょうか。ホーンセクションのパンチの効いたアレンジが実にアッパー。目の覚めるような一曲です。ブラックミュージックを和製歌謡に仕立て直すセンスが巧い。途中のドゥーワップ風アカペラも見事に決まっております。

他にも良い曲がありますが、今回は時間切れということで…。
それぞれの世代にサザンオールスターズへの思い入れがあるとは思いますが、私の中では本作が今も古びない彼等の名盤です。やっぱり夏にサザンは合いますね。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?