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【Live(華麗なる煽動者)】(1974) Mott The Hoople 豪華絢爛グラムロック・ショウ

12月に入って冬の寒さも本格的になってきました。街のあちこちでクリスマスのイルミネーションがあふれ、師走の雰囲気も盛り上がります。

今回紹介するのは、そんなロマンチックな暮れの季節にはピッタリではないかと(勝手に)思っているモット・ザ・フープルのライブ盤です。

イアン・ハンター率いるモット・ザ・フープルは、70年代初頭の英国グラムロック・ムーブメントで人気を獲得しました。
【すべての若き野郎ども】(72年)【革命】(73年)【ロックンロール黄金時代】(73年)とヒット作品を連発、74年に人気絶頂で解散をしますが、その直前の全盛期のステージを収めたものが本作です。

本作のメンバーは
・イアン・ハンター(ボーカル、ギター)
・デイル・グリフィン(ドラムス)
・オヴァレンド・ワッツ(ベース)
・アリエル・ベンダー(ギター)
・モーガン・フィッシャー(ピアノ)
・ブルー・ウィーヴァー(オルガン) # A面
・ミック・ボルトン(オルガン) # B面

単純明快で派手なR&Rが特色のモット・ザ・フープルですが、ライブでは更に大仰でドラマティックな演奏を披露。
構成も非常に良く練られていて、なかなか上質なライブアルバム。私も昔からお気に入りです。これぞブリティッシュ・ロック!といった貫禄の内容は聴いてるだけで楽しくなります。

まさしくグラマラスなロック・ショウ!

こちらCBSレコードのUKアナログ盤です。
本作は1973年12月英国ハマースミス公演(B面)、翌74年5月米国ブロードウェイ公演(A面)をそれぞれ収録。
プロデュースはドラムスのデイル・グリフィン。

ジャケットからもショウアップされたステージの様子が伺えます。

この時のツアーの前座が何とデビュー間もないクイーン!
天井から人形が吊り降ろされる演出などのシアトリカルなパフォーマンスは、新人の彼らにとって参考になったのでないでしょうか。

封入されていたインサート。当時の音楽誌のライブ評を載せた広告ビラです。

英国CBSのオレンジ色レーベルは74年までの使用。マトリックス1/1なので初回盤です。

とは言え本作は音が悪いのです。見通しの利かないような感じ。音が遠い。隣の部屋で聴いてるような感じでしょうか 笑 
CDで聴いた方が良さそうです。

こちら2004年に「30th Anniversary Edition」として発表された紙ジャケット2枚組CD。
当時の公演をほぼ完全収録した拡大版。

ライブの全貌が知れて狂喜し、リマスターで音も際立ちましたが、全体の音抜けの悪さは相変わらず。マスターの問題だと思います。

この時代のライブ盤って、実況録音とばかりに臨場感出そうとオーディエンス録音っぽい録り方が多い気します。流行りだったのか?! 

この紙ジャケ復刻の再現ぶり!
日本の細部に渡るこだわりって凄いですね。


Side-A
①"All the Way from Memphis" (Hunter) – 5:05
②"Sucker" (Hunter, Ralphs, Watts) – 6:06
③"Rest in Peace" (Griffin, Hunter, Watts) – 5:57
④"All the Young Dudes" (David Bowie) – 3:49
⑤"Walkin' With A Mountain" (Hunter) – 5:02

Side-B 
①"Sweet Angeline" (Hunter) – 7:03
②"Rose" (Griffin, Hunter, Ralphs, Watts) – 4:46
③"Jerkin' Crocus" / "One of the Boys" / "Rock & Roll Queen" / "Get Back" / "Whole Lotta Shakin' Goin On" / "Violence" (Sunny David, Hunter, John Lennon, Paul McCartney, Ralphs, Dave Williams) – 16:00

A-①"All the Way from Memphis"
イントロのピアノの連打から爆音ギターが鳴り響くモットお得意の華やかなR&R!
やはり1曲目はこの曲でないとシックリ来ません(完全版だと6曲目)。
ミック・ラルフスの後任アリエル・ベンダーの大味なハードロックギターも攻撃的でライブ映えしてます。対するモーガン・フィッシャーのピアノの音とが一体となったダイナミックなサウンドが心地良いです。

A-③"Rest in Peace"
R&Rが2曲続いた後は、ちょっとプロコル・ハルムを連想させるピアノとオルガンが織り成すクラシカルなバラード。感動的です(^^)
教会の賛美歌のような荘厳さがありますが、トコトン大仰かつ劇的なところがモット流。
私はかなり好きな曲で泣けてきます 笑
イアン・ハンターって歌ウマくないと思うのですが、何故かホロッとしてしまいます。

A-④"All the Young Dudes"
そしてここで待ってました!モットの出世作、代表曲です。D.ボウイ作。
ここまでの曲の並びがホントに素晴らしい!当時のLPの収録時間の縛りの中で、考え抜かれた選曲、構成です。編集なくして名ライブ盤なし、なんて事を実感します。演奏もベストテイクではないでしょうか。

A-⑤"Walkin' With A Mountain"
当時のライブのラストナンバー。チャック・ベリースタイルを暴力的にアレンジした大R&R大会です。決して演奏うまくないですがダイナミックなノリがモットの魅力です。

B-②"Rose"
B面もR&Rのあとはドラマティックなバラード。緩急をつけた流れに痺れます。

B-③"Medley" : "Jerkin' Crocus" / "One of the Boys" / "Rock & Roll Queen" / "Get Back" / "Whole Lotta Shakin' Goin On" / "Violence" 

最後はハイライトとなるカバー、オリジナルを交えてのR&Rメドレーです。オールディーズにビートルズ、途中にキンクスも登場。
猛烈な音圧と迫力を前に、ただただR&Rの快感に身を委ねるのみ…。
16分の長尺の中に静と動を使い分け、スケールの大きいハードドライビンな熱演はなかなかの聴き応え。飽きさせない展開です。

ロックンロールはカッコよくて楽しくなきゃいけない!そんなメッセージが伝わってくるようなド派手なライブ・アルバムです。
愛すべきロックンロール野郎!冬の夜にどうぞ!!

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