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【Naturally】(1970) Three Dog Night 「喜びの世界」収録の充実作

スリー・ドッグ・ナイトのBEST盤に時々手が伸びてしまいます。多様なジャンルを取り上げた楽しい楽しいヒット曲のオンパレードは聴いてるだけで気分が上がりますね〜。

まだ世に知られていない無名のソングライターやバンドの隠れた楽曲を、目ざとく見つけては自分達流に仕立て上げ、彼らは1960年代末からの数年間ヒットを連発しました。
その活躍ぶりはいわばプロフェッショナルな "ヒット曲の錬金術士" 。当時としてもかなり異能な存在だったのではないでしょうか。

80年代の終わり頃、日本のTV-CMに彼らの "Joy to the World"(喜びの世界) が使われていたことがありました。
当時私は高校生。一聴してこの古臭そうなソウルフルな曲は誰だろう??と耳を奪われたのが最初の印象でした。

バンド名だけを頼りに、曲名も判らず、多分1番有名な作品に入ってるだろうと半ば賭けでこの【ナチュラリー】中古盤を買ったのが私のスリー・ドッグ・ナイト初体験でした💦
そんな訳あって、ボロボロの中古レコードと共に私にとっては思い出深い1枚なのです!

スリー・ドッグ・ナイトは、チャック・ネグロン、コリー・ウェルズ、ダニー・ハットンの3人の看板ボーカリストを擁し、バックはギター、鍵盤、ベース、ドラムの7人編成。

3人の歌手はそれぞれの声質にあった楽曲でリードを披露。膨大なデモテープの中から、宝の一品を探し当てるセンスはまさに職人技です。
サウンド的には、ファズで歪んだギターを聴かせるマイケル・オールサップ、ハモンドオルガンを中心に攻めまくる鍵盤のジミー・グリーンスプーンの2人が要かと思います。

私は彼らの演奏も大好きで、本作などはまだサイケデリックな匂いも充満させつつ、適宜ツボをついた的確なアレンジでもしっかりロックしてる所がカッコいいんですよね。

デビュー当初からブラック・フィーリングも濃厚でしたが、少しずつマイルドな魅力も加え、本作は5作目ですが、ソウルフルな魅力とポップな部分が程良く混ざり合ってます。各曲の粒も揃った、その後への分岐点となった彼らを代表する1作です。

(アナログレコード探訪)
〜ジャケットは大体バラバラに〜

米国ダンヒル・レコードの初期盤 
1973年頃までのプレス (DSX 50088)

当時のスリー・ドッグ・ナイトはドル箱スター。同じダンヒル・レコードには、ママス&パパスやステッペンウルフなどもいましたがやはり彼らは稼ぎ頭だったようです。

昔何かで読んだのですが、ダンヒルは彼らを優遇して、アルバム規格番号の末尾の数字は最終作まで「8」で統一したそうです。
確かに本作も "DSX 50088" になってます。

ジャケット広げたところ。実はバラバラです。

本作のジャケットは見開きになっており、広げると上のようになります。
実はこの繋ぎがミシン目になっているせいで中古盤では間違いなく切り離されているんですよね〜。

しかも裏面は更に展開してポスターになるギミック仕様。盤は右内側から出し入れするスタイルなので、すぐにミシン目が綻びてしまうわけです。まず繋がったままの物を見たことがない、というのが本作のあるあるです?!?!

日本盤は当時、東芝音工から初回盤が発売。前に持ってましたが音は良くないです。
スリー・ドッグ・ナイトは中古でも高くないので米国盤が良いです。

Side-A
①"I Can Hear You Calling" (P.Glan, R.Kenner, H.Sullivan, D.Troiano) – 2:56
②"One Man Band" (B.Fox, J.Tyme, T.J.Kaye) – 2:51
③"I'll Be Creeping" (A.Fraser, P.Rodgers) - 3:31
④"Fire Eater" (M.Allsup, J.Greenspoon, J. Sch-ermie, F.Sneed) – 3:55
⑤"Can't Get Enough of It" (J.Miller, S.Winwoo-d) – 2:53

Side-B
①"Sunlight" (J.C.Young) – 3:48
②"Heavy Church" (A.O'Day) – 3:38
③"Liar" (R.Ballard) – 3:53
④"I've Got Enough Heartache" (M.Kellie, G. W-right) – 3:59
⑤"Joy to the World" (H.Axton) – 3:40

A-①"I Can Hear You Calling"
重みのあるリズムセクションに被さってくるオルガンと歪んだギター。3人のボーカルが分け合ってソウルフルな喉を聴かせるオープニングに相応しいナンバーです。
オリジナルはジェイムス・ギャング加入前のドミニク・トライアーノ(ギター)が参加していたカナダのバンド、ブッシュの曲。マニアック!


A-②"One Man Band"
本作からの1stシングル。イントロのオルガンの音色に趣き感じますね〜。3人のコーラスワークが冴えるソフトな魅力の代表曲の1つ。
♪One Man Ba〜nd っていうコーラスがイイのです。


B-①"Sunlight"
本作で唯一のアコースティック調。歌はチャック。ハイトーンの歌声が、爽やかな風に吹かれるような美しいメロディに映えてます。
作者は米国SSWジェシ・コリン・ヤングのヤングブラッズ時代の曲。


B-②"Heavy Church"
ダニーとチャックが各パートを分け合い熱唱する厳かな雰囲気の1曲。この頃に流行ったゴスペルライクな楽曲で、私はこの手が無条件で好きです。しかも結構佳曲です。
作者はアラン・オデイという人物。私は知りませんでしたが、山下達郎氏の作品の英訳詞を長年に渡り担当された方だそうです。


③"Liar"
本作からの3rdシングル。作者は後年レインボーの「アイ・サレンダー」でも有名なラス・バラードのアージェント時代の曲。サビのリフレインが印象的ですね。
本作は英国勢のカバーが多く、A-③フリー、A-⑤スペンサー・デイヴィス・グループ、B-④スプーキー・トゥース、と彼らの守備範囲の広さに驚かされます。


B-⑤"Joy to the World"
スリー・ドッグ・ナイトの名を最も知らしめた全米6週No.1ソング。熱い歌はチャック。
作者は米国SSWのホイト・アクストン。
日本ではTVドラマ「ランチの女王」の主題歌としても有名になり便乗BEST盤も出ました(買ってしまいました)。


学生時代に "Joy to the World" 聴きたさに曲名も知らず、当てずっぽうで買った本作。最後の最後、まさかのB面ラストでこの曲が流れてきた時はホント感激でした。

あれから他の作品もひと通り耳にしましたがやっぱり本作って良く出来たアルバムだなぁと思います。
多少サイケデリックな演出だろうと、手堅い彼らの演奏ですから、奇をてらったようには聴こえないのです。
ん〜、やっぱり職人の匠の技ですね。

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